新卒の年収が高い業種
新卒時の年収を左右する項目の1つに、業種が挙げられます。厚生労働省が発表した平成30年大卒の産業別初任給の男女合計平均額が高かった主な業種を5つ挙げると、以下のようになります。
主な産業 | 大卒初任給(男女計) | |
1位 | 学術研究、専門・技術サービス業 | 224,500 |
2位 | 情報通信業 | 215,800 |
3位 | 建設業 | 214,600 |
4位 | 教育・学習支援業 | 205,900 |
5位 | 卸売業・小売業 | 205,500 |
(平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:3 主な産業別にみた初任給|厚生労働省より筆者作成)
1位と5位の間でさえ、初任給の時点ですでに約2万円の開きがあることが分かります。学術研究や専門・技術サービス業では専門的な知識を学んでいくということもあり、比較的給与が高めであると言えるでしょう。
上記の初任給に12を掛け、さらに2ヶ月分のボーナスが支給されると仮定すると、年収は以下のように想定されます。
主な産業 | 大卒新卒の想定年収(男女計) | |
1位 | 学術研究、専門・技術サービス業 | 3,143,000 |
2位 | 情報通信業 | 3,021,200 |
3位 | 建設業 | 3,004,400 |
4位 | 教育・学習支援業 | 2,882,600 |
5位 | 卸売業・小売業 | 2,877,000 |
上記に加え、別途残業代や昇給分の支給や諸手当、ボーナス額の変動分などが反映されることが想定されます。
ただし、上記でご紹介しているのは男女合計の平均額です。内訳としては、男女で初任給額に差がある業種もあります。また業種別の初任給額は年度によって異なるため、前年に比較的高額だった業種が次年度も継続して高い水準をキープしている、とは限りません。
新卒の年収が低い業種
一方で、新卒時の年収が低いのはいったいどのような業種なのでしょうか? 同様に厚生労働省発表の資料をもとに5位まで挙げると、以下のようになります。
主な産業 | 大卒初任給(男女計) | |
1位 | 宿泊業・飲食サービス業 | 198,100 |
2位 | 運輸業・郵便業 | 198,600 |
3位 | 医療・福祉 | 201,500 |
4位 | サービス業 | 202,000 |
5位 | 金融業・保険業 | 204,600 |
(平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:3 主な産業別にみた初任給|厚生労働省より筆者作成)
最も低い結果となった宿泊業・飲食サービス業は、もっとも高い学術研究、専門・技術サービス業の初任給と比較して2万6,400円の差が開いていることが分かります。
また上記の初任給に12を掛けて、2ヶ月分のボーナスが支給されると仮定した場合の想定年収は以下のようになります。
主な産業 | 大卒新卒の想定年収(男女計) | |
1位 | 宿泊業・飲食サービス業 | 2,773,400 |
2位 | 運輸業・郵便業 | 2,780,400 |
3位 | 医療・福祉 | 2,821,000 |
4位 | サービス業 | 2,828,000 |
5位 | 金融業・保険業 | 2,864,400 |
最も低い宿泊業・飲食サービス業と最も高い学術研究、専門・技術サービス業とでは、新卒年収で実に約37万円の差が生まれる可能性があります。同じ大卒であっても、業種によって新卒時の給与が異なることがよく分かります。
新卒のお給料事情|手元にはいくら残る?
年収の金額を見る際に気をつけなければいけない点として、額面と手取りの金額の違いも挙げられます。これまでご紹介してきたのは額面の金額であり、実際はここから税金や保険料、家賃、生活費などを支払った金額が手元に残ります。
それでは、新卒の場合、いくら位が手元に残るのでしょうか? 引かれる金額・支払う金額などを考慮したリアルな金額をご紹介します。
保険料、各種税金が引かれる
額面から手取りの金額に至るまでに引かれる金額には、以下のようなものが挙げられます。
- 雇用保険料(給与の0.3%)
- 所得税(個人の給与に対して規定額控除される)
- 厚生年金保険料(初任給の翌月から)
- 健康保険料(初任給の翌月から)
- 住民税(2年目以降)
このほか、企業によっては労働組合費や社宅の賃料などが控除される場合もあります。額面から引かれる金額は人によって異なるのです。
例えば、住民税を考慮する必要のない、月給20万6,700円の大卒新卒の場合の手取り金額を考えていきましょう。額面から各種料金を引くと、初任給の翌月以降の手取り金額はおよそ17万円になります。翌年からはここにさらに住民税が加わるため、手取り月給はおよそ16万円となるでしょう。
参考
家賃、生活費はいくらかかる?
給与から毎月支払うものとして、最も大きな金額になるのは家賃でしょう。全国的なワンルームの平均家賃相場は5万5,000円とされています。17万円の手取りから家賃を引くと、手元に残る金額は11万5,000円になります。
参考
一人暮らしをする新卒社員の気になる家賃の平均相場|キャリアパーク!転職
このほかに食費、光熱費、インターネット・携帯電話料金、交通費などが必要になります。1人暮らしの食費の平均額は約2.7万円と言われており、これを引くと手元に残るのはおよそ8万円となります。そこからさらに光熱費などの料金を支払うことになるのです。
参考
一人暮らしの食費|平均額や節約方法を大公開!【1ヶ月の食費はいくら?】|Rooch
手元に残る金額は?
ご紹介したように、手取り金額から実際に必要な料金を支払っていくと、手元に残る金額はそう多くはありません。
ただし、実家暮らしの場合は家賃や光熱費などを大幅にカットすることができます。そのため同じ年収でも1人暮らしか、実家暮らしかによって自由に使える金額には差が生まれるでしょう。
また家賃や食費には個人差があります。食費についても男女で月々かける金額が異なっており、一概にいくら手元に残るとは言えません。