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2020年4月から、大学の無償化制度がスタートします。親の離婚など、経済的な事情で進学を諦めていた子供たちにとっては、将来の道を開く希望の一歩となるでしょう。支援を受けるための収入要件はどういったものなのか、どのくらいの支援が受けられるのか。制度成立の背景や研究を基にお伝えします。経済負担と制度の公平性についても、一緒に考えていきましょう。
もくじ
大学無償化=高等教育の修学支援新制度とは?
経済状況の苦しい家庭の大学進学を支援する
2020年4月1日から、高等教育の就学支援新制度、いわゆる大学の無償化がスタートします。制度の目的は、経済状況の苦しい家庭の学費負担を軽減し、高校卒業後の進学を支援すること。無償化制度の具体化に向け、2018年12月に行われた関係閣僚会合では、制度の趣旨を次のように確認しています。
低所得者世帯の者であっても、社会で自立し、活躍することができる人材を育成する大学等に修学することができるよう、その経済的負担を軽減することにより、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与するため、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対して、①授業料及び入学金の減免と②給付型奨学金の支給を合わせて措置する。
(引用元:幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた関係閣僚会合(平成30年12月28日)『高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要』)
制度の二本柱は「授業料等の減免」と「給付型奨学金」
高等教育の就学支援新制度は、次の2つの経済支援からなっています。
- 授業料・入学金の免除または減額
- 給付型奨学金の支給
これまでも授業料等の減免はそれぞれの学校で、給付型奨学金は2017年度入学者から日本学生支援機構によって実施されていましたが、今回の新制度によって、公費を用い幅広く制度を運用するようになりました。
支援を受けられる年収の目安と支援額
支援対象となる学生は、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生です。また申し込みの条件には、保有資産に一定の上限が設けられています。支援の対象となる世帯年収の目安は次の表の通り。この目安は両親・本人(18歳)・中学生(15歳)の4人世帯の場合の例なので、本人の年齢や家族構成などによって、基準を満たす世帯年収は変わります。
支援対象 | 年収の目安 | 支援額 |
住民税非課税世帯の学生 | ~約270万円 | 満額 |
住民税非課税世帯に準ずる
世帯の学生 |
~約300万円 | 満額の2/3 |
~約380万円 | 満額の1/3 |
支援の満額は、次の通りです。授業料等の減免額は省令に規定されている国立学校の標準額や私立学校の平均額などをベースに、給付型奨学金の給付額は学業に専念するため必要な生活費をまかなう妥当額を考慮して、設定されています。
<授業料等減免の上限額>
昼間制(年額)
国公立 | 私立 | |||
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 約28万円 | 約54万円 | 約26万円 | 約70万円 |
短期大学 | 約17万円 | 約39万円 | 約25万円 | 約62万円 |
高等専門学校 | 約8万円 | 約23万円 | 約13万円 | 約70万円 |
専門学校 | 約7万円 | 約17万円 | 約16万円 | 約59万円 |
夜間制(年額)
国公立 | 私立 | |||
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 約14万円 | 約27万円 | 約14万円 | 約36万円 |
短期大学 | 約8万円 | 約20万円 | 約17万円 | 約36万円 |
専門学校 | 約4万円 | 約8万円 | 約14万円 | 約39万円 |
通信課程(年額)
私立 | ||
入学金 | 授業料 | |
大学・短期大学・専門学校 | 約3万円 | 約13万円 |
<給付型奨学金の給付額>
昼間制・夜間制(月額)
国公立 | 私立 | |||
自宅生 | 自宅外 | 自宅生 | 自宅外 | |
大学・短期大学・専門学校 | 29,200円
(33,000円) |
66,700円 | 38,300円
(42,500円) |
75,800円 |
高等専門学校 | 17,500円
(25,800円) |
34,200円 | 26,700円
(35,000円) |
43,300円 |
※生活保護世帯で自宅から通学する学生、児童養護施設等から通学する学生はカッコ内の金額
通信課程
私立 | ||
自宅生 | 自宅外 | |
大学・短期大学・専門学校 | 51,000円 |
支援の対象になるか、どのくらいの支援が受けられるかは、日本学生支援機構のホームページ「進学資金シミュレーター」でおおまかに調べることができますから、確認してみましょう。
参考
学びたい気持ちを応援します-高等教育の修学支援新制度|文部科学省
大学無償化の背景:収入と進学の格差
家庭の経済力と進学率の関係
家庭の経済状況によって高等教育を受ける機会に格差が生じていることは、2000年代の始め頃から、さまざまな研究や調査によって指摘されてきました。次に示すグラフは、平成28年度の文部科学省の先導的大学改革委託推進事業 「家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究」において、東京大学を中心とする研究グループが、2016年度の高校卒業者の保護者に対するアンケート調査を基に明らかにしたものです。
■家計年収別・高校卒業後の進路(%)
(参照元:平成28年度文部科学省先導的大学改革委託推進事業 (2017年)『家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究報告書』第2部第1章, p.57)
■年収階級別・「経済的に進学が困難だった」(就職者のみ、%)
(参照元:平成28年度文部科学省先導的大学改革委託推進事業 (2017年)『家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究報告書』第2部第1章, p.60)
家庭の年収が高くなるほど大学進学、特に私大進学率が高くなること、浪人含め大学を希望する割合が高くなることが分かります。一方、年収が低くなるほど就職率が高くなり、「経済的に進学が困難だった」人の割合も多くなります。報告書は、進学機会や経済的負担感に、年収650万円程度のところで明確な断絶があると指摘しています。
自宅外通学にかかる高いコスト
報告書は、収入の格差が自宅外通学の可否に影響することも指摘しています。下のグラフは、三大都市圏とその他の地域での進学率の違いを比較したものです。家計年収が同程度であれば三大都市圏出身者の方が大学進学率が高いこと、三大都市圏以外の国公立大学では年収650万円を境に自宅外通学が増えること、私立大学への進学についても、自宅通学では年収による差があまり見られないのに対し自宅外になると格差が生じることなどが読み取れます。
■年収階級別、高等教育への進学率(三大都市圏、%)
■年収階級別、高等教育への進学率(その他の地域、%)
(参照元:平成28年度文部科学省先導的大学改革委託推進事業 (2017年)『家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究報告書』第2部第1章, p.58)
預貯金などの資産が進学に与える影響
報告書は、家庭の資産と進路の選択の間に関係があることも明らかにしました。下のグラフは、資産(預貯金、有価証券)の額によって進路にどのような違いがあるかを見たものです。大学進学、特に私立大学への進学において資産額と進路に明確な関係があること、資産の少ない家庭ほど就職が多いことなどが分かります。
■資産別進路
(参照元:平成28年度文部科学省先導的大学改革委託推進事業(2017年) 『家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究報告書』第2部第6章, pp.120)
参考
平成28年度文部科学省先導的大学改革委託推進事業(2017年) 『家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究報告書』