新卒の通年採用のデメリット
しかし一方で、通年採用にもデメリットは生まれます。具体的にはどのようなデメリットが考えられるのか、企業側、学生側の両方の視点で説明していきます。
企業側のデメリット
通年採用が企業側にもたらすデメリットとしては、新卒採用の長期化により、コストが増えたり担当者の負担が増すということが挙げられます。採用活動をしていることをより多くの学生にアピールするためには、各種媒体に募集内容を掲載する必要があります。他社運営のサイトに掲載する場合には掲載料がかかるため、長期化するほど広告費が大きくなる可能性があります。
また企業によっては採用担当を、新卒担当・中途担当などと分けていることもあります。新卒担当者はこれまで一定の時期に採用業務が集中していました。通年採用も並行して行う場合は、年間を通して採用活動への負荷が高くなると考えられるでしょう。
学生側のデメリット
学生にとってもいくつかのデメリットが生まれます。例えば、内定獲得のハードルが高くなる可能性があるということ。年間を通して落ち着いて就職活動できるものの、それは企業にとっても同じことなのです。数合わせで内定を出さないようになる分、企業も本当に「ぜひ来てほしい!」と思える学生に内定を出すようになるでしょう。結果的に特定の会社が狭き門になる可能性もあります。
また同じ新卒として、専門的な勉強を進めている人や、インターンシップによって実務経験を積んだ人たちとも戦わなければなりません。自分から積極的に知識やスキルを習得したり、情報を手に入れたりできるよう、能動的に行動することが求められるようになります。
新卒の通年採用を行なっている企業
注目を浴びている通年採用。しかし実はすでに、通年採用を行っている企業もあることをご存じでしょうか?
通年採用を行っている例として、次のような企業が挙げられます。
そのほか、新卒・既卒を問わず通年で採用活動を行っている企業も多く、すでに通年採用は一般的になり始めています。これまでの慣習にとらわれずに、採用する側、される側の両者が「働く」ということについて改めて考える必要が出てきています。
おわりに
新卒の通年採用の開始にあたり、何が起こるのだろう? どうしたらいいのだろう? と不安に感じる人もいるかもしれません。しかし通年採用は、多様性をより尊重した採用活動を行うために取り入れられる制度です。
企業にとってはこれまで採用できなかった学生を採用し、学生にとってはより自分に合った企業と出会うためのチャンスが広がるのです。どんな人材が欲しいのか、そしてどんな仕事をしていきたいか、両者が深く考えることが必要とされています。
参考
就活の脱「横並び」合意 経団連・大学、通年採用拡大|日本経済新聞
経団連と大学が「通年採用」に合意。就活はさらに早期化・長期化へ。|採用サロン
【日経新聞1面】新卒の通年採用への移行で日本企業の競争力強化|FISCO
新卒採用で通年採用をしている優良企業の募集情報まとめ|NYAN CAREER