新卒一括採用が廃止されるとどうなる?
それでは、新卒一括採用が廃止されるとどうなってしまうのでしょうか? 今回は、特に学生の視点から起こる変化について3つご紹介していきます。
(1)インターンシップが採用につながる
新卒一括採用の廃止によって起こることとして、まずは「インターンシップが採用につながる」ということが挙げられます。インターンシップは、早い学生であれば大学1年生から参加する人もいます。企業としては、優秀な学生にはそのまま就職してもらえるよう、早いうちから促すことが可能になります。
これまで早期に内定を出していたのは、経団連に所属していない外資系やITベンチャーなどの企業が中心でした。しかし一括採用が廃止されれば、さらに多くの企業において、早期に内定を出すことが可能になります。その結果、今まで以上に多くの企業で内定直結型のインターンシップが開かれる可能性が高まるでしょう。
(2)早い時期から就職を意識する
2つ目に挙げられるのは、「早い時期から就職を意識するようになる」ということです。現在では、大学生であれば3・4年生になってからが就職活動に本腰を入れる時期となっています。一括採用が廃止され、早期採用や時期に捉われない採用が始まれば、学生たちは自分のタイミングで就職活動を行うことができるようになります。
また前述したとおり、採用につながるインターンシップが増えることが予想されます。その結果、学生たちは早い時期から就職先を意識して、インターン先を探すことになるでしょう。
(3)通年採用が行われる
3つ目には、「通年採用が行われるようになる」ことが挙げられます。現在の一括採用では、採用の時期がある程度限定されています。それが廃止されると、1年を通して好きな時期に採用活動が行えるようになるのです。
通年採用が行われると、留学していたり、海外の大学へ通っていたりする学生たちも就職活動に参加しやすくなります。企業としても採用できる学生の幅が広がるため、より能力を重視した採用活動が行われるようになるでしょう。
新卒一括採用が廃止されたあとの就活のコツ
時代の流れに合わせて、形を変えることが求められている日本の新卒採用。一括採用の廃止は、すぐそこまで来ています。2021年以降に新卒入社を控えている学生たちは、いったいどのようなことに気をつけて就職活動を行えばいいのでしょうか?
(1)積極的なOB・OG訪問を行う
一括採用が廃止されると、企業によって選考の時期にばらつきが出る可能性があります。そのため、学生は主体的に情報を集めなければいけません。そうでなければ、希望する企業の選考の機会を逃してしまう可能性があるからです。
情報収集の方法としては、OB・OGへの訪問も有効です。実際に働いている人の話を聞くことで、企業内の動きを知ることができたり、自らの働き方についてよく考える機会を増やすことができます。主体的に動くことで、チャンスを逃さない就職活動をすることができるでしょう。
(2)インターンシップに参加する
ご紹介したように、今後はインターンシップから入社につながるケースが増えていくと考えられます。インターンシップで実績を作れば、その企業から内定をもらうチャンスができるかもしれません。
もしインターン先から内定をもらえなくても、「企業で働いていた」という実績はしっかり残ります。横並びの採用が廃止されるからこそ、自分自身のスキルを積極的に伸ばしていくことが必要です。
(3)就職活動を行うベストタイミングを考える
現行の一括採用では、みんなが同時期に説明会に行き始め、同時期に選考のピークを迎えて徐々に内定受諾へと至ります。しかし、早期採用や通年採用が全面的に解禁されれば、これらの時期は人によって異なることになるでしょう。
例えば、やりたいことが早くから決まっている人は、条件に合うインターン先を早期に見つけるでしょう。その後、早いうちに内定を受諾し、入社前からさらに専門的な業務に取り組む人も出てくるかもしれません。反対に、自分のやりたいことをじっくり考えたいという場合は、焦って周りと同時期に就職活動を行う必要がなくなるでしょう。
各々のベストなタイミングで、就職活動に取り組むことが可能になるのかもしれません。
おわりに
当たり前のように思われていた新卒一括採用が終わりを迎えようとしています。この背景には、日本企業の実力をより伸ばし、経済を成長させたいという願いが込められているのです。
しかし、忘れてならないのは、一括採用が廃止されても就職先を決めるのは就活生自身であるということです。今後を見据えた長期的なスケジュール調整をするために、自分の人生としっかり向き合わなければなりません。採用制度の変化をうまく利用して、「やりたいこと」を見つけていきましょう。
参考
新卒一括採用、転機に 経団連が就活ルール廃止発表|日本経済新聞
新卒一括採用の見直しだけでは年功序列の日本型雇用が変わらない理由|DIAMOND online
2020 年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請について|一般社団日本経済団体連合会
大企業から新卒一括採用が消える日。1、2年で「配属先確約・年収1000万円」内定時代も…【就活2019】|BUSINESS INSIDER
新卒一括採用が廃止されて、何が変わるの?企業・学生のメリット・デメリットは?|manager LIFE
就活ルール廃止は日本型雇用破壊の始まり——新卒一括採用がイノベーションを阻害するという大企業の焦り|BUSINESS INSIDER