実際の報酬ベースで考えてみよう
続いて、実際に報酬を公開している行政書士の例から売上について考えてみましょう。
ある行政書士法人の日当
横浜市にある「あおば行政法務事務所」が報酬目安を分かりやすく公開しているので参考にします。案件によって異なりますが、だいたいの目安は以下のようになっています。
報酬額 | |
日当(半日) | 30,000 |
日当(一日) | 50,000 |
書類作成(宅地建物取引業者免許申請) | 10,000〜200,000 |
(報酬額の目安 | 横浜市青葉区の行政書士あおば行政法務事務所より筆者作成)
行政書士がクライアントの業務に同行したり、代理で出かけたりする場合は日当が発生し、別途書類作成にはそれぞれ費用がかかるというイメージです。50,000円の書類を作成し、提出まで行った場合、総額80,000円が報酬額ということなります。
なお、この例は横浜市という都市部の行政書士の場合です。地方では報酬額の相場が少ないことも予想されます。
統計上報酬額の大きい案件
日本行政書士会連合会が行った「平成27年度報酬額統計調査」によると、報酬額の大きい案件は建設業の許認可に関するもので占められています。一例で個人の建設業許新規可申請(知事免許)の場合で平均118,204円ほどとなっています。
「建設業の案件をいっぱい扱えばそれなりに稼げるのでは?」と思うかもしれませんが、建設業免許の更新は5年に1回しかありません。「報酬額が大きい案件=めったにない」を前提に、リピーターのクライアントを逃さず、かつ日常的には細かい案件を無理なく取っていくことが大切だと言えるでしょう。
参考
建設業許可の更新について抑えておくべき5つのこと | 建テル
毎日依頼があるわけではないことに注意
報酬額ベースで考えると「そこそこ稼げそうな職業」という印象ですが、毎日依頼があるわけではないことに注意が必要です。
単純計算で月に40万円稼ぐためには100,000円の依頼が毎週1本以上必要になりますが、このような高額案件はめったにないということを見てきました。
また、書類作成には数日かかることも考えると、行政書士一人では多数の案件を捌けないことも分かります。
行政書士法人の求人を見てみよう
「独立して行政書士の事務所を開くのは大変そう。サラリーマンとして行政書士の業務に携わることはできるかな?」と考えた人もいるのではないでしょうか。実際の求人内容を見てみましょう。
有資格者の場合
「求人ボックス」によると、関東圏の求人は比較的平均年収が高めのようです。
平均値 | 年収(万円) |
関東 | 407 |
東京都 | 479 |
埼玉県 | 385 |
神奈川県 | 385 |
(行政書士の仕事の平均年収は400万円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックスより筆者作成)
ただし、2020年1月現在公開されている求人を見ると、平均に届かなそうなものも散見されます。以下は新着の求人からピックアップした内容です。
月給(万円) | |
埼玉県 | 18〜25 |
東京都 | 19〜30 |
新潟県 | 22〜 |
参考
ゆだ行政書士事務所 行政書士業務の求人詳細情報 – さいたま市 大宮駅 | 求人ボックス
行政書士 平成国際法務事務所 土屋慧 使用人行政書士の求人詳細情報 – 新宿区 高田馬場駅 | 求人ボックス
行政書士法人 倉敷昭久事務所の求人情報 | 転職・求人情報サイトのマイナビ転職
年収のボリュームゾーンは平均より少なく、ごく稀に高額な年収のある行政書士がいるというのが実情のようです。
正社員の給料分布を見てみるとボリュームが多いのは273〜326万円の水準で、平均年収の400万円はこのゾーンよりも高い水準に位置しています。
(引用元:行政書士の仕事の平均年収は400万円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス)
サラリーマンとして働くのではなく独立開業を選ぶ行政書士が多いのは、全体的な給与水準が高くないことが関係しているのかもしれません。
補助的業務の場合
補助的業務を行うアルバイト・パートの平均時給は、2019年12月29日現在で973円となっています。一般的なアルバイトより多少高額という印象ですが、飛び抜けて高いというわけでもなさそうです。
参考
行政書士の仕事の平均年収は400万円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス
まとめ
士業の中では比較的挑戦しやすいとされる行政書士の年収について、公開されているさまざまなデータから考えてみました。行政書士資格を持っているというだけで稼げるというわけではなく、さまざまな経営的工夫が必要な職種だということが分かりました。どのように仕事をしていくのか、イメージをつかむための参考になさってください。
参考