こんなときはどうする?
いくつかのテンプレートを見比べてみると、「ここは、どうすればいいのかな?」と悩むことがあります。一般的なマナーとしてはどう書けばいいのでしょうか。
拝啓?前略?どちらが良いの?
送付状の多くは、以下のような体裁をとっています。
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日付
相手方住所・名称
送付者住所・名称
書類送付のご案内(タイトル)
挨拶文
記
- 添付書類一覧の箇条書き
以上
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挨拶文を見ると、「拝啓」から始まるものもあれば「前略」から始まるものもあります。これらは「頭語」と言いますが、どちらを使うのが正しいのでしょうか。
結論から言えば、どちらも間違っているわけではありません。しかし、「拝啓」に比べると、「前略」の方がややカジュアルな印象になります。そのため、まだ関係性が深くない相手に対しては「拝啓」を使うべきだという考え方が一般的です。なお、「拝啓」「前略」ともに、使い方に気をつけるポイントがありますのでご注意ください。
頭語は、結語とセットで用います。「拝啓」から始めた挨拶文は「敬具」という結語で締めます。「草々」を使うことはありません。また、「拝啓」の後には時候の挨拶が必要です。時候の挨拶は季節によって変わりますので、適切なものを選びましょう。
法人に対しての挨拶文では、時候の挨拶の代わりに以下のものを使うこともあります。
- 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
- 時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます
こちらは季節に関係なく使えて、便利な挨拶文です。自分用にテンプレートを保存しておく場合は、この挨拶文を入れておくと良いでしょう。
「前略」を使いたい場合は、挨拶文は「草々」で締めます。前略とは「時候の挨拶を省略させてもらいます」という意味です。簡略化した挨拶文なので、締めの言葉も「草々」になるということです。正式な挨拶文に用いる「敬具」は、ここでは使いません。
「前略」はカジュアルな雰囲気のある頭語なので、以下のような場合にのみ使用します。不用意に使うと相手から不興を買う恐れもあるので、求職中のような気を遣うタイミングでは避けた方が無難でしょう。
- 書類送付の相手が昔からの知り合いなどである場合
- 非常に急いで書類を送付したことを伝えたい場合
- 謝罪込みで書類を送付する場合
時候の挨拶が必要ない「前略」ですが、何も挨拶がないと締まりが悪いという理由で「平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます」などの挨拶文のようなものを挿入することもあります。
参考
申し添えたいことはどのくらい書いて良い?
送付状の後半は「記」の下に、添付書類一覧の箇条書きを入れます。これは、挨拶文で「以下の書類を送ります」と書いた内容を改めて正確に伝えるものです。箇条書きの下には「以上」がありますから、「これより下には何も書いていません」ということになります。
そのため、申し添えたいことは冒頭の挨拶文に入れるときれいに整います。送付状全体を見たときに、この挨拶文がどのくらいの長さだと見栄えが良いか、印刷前に確認しましょう。
また、送付状が2枚になってしまうようなことは避けましょう。送付状はあくまでも添え状ですので、A4用紙1枚だけで内容が完結するように作成します。
手書きで送りたい!気をつけることは?
顔合わせのお礼状♡腹痛により字が弱々しくなったw 書き直す時間ないので(内容考えるだけで頭パンパンw)、このまま送ることに(笑) 手紙の縦書きはほんと難しい(-ω-;)もっと練習しなきゃ!!書くとき本当緊張した(´pωq`) pic.twitter.com/GqZMP9oRR0
— JILL (@jill0231) April 16, 2013
(参照元:jill0231 | Twitter)
業種や相手との関係性などの理由で「どうしても手書きで送りたい」という人もいるでしょう。日本語で書く正式な手紙は、縦書きです。まずは、縦書きができる便箋を用意しましょう。便箋に絵柄が入っている場合は、季節に合ったものであるかをチェックしてください。
縦書きの手紙は、横書きの手紙と書く順番が異なります。以下に、箇条書きで書く順番を示します。
- 頭語
- 挨拶文
- 結語
- 送付年月日
- 送付者氏名
- 送付先企業名・担当者名
縦書きの手紙にあまりなじみのない方は意外に思われるかもしれませんが、縦書きでは相手の名前を最後に書くルールになっています。横書きの場合とは異なるので、順番に気をつけて書くようにしましょう。書く内容は、パソコンで作成する場合と同様で良いでしょう。
送付状は絶対に付けるべきなの?企業の評価
「ここまで読んでみたものの、送付状の必要性が分からない」「逆に廃棄の手間をかけてしまうのでは?」と、送付状を付けることにためらいを感じる方もいるかもしれません。実際の採用現場では送付状のあり・なしはどのように捉えられているのでしょうか。
付けてほしいという意見
リクナビNEXTが企業の採用担当者300名に対してアンケート調査したところ、「送付状を付けてほしい」と考える採用担当者は全体の約3割に上ったそうです。
以下で、送付状が必要だという採用担当者の意見をご紹介します。
■真剣さを判断する一環としてチェックします【サービス系 1,000~3,000人未満】
■添え状は必須要件ではないですが、アピールポイントにはなると思います【その他 100~300人未満】
(引用元:履歴書・職務経歴書の送付状の書き方とマナー | リクナビNEXT)
また、「どうしても選べないという場合は選考の対象になるかもしれないが、そういったことはまずあり得ない」という意見もありました。
■定員募集の場合、採用人数をオーバーできないので、同率の評価の人物のどちらかを選ぶとなれば、好感のあるカバーレターであれば、その人物を採用したい。が、まず同率評価になる事はない【商社系(総合商社・素材・医薬品他) 500~1,000人未満】
(引用元:履歴書・職務経歴書の送付状の書き方とマナー | リクナビNEXT)
送付状を重視するかは、採用担当者の価値観だけでなく、企業風土によっても変わってくるでしょう。比較的堅実な業種を志望する場合は、礼儀作法をしっかり見られる可能性が高くなります。念のため、送付状を用意しておくと良いでしょう。
どちらでも良いという意見
一方、7割近くの企業は「あってもなくてもどちらでも良い」という意見です。
■履歴書の一部とみなしている。紙幅の都合で書ききれなかったことの補足と考えているが、それ以上でも以下でもない【メーカー系(電気・電子・機械系) 1,000~3,000人未満】
(引用元:履歴書・職務経歴書の送付状の書き方とマナー | リクナビNEXT)
「履歴書に書ききれないことがあったんだな」と、実務的に捉える意見が見られました。一方、「なくても構わないが、あったらちゃんと見る」という意見もありました。
■気遣いのあらわれになるのであればプラス評価だが、無いからと言って減点にはしない【サービス系 100~300人未満】
■礼儀正しいしっかりした人だという印象を持ちます。書類で落とすことはせず、会ってみようと思います【サービス系 100~300人未満】
(引用元:履歴書・職務経歴書の送付状の書き方とマナー | リクナビNEXT)
送付状がプラスになることはしばしばあるが、ないことがマイナスになることは少ないというのが全体の傾向のようです。求人の際に企業が人材に求めることは、「その会社の仕事がこなせること」ですが、それ以外にも「既存のメンバーとうまくやれるか」「チームとして働ける人材か」ということも見られています。送付状を上手に活用すれば、相手のことを考えて気遣いができる人物だとアピールできる可能性があります。
まとめ
紙で書類をやりとりする機会が少なくなりつつある昨今、「人生で初めて送付状を作る」という方も少なくないかもしれません。これはすべての人間関係につながることですが、特に求職活動で大切なのは「相手のことを考えて行動する」ということです。送付状を送るか送らないかも、どのような送付状を作るのかも、最終的にはここにつながります。相手企業のことを考えつつ、自分らしい求職活動をしてください。
参考
挨拶状文例集【時候の挨拶、頭語・結語。忌み言葉】|プリントメイト
履歴書・職務経歴書の送付状の書き方とマナー | リクナビNEXT
履歴書・職務経歴書に同封する添え状(送付状)の書き方 | リクルートエージェント