手取り25万円で結婚したら
結婚を考える際は、結婚式などにかかる一時的な出費と、結婚後の生活費を計算する必要があります。
結婚情報誌の『ゼクシィ』の調査によると、結婚式の平均総額は354.9万円、そのうちお祝儀や親の支援を差し引いたカップルの自己負担額平均は149.5万円です。新婚旅行費61.4万円と、その他結婚準備にかかった費用45.5万円を合わせると、256.4万円負担しています。結婚資金として250万円くらいは貯金しておきましょう。
参考
ゼクシィ結婚トレンド調査 2019首都圏|ブライダル総研,P39
夫婦2人の生活支出
結婚後の生活費は、手取り収入の中でやりくりしていかねばなりません。一人暮らしから夫婦2人の暮らしになると、支出はどのくらい増えるのでしょうか。
家賃 | 80,000円 |
食費 | 60,000円 |
水道光熱費 | 15,000円 |
通信費 | 14,000円 |
交通費 | 12,000円 |
日用品・雑貨 | 20,000円 |
娯楽・教養 | 20,000円 |
保険・医療費 | 6,000円 |
交際費 | 10,000円 |
雑費 | 10,000円 |
まず、住居はワンルームや1Kから、1LDKに住み替える人もいるでしょう。東京23区内で1LDKのマンションに住むと、10万円くらいはかかります。通勤距離が多少長くなることを覚悟して、候補のエリアを広げましょう。
食事は、基本的に自炊です。一人暮らしより、2人の方が自炊をするのが楽しく節約効果も上がるでしょう。どちらか一方の負担にならないよう、役割分担をしましょう。
2人とも大手キャリアのスマートフォンを利用し、家にもWi-Fiを入れるとなると、通信費は2万円に跳ね上がってしまいます。どちらかが格安スマホに乗り換えるなど、工夫が必要になります。2人とも格安スマホに切り替えれば、自宅のWi-Fi接続費を含めても1万円以内におさえられるでしょう。
夫婦2人の生活支出の合計は24.7万円です。手取り25万円だと、ぎりぎり赤字にはならない程度でしょう。ボーナスはそのまま貯金に回すなど、将来に向けての備えが必要です。
3人家族の生活支出
家族が増えると、支出も増えます。
家賃 | 80,000円 |
食費 | 66,000円 |
水道光熱費 | 15,000円 |
通信費 | 14,000円 |
交通費 | 12,000円 |
日用品・雑貨 | 25,000円 |
娯楽・教養 | 20,000円 |
保険・医療費 | 10,000円 |
交際費 | 10,000円 |
雑費 | 10,000円 |
子供が小さいうちは、家族3人で1LDKでも住めるため引っ越しはしないとします。食費は、赤ちゃんを混合ミルクで育てるとして、ミルク代6,000円をプラスします。また、おむつ代やおしりふき代として、日用品に5,000円をプラスします。赤ちゃんの検診は、無料かごくわずかな料金で受けられるでしょう。それでも初めての子育ては不安で、何かと病院に駆け込むことも多いものです。医療費は多少かかるものと考えておきましょう。
3人家族の生活支出の合計金額は26.2万円で、月々1.2万円の赤字です。配偶者が働きたくても働けない場合もあるので、共働きをしなくても1年くらいは生活できるくらい貯金をしておくと安心です。
4人家族の生活支出
家族がもう1人増えると、どうなるでしょうか。
家賃 | 100,000円 |
食費 | 70,000円 |
水道光熱費 | 18,000円 |
通信費 | 14,000円 |
交通費 | 12,000円 |
日用品・雑貨 | 30,000円 |
娯楽・教養 | 20,000円 |
保険・医療費 | 14,000円 |
交際費 | 10,000円 |
雑費 | 10,000円 |
1LDKでは手狭になり、2DK・2LDKのマンションなどへの引っ越しが必要になるかもしれません。家賃が10万円になると、手取り収入の4割に上るため生活が苦しくなります。
節約を心がけても、子供が増えた分、食費や日用品費、医療費などはどうしても多くかかります。そのほかの費用を切り詰めて、独身時代または夫婦2人だったときと同じ支出額を保てたとしても、年間にして50万円以上の赤字となります。出産前後は貯金を切り崩さなければいけないとしても、配偶者が働きに出て不足分を補填する必要があります。
手取り25万円の年収と控除項目
額面給与と年収
手取り収入とは、基本給にさまざまな手当を上乗せし、保険料や税金などを控除した金額です。保険料や税金を差し引く前の給与を、「額面給与」といいます。手取り25万円の額面給与は、おおよそ31~32万円程度です。年収にすると、ボーナスなしで約380万円、ボーナスありで400~500万円未満となります。
控除項目
控除項目は、年金保険料・健康保険料・雇用保険料などの保険料と、所得税・住民税などの税金です。保険料では、雇用保険料の負担は1,000円前後と大きくはありませんが、年金保険料・健康保険料は合わせて35,000円前後でしょう。所得税は5,000円前後、住民税は15,000~17,000円程度です。控除項目の合計は、58,000円前後になります。
手取り25万円はどんな人?どんな仕事?
働き盛りの30~40代
国税庁の統計によると、年収380~500万円を稼いでいるのは、30~40代の働き盛りの世代です。ちょうど家庭を持つ人が多く、子供の教育などにお金のかかる時期と言えるでしょう。
(平成30年分民間給与実態統計調査|国税庁,P142より筆者作成)
職種別平均給与
職種によっても、給与水準は大きく異なります。
職種別年齢別平均給与(単位:千円)
25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | |
建設業 | 4,159 | 4,489 | 4,734 | 5,320 | 5,731 | 6,049 |
製造業 | 4,101 | 4,621 | 5,103 | 5,440 | 5,901 | 6,212 |
卸売・小売業 | 3,336 | 3,631 | 3,939 | 4,351 | 4,326 | 4,498 |
宿泊・飲食業 | 2,597 | 2,859 | 3,018 | 3,068 | 2,987 | 3,073 |
金融・保険業 | 4,506 | 5,663 | 6,591 | 6,651 | 7,237 | 7,692 |
不動産業 | 3,872 | 4,251 | 4,515 | 4,932 | 5,035 | 5,832 |
運輸・郵便業 | 3,910 | 4,306 | 4,528 | 4,659 | 4,909 | 4,969 |
電気・ガス・水道業 | 5,015 | 6,438 | 6,617 | 7,227 | 9,028 | 9,780 |
情報通信業 | 4,180 | 5,271 | 5,916 | 6,558 | 7,231 | 8,103 |
教育・学術研究業 | 3,831 | 4,270 | 5,021 | 5,114 | 5,583 | 5,650 |
医療・福祉 | 3,534 | 3,615 | 3,892 | 3,960 | 4,122 | 4,301 |
複合サービス事業 | 3,454 | 3,894 | 4,298 | 4,824 | 5,025 | 5,076 |
サービス業 | 3,318 | 3,550 | 3,963 | 4,155 | 4,129 | 4,328 |
農林水産・鉱業 | 2,678 | 3,288 | 3,427 | 3,634 | 3,739 | 3,927 |
(平成30年分民間給与実態統計調査|国税庁,P146より筆者作成)
年収380~500万円までというと、不動産業や運輸・郵便業では若手から中堅の給与、卸売・小売業、医療・福祉、サービス業では、中堅から管理職レベルの給与です。一方、給与水準の高い金融・保健業や情報通信業、教育・学術研究業では、若手の平均年収レベルです。
手取り25万円は多いか少ないか?
手取り25万円が多いか少ないかは、「誰にとって」で捉え方が異なるでしょう。社員か会社か、社員でも若手かベテランか、家族構成はどうかなどによります。
社員からの視点
若手で独身のうちは、手取りが25万円あればまとまった額を貯金することができます。しかし子供ができると、手取り25万円ではまかないきれない恐れがあります。特に、子供が中学や高校に上がると、塾代なども必要になります。また、年収380万円以上の世帯は大学無償化の恩恵も受けられません。学費や養育費を捻出するためには、配偶者が働きに出る必要があります。
社会からの視点
年収の実態を考える際、高めに出る傾向の平均年収より、実感に近い中央値を見ると分かりやすいと言われています。日本人の年収の中央値は約350万円、正規雇用に限ると約430万円です。したがって、年収380~500万円未満の人は、ほぼ平均的な所得を得ているということになります。
参考
年収の中央値とはどういう意味?平均年収との違いを解説 | exciteキャリア
会社からの視点
会社が人件費として負担しているのは、額面給与とボーナスだけでなく、保険料の会社負担分も含まれています。つまり、年収380万円の社員を雇う場合、1年間の保険料の会社負担分約42万円を上乗せした422万円を負担していることになります。422万円を捻出するために、どれだけの売り上げが必要かは業種によって異なります。たとえば、人件費率30%を目指す場合、人件費422万円の人材には、約1,406万円稼ぎ出してもらわなければなりません。
まとめ
手取り25万円の生活は、独身のうちであれば余裕をもつことができますが、結婚をするとやりくりが苦しくなります。さらに子供が生まれると赤字になるため、夫婦共働きをする必要が出てくるでしょう。
働く側から見れば、自分のつぎ込んだ労力や時間はなるべく高く買ってほしいものです。しかし、給与を支給する会社側の事情も忘れないようにしましょう。自分の給与を支払うために会社が稼がなければならない売り上げを計算してみて、自分がそれ以上売り上げに貢献しているのであれば賃金交渉の余地は大いにあります。
参考
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