履歴書に家族構成を書きたくないときの対処法
企業が指定する履歴書やエントリーシートに家族構成を尋ねる欄がある場合、差し支えなければ書いておいた方が良いでしょう。しかし、本来であれば書く必要はありません。そもそも、家族構成を企業側に伝えることは義務ではないからです。それどころか、本来、企業は応募書類や面接で家族状況などについて尋ねてはいけないとされています。以下、家族構成を書きたくない場合の対処法についてご紹介します。
企業は本来、採用選考で家族構成を尋ねてはいけない
厚生労働省が呼びかけている「公正な採用選考の基本」では、就職の機会均等の実現のために、以下の2つの事項を守るよう企業に求めています。
- 応募者の基本的人権を尊重すること
- 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと
(引用元:公正な採用選考の基本│厚生労働省)
上記2点からも分かるように、企業は本人の能力や適性以外の点を採用の条件としてはなりません。公正な採用を行うために、応募者の適性・能力と無関係な家族状況や生活環境といった事柄を尋ねることは認められていないのです。
厚生労働省のホームページにも、家族状況を尋ねないことの重要性が記述されています。
応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。これらの事項は採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります。
(引用元:公正な採用選考の基本|厚生労働省)
家族構成や家族の職業などは、採否の材料にしてはならないというだけでなく、尋ねること自体すべきでないとしています。
さらに厚生労働省は、個人情報保護の観点からも、採用における社会的差別の原因となる可能性を持つ情報の収集は認められないと明言しています。
しかしながら、現実には採用選考時に家族構成について質問されるケースは少なくありません。平成28年度、ハローワークには「本人の適性・能力以外の事項を把握された」との指摘が1,134件寄せられており、そのうち47.7%が「家族に関すること」でした。面接時に空気を和ませるために聞いてしまうことが多いようです。
参考
家族構成を書きたくないときの対処法
履歴書に家族構成欄がある場合は、差し支えなければ書いた方が良いでしょう。とはいえ、どうしても書きたくない場合は、企業側にその旨をどのように説明すれば良いのか分からない人もいるでしょう。
基本的には、「家族構成については答える義務がないので、省略いたします」、または「省略いたします」ということを記載することになります。もう少し印象を和らげたい場合には、「大学の就職課から伝えなくて良いと聞いているので、省略いたします」としても良いでしょう。
ただ、本来、家族構成を尋ねるべきでないことを承知の上で欄を設ける企業もありますので、このように記載する場合は、多少心証が悪くなることも覚悟しておいてください。
面接時にさらにしつこく家族構成を聞いてくるようでしたら、質問の意図を尋ねることをおすすめします。もし、採用選考の判断材料として家族構成や家族状況を把握しようとしているように感じられたら、本当にそのような企業で働きたいのかを今一度熟考してみても良いかもしれません。
現在は家族構成欄のない履歴書がほとんど
現在広く使われている履歴書やエントリーシートには、家族構成を尋ねる項目を設けているものはほとんどありません。企業も家族構成について質問すべきでないことは理解しているはずなので、そのような欄が設けられている場合は、古いフォーマットの応募用紙を変更せずそのまま使っているなどの理由が考えられます。
おわりに
企業が選考の際に応募用紙や面接で家族構成を尋ねることは、基本的には認められていません。そのため、家族構成を企業側に伝える義務はありませんが、差し支えなければ書くようにしましょう。どうしても書きたくない場合には、覚悟をもってその旨を伝えましょう。
社会人になると、役所に提出する書類などで家族構成を書く機会が増えてきます。家族構成の基本的な書き方の知識は無駄にはなりませんから、この機会に確認しておくことをおすすめします。
参考
履歴書に家庭状況や親の職業などを書く家族構成欄があった場合の書き方|ジョブインフォ
「あなたとの続柄」の書き方まとめ 続柄一覧と「本人」の場合|Mayonez