職務経歴書の退職理由の書き方~定型文以外~
職務経歴書に退職理由を書いた方がいいケースもあります。それは、職務経歴書を見たときに人事担当者が気になるポイントを含んでいる場合です。ポイントは「転職回数が多い」「働いていない期間が長い」「職歴が多彩」の3つです。
転職回数が多い場合
転職回数が多いと、人事担当者は「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか」と思います。年齢にもよりますが、30歳までに転職回数が4回以上ある場合は、人事担当者としては気になるようです。「一身上の都合により退職」の定型文では、経緯をくみ取ってもらうことはできず、ネガティブな評価を受ける可能性が高いです。
そこで、転職に至った理由がある場合は、その事実をきちんと記載するようにします。例えば、「結婚に伴い退職」「出産に伴い退職」「親の介護により退職」「配偶者の転勤により退職」など、ライフステージの変化や生活のためにやむを得ない場合は、事実を伝えた方がいいでしょう。
そのような事実がない場合は、ポジティブな理由を書くようにしましょう。「キャリアアップのため退職」「資格取得の勉強のため退職」などです。完全なうそを書くと人事担当者に見抜かれますが、物事には常に二面性があります。例えば、「仕事が嫌で辞めた」という理由も、考え方によっては「キャリアアップのための退職」となります。その後の職歴が、違った業界であるなら「他業界へ挑戦するため退職」と言い換えることもできるでしょう。
自分の人生の幸福をつかむために、仕事を変えるのは悪いことではありません。考え方によってはポジティブな側面を人事担当者に伝えることができます。
長期のブランクがある場合
離職してから、半年、数年と働いていない期間があると、人事担当者は「この人はすぐに職場復帰できるのだろうか?」「離職中は何をしていたんだろう……」と思うものです。人事担当者の不安を払拭するには、定型文ではない退職理由を書いた方がいいでしょう。
出産、育児、体調不良、介護など、正当な理由がある場合は、その旨を明確にします。例えば、「出産に伴い退職」や「病気治療のため退職」と明記します。面接で、人事担当者に質問される可能性があるため、現在は勤務に支障がないことを伝えられるようにしましょう。
- 出産 :育児が落ち着いたため、勤務には支障はありません。
- 育児 :育児が落ち着いたため、勤務には支障はありません。
- 体調不良:〇月〇日に完治しており、勤務に支障はありません。
- 介護 :体調が回復したため、勤務には支障はありません。
また、他の業界にチャレンジするために資格取得やスキルアップを目指していた場合は、取得した資格を明記してポジティブに伝えるようにします。
- 資格取得のため退職(〇月〇日、××の資格を取得)
もし、資格が取れていなくても、資格を取得しようと行動した「行動力」や「向上心」をポジティブにアピールするようにしましょう。
職歴が多彩な場合
職歴が多彩な場合は、自分なりの考え方を持っておくことが大切です。例えば、「旅行会社営業」「小学校教員」「フリーライター」という経歴であれば、なぜ退職(転職)をしたのかを簡潔に表現しておくと人事担当者も質問がしやすいでしょう。
- 研修担当をする中で教育に課題意識を感じ教員へ転身
- 知識格差を解消するためにフリーライターに転身
あるいは、面接のときに質問してもらえるように「〇〇になるために退職」という書き方にとどめておくやり方もあるでしょう。どちらにしても、「多彩」は「一貫性がない」と受け取られる可能性があります。自分の考えを言語化しておくことが大切です。
職務経歴書の退職理由で書くとNGなこと
職務経歴書の退職理由に「不満」と受け取られかねない内容を書くのはNGです。具体的には人間関係と会社の待遇や制度が挙げられます。パワハラやいじめ、残業代未払いなど、明らかに上司・同僚や企業側に責任がある場合を除いては、ネガティブな理由を書くのは避けた方がいいでしょう。
人間関係の不満はNG
リクナビNEXTの転職・退職理由の調査によると、人間関係が上位になっています。人間関係がうまくいかずに退職するケースは、周囲を見ても多いのではないでしょうか。つまり、人間関係がうまくいかないことは、どこの企業で働いても起こり得ることです。ですから人事担当者は、「入社しても人間関係が苦しくなったら、また辞めてしまうのでは……」と感じます。
大切なのは、人間関係がうまくいかなかったときに具体的な行動を起こし、退職から学んでいるかです。例えば、改善しようと話し合いの場を持った、人間関係が円滑になるよう上司に何か提案した、というような行動です。また、退職を決断するに至り、何を学び今後に生かしたいと思っているかを伝えられるようにしましょう。それができないのであれば、人間関係を理由に退職したと記載するのはネガティブに受け取られるリスクが高いです。
参考
転職理由と退職理由の本音ランキングBest10|リクナビNEXT
待遇・報酬への不満はNG
待遇・報酬への不満も人間関係と同様です。「仕事がきつすぎる」「給与が見合っていない」というものは、人によって感じ方が変わりますし、立場が変われば変わります。これを退職理由にしてしまうと、「ただ苦しい状況から逃げてきた人」と受け取られてしまいます。状況や環境のせいにするのは簡単ですが、原因を外に求める人材を人事担当者は採用したいと思うでしょうか? 答えは、NOです。
待遇や報酬に不満を退職理由にするのであれば、改善のために行った具体的な行動を書けることが条件です。それがなければ、ただの不満になるので避けた方がいいでしょう。
まとめ
職務経歴書は、自分という人材を企業にアピールするためのツールです。退職理由がネガティブなものであれば、アピールになりません。退職理由を、どのようにアピールするかを考えて職務経歴書を作成しましょう。アピールするのが難しい場合は、定型文で簡単に記入するのがおすすめです。
参考
退職理由のホンネとタテマエ会社に伝えた退職理由は「家庭の都合」、実際は…?|エン・ジャパン
退職理由、どう書けばいい…?│履歴書・職務経歴書の書き方ノウハウ!|エン転職
職務経歴書の退職理由・転職理由はどう書くべき?|ケース別の印象が良くなる書き方解説。|エン転職
職務経歴書や履歴書に退職理由は書かない方がいい?|マイナビ転職
履歴書の退職理由は「一身上の都合」以外ダメ?書いてもいい3つの理由|転職Hacks
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