司法書士合格のための勉強目安時間は?
「コツコツ地道に頑張るとしても、2年、3年とそういう生活に耐えられるかな?」という不安もあるかもしれません。司法書士合格に必要な総勉強時間数はどの程度なのでしょうか。
予備校などに通って3,000時間
資格予備校のTACによると、予備校に通って司法書士試験に合格した人の平均勉強時間はおおよそ3,000時間に上るそうです。平日に1時間、週末の土日に4時間ずつ計8時間勉強すると、3,000時間に到達するためには4年半もかかります。
参考
平日の勉強時間を2時間にすると2年半程度となります。しかしこれは資格予備校に通う場合ですので、通学のための時間なども別に見込む必要があります。
独学ならプラス1,000〜2,000時間と考えよう
完全独学なら、3,000時間に1,000〜2,000時間の追加勉強時間が必要というのがTACの推測です。1週間に40時間勉強したとして、2〜3年で到達できる時間数です。
1週間あたり40時間は労働基準法に定められた労働時間と同じですから、生活のほとんどを勉強に割く必要があるという印象です。司法書士試験に独学で合格するためには毎日コツコツ勉強する生活を数年間続ける必要があるという、具体的なイメージが浮かぶのではないでしょうか。
司法書士試験にはどのような問題が出るの?
「そんなに勉強しなければならないって、どんな問題が出るの?」と驚いた人もいらっしゃるのではないでしょうか。司法書士試験にはどのような問題が出るのか、簡単に紹介します。司法書士試験は2日間行われます。また、3つのパートに分かれており、それぞれ異なる問題が出題されます。
筆記試験午前の部
例年7月の初めに実施される1日目の試験は午前・午後に分かれています。午前の部は2時間で、憲法・民法・刑法・商法・会社法に関する選択問題が出題されます。
【午前の部 9:30~11:30(2時間)】 | ||
科目 | 多肢択一式 | 記述式 |
憲法 | 3問 | – |
民法 | 20問 | – |
刑法 | 3問 | – |
商法(会社法を含む) | 9問 | – |
(司法書士試験情報|司法書士試験の対策なら【Wセミナー】より筆者作成)
筆記試験午後の部
続いて、午後の部は3時間です。司法書士は少額の訴訟を扱うことができるため、民事訴訟に関する知識も問われます。また、不動産登記法・商業登記法については選択問題だけでなく記述問題も出題されます。
【午後の部 13:00~16:00(3時間)】 | ||
科目 | 多肢択一式 | 記述式 |
民事訴訟法 | 5問 | – |
民事保全法 | 1問 | – |
民事執行法 | 1問 | – |
司法書士法 | 1問 | – |
供託法 | 3問 | – |
不動産登記法 | 16問 | 1問 |
商業登記法 | 8問 | 1問 |
(司法書士試験情報|司法書士試験の対策なら【Wセミナー】より筆者作成)
筆記試験が終了すると、合格者の発表が行われます。筆記試験に合格した人のみ次の口述試験に進むことができます。年によって違いがありますが、合格するための目安はおおよそ8割の正答率と言われています。
参考
【司法書士】試験倍率について知ろう! | 法律資格合格応援サイト
口述試験
口述試験は例年10月に実施されます。一人あたりの持ち時間は15分です。不動産登記法・商業登記法・司法書士法を中心に、司法書士の実務に関する問題が出題されます。
法務省のウェブサイト上で過去問が公開されています。ただし、口述試験は非公開となっているので、どのような形式で行われるのか知りたい人は参考書などを参照してください。
参考
実際に独学で合格した人はいる?
ここまで司法書士試験の難しさを確認してきました。しかし、なかには独学で合格した人もいます。独学で大切にしたいポイントを体験談から探してみましょう。
超長期戦になることを覚悟しよう
まず,受験勉強は長期戦なので,直前期を見据えて効果的な計画を練る必要があります。
私の場合,やると決めたときが吉日と思いましたが,初年度は6ヵ月しか勉強期間がなく,まったく力及ばず不合格に終わりました。
そして,次年度は,受験費用調達のために不合格決定の日から丸3ヵ月間勉強を中断したため,充分な計画が練られず惨敗でした。
不合格決定後,長期間の受験勉強の空白は,最初からの出直しと等しく,思考上も経済上も好ましくありません。そこで,3年目は辛い気持ちを抑え,試験明けから合格体験記をできるだけ集め,年内に(1)マイナー科目を潰すこと,(2)苦手科目の克服,(3)得意科目の徹底化をスローガンに,勉強計画をまとめました。
そして,直前期に,力のすべてを注げる状態にもって行くように努めました。
(引用元:「独学での戦いを仲間と支え合い合格!」合格体験記 司法書士試験|東京法経学院)
上の体験記のF.Sさんはアルバイトで生計を立てながら3年間で合格したそうです。最初の2年間は勝手が分からないまま勉強していたそうですが、3年目はそれまでの経験をもとにしっかりと計画を練って合格を勝ち取りました。
このように、スランプに陥ったり、さまざまなやむを得ない事情で勉強が進まなかったりと、司法書士試験のための勉強は超長期戦になりがちです。最初からその心づもりで、入念に計画を練る必要があります。「試験直前に全力を注げるように調整する」というバランス感覚も参考にしたいところです。
自分なりの勉強法を見つけて中だるみを防ごう
勉強を始めて2年目の頃までは試験を甘く考えて、基礎をおろそかにし結果的に無駄な時間を消費してしまったと反省しています。基礎を固め応用力をつけるには、ありきたりですが、ブレークスルーのような基本書を読み、論点別に整理された過去問を解き、記述のひな形を一通り覚え、記述の問題を解く、という順番で勉強を行い、それが一巡した後は、過去問・答練・公開模試の問題の繰り返しと条文とテキストに当たりながらの理解の深化を進めるのがよいのではないでしょうか。
(引用元:2018年度合格 臼井 憲雄さんの合格体験記 – 司法書士|LEC東京リーガルマインド)
会社員として働きながら、10回受験して合格した臼井 憲雄さんの体験記です。受験回数を重ねる中で、以下のような勉強のパターンを見つけて蓄積していったそうです。
- 基本書を読む(知識をインプット)
- 論点別に過去問を解く(インプットした知識の再確認)
- 記述のひな形を暗記する(応用問題の解き方を覚える)
- 記述問題を解く(応用問題を自力で考えられるようになる)
自分なりの勉強方法を確立し、各法律の勉強を一通り終えるまでにはどのくらいかかるのかを実際に体験して、スケジュールを考えていく方法です。時間はかかりますが細かい目標を設定しやすく、中だるみしにくい勉強方法と言えるでしょう。
まとめ
合格率は全受験者の5%を切ると言われている司法書士試験。独学で合格するには時間をかける覚悟と、途中で投げ出さないための工夫が必要です。ぜひ子供に合った勉強方法を見つけてください。途中途中で刺激を受けるためにも、積極的に模試などを受験すると良いでしょう。
参考
「独学での戦いを仲間と支え合い合格!」合格体験記 司法書士試験|東京法経学院
2018年度合格 臼井 憲雄さんの合格体験記 – 司法書士|LEC東京リーガルマインド
【司法書士】大学生が(司法試験ではなく)あえて司法書士試験に合格するメリット② | 法律資格合格応援サイト