ポテンシャル採用とはどういうもの?新卒採用と若者中途採用の現在

就職活動に取り組む学生のみなさんは、「ポテンシャル採用」という言葉に触れたことがあるのではないでしょうか。ポテンシャル採用は近年、中途採用の場面でクローズアップされてきた概念ですが、新卒採用や企業の人材育成などとも密接な関係を持っています。ポテンシャル採用の意味や日本の労働市場・採用慣行について、総合的に解説します。

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ポテンシャル採用とはどういうもの?

潜在能力と将来性を重視した採用のこと

ポテンシャル(potential)とは「可能性」「潜在能力」という意味です。つまり、ポテンシャル採用とは「ポテンシャルを重視した採用」のことを指します。募集職種についてのスキルや経験よりも、人材の潜在能力や将来性に期待し、評価の重点を置いた採用のことを指します。募集形態や採用区分を表すのではなく、企業の採用姿勢を表す言葉だと理解してください。

新卒採用はもともとポテンシャル重視

新卒採用は、もともとポテンシャルを重視した採用です。日本の雇用は新卒一括採用と企業内教育を特徴としており、スキルや経験は採用後に獲得するものでした。こういった採用形態は「仕事競争モデル(Job Competition Mode)」や「白い布仮説」で説明されます。

仕事競争モデルとは、職業能力は就職後の企業内教育で獲得するもので、求職者は能力の高さで賃金を巡って競争するのではなく可能性の高さを巡って競争する、というモデル。白い布仮説とは、「白い布は何色にでも染められる」ため新卒者を優先的に採用するというモデルです。論文『タイトな労働市場における人材の採用・定着 -企業インタビュー調査を踏まえて』は、現在でも企業の新卒採用に対する志向性は強く、白い布仮説が依然有効であることを指摘しています。

第二新卒や若手人材の中途採用にも導入されるように

とはいえ人手不足の昨今。採用難により人材を確保できない企業も増え、中途採用も増加傾向にあります。中途採用は即戦力人材の採用が基本とされていましたが、職業経験のない既卒者や20代半ば程度までの若年転職者を採用するケースも一般的になりました。

これら第二新卒や若手の採用は、新卒と同様ポテンシャルが重視されています。前出の論文『タイトな労働市場における人材の採用・定着』は、第二新卒者を中途採用し新卒者研修に合流させて教育している企業や、理念や技術継承のために職業経験のない人を優先して中途採用する企業の例を報告しています。

参考

ポテンシャル採用のメリットやデメリットとは?新たな母集団形成にも|ミツカリ公式ブログ

永野仁(2016年)『タイトな労働市場における人材の採用・定着 -企業インタビュー調査を踏まえて』日本労働研究雑誌 No.673

人手不足の今、中途ポテンシャル採用が熱い?

企業は即戦力よりポテンシャルを重視している?

それでは現在、企業の注目はポテンシャルを秘めた転職人材に向かっているのでしょうか。厚生労働省『平成27年転職者実態調査の概況』によると、転職者がいる事業所の転職者の採用理由は、次のようなものが上位を占めます。

<職種別:転職者を採用した理由>※3つまでの複数回答

1位 2位 3位
管理的な仕事 経験を生かし即戦力になるから(64.4%) 専門知識・能力があるから(43.0%) 職場への適応力があるから(25.3%)
専門的・技術的な仕事 経験を生かし即戦力になるから(64.8%) 専門知識・能力があるから(55.0%) 離職者の補充のため(48.4%)
事務的な仕事 離職者の補充のため

(59.3%)

経験を生かし即戦力になるから(45.4%) 職場への適応力があるから(29.9%)
販売の仕事 離職者の補充のため

(57.8%)

経験を生かし即戦力になるから(57.2%) 職場への適応力があるから(31.0%)
サービスの仕事 離職者の補充のため

(62.7%)

経験を生かし即戦力になるから(47.7%) 職場への適応力があるから(35.1%)
保安、生産工程、輸送・機械運転、建設・採掘、運搬・清掃・包装等、その他の仕事 離職者の補充のため

(63.6%)

経験を生かし即戦力になるから(35.1%) 職場への適応力があるから(24.3%)

参考

平成27年転職者実態調査の概況|厚生労働省,p20

また、独立行政法人労働政策研究・研修機構『企業の多様な採用に関する調査』からは、規模の大きな企業ほど「専門分野の高度な知識やスキルを持つ人が欲しいから」「高度なマネジメント能力、豊富なマネジメントの経験がある人が欲しいから」という理由の中途採用が多く、採用の達成率が高い企業ほど「専門分野の高度な知識・スキルがある人」「専門分野の一定度の知識・スキルがある人」という人材イメージを持っていることも分かりました。

参考

独立行政法人労働政策研究・研修機構(2017年)調査シリーズNo.179『企業の多様な採用に関する調査』

少子高齢化で売り手市場だから若者の転職は有利?

とはいえ少子高齢化の現在、第二新卒や若手の人材なら、希少価値があると見なされ歓迎されるのでしょうか。年代ごとの人口が異なることによってある年齢層の失業率が相対的に低くなるような効果を「コホート・クラウディング」といいます。論文『少子高齢化は若年者にとって有利だったか-世代サイズが若年労働市場に及ぼす影響をめぐって』は、「少子高齢化は若年者にとって有利だったかと問えば、コホート・クラウディング効果はあった」と結論を出しています。

一方でそのことは、第2次ベビーブーム世代の若年失業率が他世代に比べて押し上げられた可能性が高いことも意味します。こういった特定の世代に人口サイズや学卒時の景気動向が与える打撃は、後の離職率や給与水準にまで影響を及ぼします。

現在の若者は人口サイズが小さいので安心かといえば、そうとも言い切れません。『新規学卒者の就職先特徴の変化と早期離職の職場要因』は、1995年以降と1994年以前の学卒者を比較し、若者の離職に働く要因を分析した論文です。学卒時の景気の影響は依然大きいものの、長期的、構造的な就業環境の変化によって、若者が長期勤続し安定的な賃金上昇を実現できる職場自体が減ってきていることを示唆しました。

参考

太田聰一(2016年)『少子高齢化は若年者にとって有利だったか-世代サイズが若年労働市場に及ぼす影響をめぐって』日本労働研究雑誌 No.674

太田聰一(2018年)『「世代の労働経済学」から現在の労働市場を見る』ビジネス・レーバー・トレンド 2018.1-2号

小林徹(2016年)『新規学卒者の就職先特徴の変化と早期離職の職場要因』日本労働研究雑誌 No.668