今実際にブラック企業で困っている人のために
ここまで2019年に話題になったブラック企業マップについて紹介してきました。最後に、現在実際にブラック企業に勤めて心身に悪影響が出ている、どうにかしたいと困っている人のために情報を紹介します。
労基署に行って解決するの?
ブラック企業マップの運営者も「まずは労基署に行くこと、権利があることを知ってほしい」と話していました。しかし悪質な企業にずっと勤めていると「どうせ訴えても変わらない」と無力感を感じるようになっている人もいるかもしれません。
実際、労基署は窓口の担当者によって反応はさまざまで、良い解決策を教えてもらえないということもあるそうです。そのため、このような窓口交渉に強いサポーターを得ることをおすすめします。
サポーターの中で最も心強いのは法律の専門家である弁護士でしょう。「労基署になぜ弁護士?」と思うかもしれませんが、関係法律に精通している専門家が出向くことで話を通しやすくなるという効果があります。仮に労基署側が乗り気でなかったとしても、「尻を叩いてやらせる」ことが得意なのが弁護士です。
弁護士事務所の中には、特に労働問題を専門にしているところもあります。労働問題には不払い賃金があったり、慰謝料を請求できたりと、本人が受けた被害を金銭で補償させるものが多くあります。そのため企業に支払ってもらった金額の一部を成功報酬として受け取ることで弁護士業を成り立たせています。
参考
労働問題に強い弁護士に出会うために知っておきたい4つのこと 労働問題コラム|ベリーベスト法律事務所
労働相談を受け付けている団体
自分だけのささいな問題だと思っていたり、自分が悪いと自分を責めていたり、相談するほどのことなのかわからなくても、 それがよくある労働問題だったり、職場の法律違反だったり、解決できるケースであったりすることは少なくありません。
ひとりで悩む前に、ぜひためしに一度、お気軽にご連絡ください。
(引用元:労働相談受付 | NPO法人POSSE)
しかし、良い弁護士を自分で見つけられないということもあるでしょう。そのような場合は労働相談を専門にしている団体に問い合わせてみてください。それぞれのケースに合わせて良い対応方法を一緒に考えてくれます。
参考
労災や傷病手当について
「本当は今すぐにでも仕事を休みたいんだけど、生活がかかっていて辞められない」という人もいるでしょう。しかし、そのような場合にも使える社会保障があります。
まず有名なのは労災保険ですが、これは労基署によって体調不良が労災であることが認められる必要があります。そのため、実際に給付を受けるまでに少し時間がかかります。
一方、診断書のみで給付が受けられる「傷病手当」が社会保険にはあります。労災かどうかもまだ分からないが、とにかく一定期間会社を休みたい、という状態の人に給与のおよそ3分の2に当たる金額が給付されます。このような制度を活用して、まずは心身をいたわってあげてください。
参考
労災認定について会社と労働者が絶対に知っておくべき6つのこと | ベリーベスト法律事務所
病気やケガで会社を休んだとき 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
まとめ
2019年に話題になったブラック企業マップ。名前だけを見ると話題性を重視したサービスのように思われますが、「ブラック企業をなくしたい」という真摯な思いから作られたサイトでした。現在は休止していますが、同様の情報を得られるソースは存在します。ブラック企業で困っている人はどうか無理せず、自分の心身を休めてより良い再出発ができるよう、情報を活用してください。
参考
違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について | 厚生労働省
相談事例 これって時間泥棒! 1ヶ月変形労働時間制悪用で、ただ働きの労働時間? トラック運送と介護の職場の実例 | 労働相談、ブラック企業をなくす東葛の会、千葉労連東葛ユニオン