人気の大企業は給料が高い?さまざまな年収データから考える将来の幸せ - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

就職活動で人気が集まる「大企業」とは? 良い大学に入って、良い会社に就職すれば一生安泰というのは本当でしょうか? 当記事では、さまざまな年収データを基に、大企業は給料が高いのかについて検証します。そして、経済的安定が得られるはずの大企業に勤めることが人生の幸せなのかを考えます。

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就職活動で人気の大企業の定義は?

就職活動で人気が集まる「大企業」。大企業とは一体どのような企業を指しているのでしょうか。

法律によって異なる大企業の定義

法律上、守るべき対象となっているのは中小企業です。大企業は「ヒト・物・金」の経営資源が豊富で、継続した企業利益を上げることができると考えられています。中小企業基本法と会社法における企業分類を見てみましょう。

中小企業基本法上の大企業の区分】

業種 中小企業基本法
中小企業者

(下記いずれかを満たす)

小規模企業者 大企業者
資本金額または出資総額 常時使用する従業員の数(注) 常時使用する従業員の数(注)
製造業、建設業、運輸業、その他の業種 3億円以下 300人以下 20人以下 中小企業者の基準を超える企業者
卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

(注)会社役員や個人事業主は人数に含まれません。

会社法上の大企業の区分】

会社法
中小企業

(下記の両方を満たす)

大会社

(下記のどちらかを満たす)

  1. 最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円未満
  2. 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部の合計額が200億円未満
  1. 最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上
  2. 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上

上記以外に、法人税法租税特別措置法においても中小企業者の定義は異なります。

つまり、法律上の大企業は「中小企業以外の会社」という意味合いが強く、明確に定義づけられているわけではないのです。

イメージや業績で決まる就職活動で人気の大企業

では、就職活動で人気の「大企業」とはどんな会社を指しているのでしょうか。

まず「知名度が高い会社」であること。テレビCMや商品ポスターなど、宣伝広告活動が盛んで、広く一般的に名前が知られている会社が大企業と呼ばれています。

次に「安定した業績のある会社」であること。福利厚生が充実している、給与や待遇が良い、従業員が多い、グループ傘下の企業が多い、株価が安定しているなど、さまざまな面で優位にある会社が大企業と呼ばれます。

このように、就職活動における人気の大企業とは個々のイメージによって異なることが分かります。つまり、一般的には「会社の規模が大きく、業績が安定している知名度の高い会社」を大企業と考えて良いでしょう。

大企業は給料が高いって本当?比較してみよう

大企業は業績が安定しているため給料が高いイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。さまざまなデータから比較検証してみましょう。

平成30年度の日本の平均給与

国税庁が2019年9月に公表した「平成30年分民間給与実態統計調査結果」から、日本の労働者の平均給与、平均年齢、そして平均勤続年数を抜粋したのが次の表です。これを基準に給料が高いかを考えていきます。

平均給与 441万円
平均年齢 46.4歳
平均勤続年数 12.2年

(注)金額の単位は万円で、小数点以下四捨五入しています。

参考

平成30年分民間給与実態統計調査(第5表)1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与|国税庁

従業員数の違いから見る平均給与比較

「従業員数が多い企業」を大企業と仮定しましょう。厚生労働省の公表している企業規模別・年齢別の平均年収をまとめたのが次の表です。

年代 従業員数
1,000人以上 100~999人 10~99人
~19歳 271万円 248万円 234万円
20~24歳 349万円 315万円 287万円
25~29歳 447万円 380万円 334万円
30~34歳 527万円 433万円 375万円
35~39歳 594万円 475万円 414万円
40~44歳 648万円 516万円 439万円
45~49歳 713万円 546万円 452万円
50~54歳 774万円 562万円 453万円
55~59歳 760万円 557万円 443万円
60~64歳 479万円 409万円 376万円
65~69歳 405万円 346万円 322万円
70歳~ 380万円 364万円 304万円

(注)年収は、「決まって支給する現金給与額」を12倍した金額に「年間賞与その他特別給与額」を加算して計算しています。金額の単位は万円で、小数点以下四捨五入しています。

参考

第1表  年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・産業別)|厚生労働省

日本の労働者の平均年齢が46.4歳であることを踏まえると、従業員数が多い企業ほど平均給与が高いことが分かります。

企業ごとの平均年収ランキング【トップ30】

「平均年収が高い会社」を大企業と仮定しましょう。東洋経済オンラインに掲載された平均年収「全国トップ500社」ランキングのうち、上位30社の会社名・平均年収・主な事業内容をまとめたのが次の表です。

順位 会社名 平均年収 主な事業内容
1 M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 2,994万円 M&A仲介事業
2 株式会社キーエンス 2,088万円 センサ、測定器
3 株式会社マーキュリアインベストメント 1,822万円 投資助言業
4 株式会社東京放送ホールディングス 1,632万円 認定放送持株会社
5 GCA株式会社(旧:GCAサヴィアン株式会社) 1,559万円 M&Aアドバイザリー業務
6 三菱商事株式会社 1,540万円 大手総合商社(注2)
7 株式会社ストライク 1,539万円 M&Aの仲介
8 ヒューリック株式会社 1,530万円 不動産賃貸事業
9 朝日放送グループホールディングス株式会社 1,478万円 認定放送持株会社
10 日本テレビホールディングス株式会社 1,461万円 認定放送持株会社
11 伊藤忠商事株式会社 1,460万円 大手総合商社(注2)
12 野村ホールディングス株式会社 1,455万円 持株会社
13 三菱ケミカルホールディングス 1,440万円 グループ会社の経営管理
14 三井物産株式会社 1,419万円 大手総合商社(注2)
15 株式会社テレビ東京ホールディングス 1,392万円 認定放送持株会社
16 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 1,391万円 デジタルエンタテインメント事業
17 東京海上ホールディングス株式会社 1,390万円 保険持株会社
18 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 1,378万円 金融持株会社
19 日本商業開発株式会社 1,368万円 不動産投資事業
20 ファナック株式会社 1,347万円 ロボット事業(注3)
21 丸紅株式会社 1,322万円 大手総合商社(注2)
同率21 マクセルホールディングス株式会社 1,322万円 グループ経営戦略立案及び事業会社の統括管理等
23 株式会社日本M&Aセンター 1,319万円 M&A仲介
24 株式会社RKB毎日ホールディングス 1,315万円 認定放送持株会社
25 住友商事株式会社 1,304万円 大手総合商社(注2)
26 株式会社電通 1,272万円 「Integrated Communication Design」を事業領域としたコミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供
27 株式会社スカパーJSATホールディングス 1,248万円 持株会社
28 株式会社ジャフコ 1,246万円 投資(注3)
29 三菱地所株式会社 1,229万円 オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸、管理
30 中部日本放送株式会社 1,225万円 グループ会社の経営管理

(注)主な事業内容は、各会社HPの「事業内容」に第1番目に記載されている項目を参考にしています。

(注2)五大商社(三菱商事・三井物産・住友商事・伊藤忠・丸紅、各略称)は大手総合商社と記載しています。

(注3)各会社HPの「事業内容」の記載がない会社です。会社HP内から検索して記載しています。

参考

最新!平均年収「全国トップ500社」ランキング|東洋経済ONLINE

どの企業も平均年収が高いだけでなく、知名度も高いことが分かります。なかには非上場企業もありますので、上場しているから平均年収が高いというわけではないことも併せて注視しましょう。