転職回数が多いのは不利?人事担当者が持つマイナスイメージ
日本では転職回数が多いと就職活動に不利だと言われています。なぜなら、転職をリスクと考える時代ではなくなったものの、依然として終身雇用の意識が根強いためです。また、特にジョブホッパーとキャリアビルダーの定義があるわけではないため、職務経歴に係わらず転職回数が多いというだけでマイナスイメージを持つ人事担当者もいます。
では、転職回数の多い人に対して、人事担当者はどのようなマイナスイメージを持つのでしょうか。
採用しても早く辞めてしまうかも?
即戦力として期待して採用しても、気に入らないことがあるとすぐに辞めてしまうのではないか、と考えられてしまいます。
企業の経営資源の一つは人、つまり労働力です。そのため、企業は利益貢献をする人材を育て、将来性を考えてキャリアを積ませます。しかし、採用してもすぐに辞めてしまう人材は、企業にとって利益がないばかりか負担になってしまいます。
またチームで行動する業種の場合、すぐに辞めてしまうとチームメンバーの士気が下がってしまうという心配もあります。
ストレスへの耐性がないのかも?
転職が多いということは、仕事をする上で生じるストレスに耐えられないのではないか、と考えられてしまいます。
仕事はうまくいくことばかりではありません。相手のニーズに応えるために妥協案を模索したり、円滑に業務を進めるために手間を惜しまずに取り組まなければなりません。そのため、ストレスのまったくない仕事はないと言ってもいいでしょう。
しかし、これらのストレスを我慢できない人には仕事を頼むことができなくなります。すると、本来分担できたはずの仕事をほかの社員が負担しなければならず、企業にとっても不利益になってしまいます。
特定分野でプロとして即戦力になれないのでは?
転職歴に職種の一貫性がない場合、それぞれの分野でのキャリアが浅いため、即戦力とならないのではないか、と考えられてしまいます。
労働力を確保するための新卒採用とは異なり、ある程度職歴のある転職者に対しては、企業は特定分野のプロとして即戦力になることを求めて採用します。職歴が多岐の分野にわたっている場合は、特定の分野で極めたスキルや経験値が少ないため即戦力にならないと評価してしまいます。
2社以上の職務経験がある際の職務経歴書を書くコツ
キャリアビルダーである場合、転職回数が多いものの専門的スキルや経験値が豊富で、入社後は即戦力として働けることをアピールできます。このような転職者は中途採用市場で需要があるため、比較的就職先を選びやすく、また収入もアップする見込みがあります。
対して、ジョブホッパーの場合は、転職回数が多い理由を前向きに伝え、仕事に対して熱意や遂行力があることをアピールする必要があります。専門的なスキルや経験がない場合は、それを補う自己PRポイントを見つけておくと良いでしょう。
それでは、どのように書けば就職活動で転職回数が多いことを不利にせずに済むのか、見ていきましょう。
転職歴は正直にすべて書こう
2社以上の職務経験がある場合、必ず職務内容欄にすべての会社での職歴を記載しましょう。転職回数が多いことを不安視し、職歴を省略したりごまかすのは得策ではありません。
大手企業は入社後のトラブルを避けるため、採用試験の最終選考の際に前の職場に問い合わせる場合もありますので、転職歴は正直に書くことが大切です。
退職理由はポジティブに!転職理由と一貫性を持たせる
すべての転職者がキャリアアップを理由に前職を辞めたわけではありません。しかし、退職理由があまりにネガティブで自分勝手だと、人事担当者はまた同じ理由で退職するかもしれないと考え、採用を躊躇するかもしれません。
そのため、退職理由はできるだけキャリアアップを目的としたポジティブな言い回しにする必要があります。また、転職理由は退職理由と一貫性を持たせるよう、キャリア設計の一つであると印象づける表現を選ぶことが肝要です。
よくあるネガティブな退職理由を、キャリアアップを目的としているように印象づける具体例が次の通りです。
【ネガティブな退職理由を前向きにする表現】
ネガティブな退職理由 | 退職理由を前向きにする表現 |
自分に向いている仕事ではなかったから。 | 仕事で(他業種)に触れる機会があり、その経験から(他業種)の仕事に興味を持ったから。 |
給料が少なかったから。 | 成果責任基準が明確な企業で、自分の能力を発揮したいと考えたから。 |
職場の風通しが悪かったから。 | 職場コミュニケーションが盛んな企業で、積極的に仕事に取り組みたいと考えたから。 |
このように、相手に与える印象がプラスになるような表現を意識することが大切です。
経験職種が多い場合は文字量にメリハリをつける
いくつかの職種を経験した場合は、応募企業に関連した職種内容を特に詳しく書きましょう。反対に、あまり関連のない職種内容は少なめに書きます。このように応募企業にとって即戦力となるスキルや経験があることをアピールするため、文字量を調整しましょう。
「生かせる能力」という項目を入れる
職務内容欄には、「会社概要」と「職歴詳細」を書きますが、「生かせる能力」という項目を追加するのがおすすめです。これにより、人事担当者に即戦力となりうるスキル・経験を積んできたことを伝えることができます。
職種が多岐にわたる場合は、実用的なスキルがあることや人脈が広いことをアピールすると良いでしょう。
応募企業のニーズに合わせてカスタマイズしよう
企業や業種によって求職者に求めるスキルや経験は異なります。そのため、即戦力として役に立つことをアピールする方法は、応募企業に合わせてカスタマイズする必要があります。
特に転職回数が多い人の職務経歴書は内容が多いため、人事担当者はどこを見ればほかの求職者よりも優れた人材と判断できるのか分かりづらいです。アピールする項目やその順序、分量などを工夫し、人事担当者が読みやすい職務経歴書を作成するよう心がけましょう。
また同じ表現を多用せず、言い回しを選ぶようにしましょう。同じ言葉を何度も使ったり、強調した表現を使いすぎると、常識がないという印象を人事担当者に与えてしまう可能性があります。