期待に胸を膨らませて新卒入社した初めての企業。しかしいざ働き出してみると、「このままでいいのかな……?」と退職を考える方もいるでしょう。新卒で入った会社を退職するには、どのような伝え方をすればいいのでしょうか? 今回は、退職理由の切り出し方を、みなさんの退職理由と併せてご紹介します。
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もくじ
新卒の早期退職率は?
特に新卒1年目などまだ業務経験が浅い場合は、「辞めたいけれど、さすがにまだ早いかな……」と思うのではないでしょうか。しかし実際には、1年目であってもさまざまな理由で退職を検討する方もいます。
厚生労働省が発表している「学歴別就職後3年以内離職率の推移」によれば、平成24年から5年間の、大卒新卒1~3年目の早期退職率は以下のようになっています。
(単位:%)
年度 | 1年目離職率 | 2年目離職率 | 3年目離職率 | 合計離職率 |
平成24年度 | 13.1 | 10.3 | 8.9 | 32.3 |
平成25年度 | 12.8 | 10.0 | 9.1 | 31.9 |
平成26年度 | 12.3 | 10.6 | 9.4 | 32.2 |
平成27年度 | 11.9 | 10.4 | 9.5 | 31.8 |
平成28年度 | 11.4 | 10.6 | 10.0 | 32.0 |
(学歴別就職後3年以内離職率の推移|厚生労働省より筆者作成)
上記の結果から、大卒新卒3年以内で最も離職率が高いのは新卒1年目だということが分かります。また、3年以内に、3割以上の人が新卒で入社した会社を離職していることが分かります。新卒の早期退職は、もはや珍しいことではないのです。
新卒で入った会社を退職!切り出し方のコツ
退職する人が一定数いるとはいっても、自分自身が退職するとなると話は別です。初めての会社なのですから、当然退職する際の段取りも初めてのことだらけです。退職を決めたら、誰にどのように伝えればいいのでしょうか? 切り出し方のコツを3つご紹介します。
(1)まずは直属の上司に伝える
退職希望を出す際は、まず直属の上司に伝えましょう。会社ではレポートラインが決められているため、ほかの部署などの上司に伝えるべきではありません。
ただし、直属の上司からパワハラを受けているなど、正常に対応ができないほどの状態となれば話は別です。第三者に相談に乗ってもらい、状況に応じた退職の切り出し方を考える必要があるでしょう。
(2)「ご相談が……」から入る
実際に退職の話を切り出す際には、上司に個別で話す時間をとってもらう必要があります。その際に、「退職のご相談のため、面談をお願いします」などのように、ストレートすぎる表現で時間を調整してもらうことは避けましょう。
まずは「今後のことでご相談があります。お時間をいただけますでしょうか。」などのように、少し濁した表現で伝えます。この時点で、退職の話かなと感づく上司もいるかもしれません。ただ、人によっては業務調整やキャリアの話など、別の件で面談を依頼する人もいます。周りへの配慮という意味でも、「ご相談」という言葉を使って面談依頼を出すようにしましょう。
(3)前向きな理由も添える
退職の意向を伝える際に意識すべき点としては、「前向きな理由を伝える」ということです。退職を切り出してから実際に退職するまでには、一定の期間があります。不満や怒りなどを持っていたとしてもそれを感情のままにぶつけてしまうと、上司も自分自身も、残りの期間の関係が気まずくなってしまう可能性があります。
前向きな理由というのは、例えば「○○の仕事に魅力を感じたので、さらに専門的に学べる場に身を置きたい」「起業したい」など、ステップアップを連想させるような内容が良いでしょう。「それなら応援してあげたい!」と思ってもらえることが、穏便に退職するためのコツです。
新卒入社の会社を退職する理由は?
初めて勤めた会社とはいっても、きちんと自己分析し、その企業についてある程度調べた上で入った会社のはずです。新卒のみなさんは、いったいどのような理由で退職を検討しているのでしょうか?
(1)仕事の内容が不満
若者の就職・転職の在り方に関する研究会が発表している「若者にとって望ましい初期キャリアとは」によれば、早期に転職をする人の主な理由として最も多いのは「仕事内容への不満」となっています。新卒として会社に所属してみると、今まで見えなかった「企業」の中身が見えてきます。その結果、就職活動中に見ていた外側からのイメージと、実際の内部の状況にギャップが生まれてしまうことがあるようです。
新卒1年目であれば、専門的な業務を任されることはまだまだ少ないでしょう。地道な業務が続いて仕事に魅力を感じなくなってしまったり、過酷なノルマを課されてしまったりなど、日々不満が募っていく人もいるようです。
参考
若者にとって望ましい初期キャリアとは|若者の就職・転職の在り方に関する研究会
(2)人間関係が不満
「若者にとって望ましい初期キャリアとは」で2番目に多かった転職理由は、「人間関係への不満」です。会社の中では、日々さまざまな人たちとの関わりが生まれます。その中で、どうしても合う・合わないが出てしまうことは仕方のないことかもしれません。
直属の上司と合わなかったり、同期や会社のノリが合わなかったりなど、身近な人たちとの関わりに不満を感じる人も多いでしょう。密に関わるからこそ嫌な部分も見えてしまうというのは、人間関係の難しいところです。
(3)給料が不満
「若者にとって望ましい初期キャリアとは」で3番目に多かった転職理由は、「賃金への不満」です。入社前に提示される金額は、あくまで想定金額です。昨年度の実績値などの事実に基づいていても、その年度も同程度の基準で支給されるとは限りません。
また、実際に入社してから先輩の話を聞いてみると、「昇給がほとんどない」「基本給が低いからボーナスも少ない」など、リアルな賃金事情が見えてきます。新卒の給料は低いものだと分かっていても、数年後の想定額を考えると今のうちに転職をしておいた方がいいかもしれない、と判断する人もいるのでしょう。