【レポートの文体】「です・ます」調はNG!学術的表現を解説 - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 2

【意見を述べる表現】レポートは「と考えられる」が最適

レポート内には自分の主張や考察を述べる場面が何度もあります。意見を述べるのに「と考えられる」が文末にふさわしい理由をご説明します。

「と考えられる」は【結論】を述べる表現

「と考えられる」は、事実や真実を分析・考察した結果導き出した合理的判断に基づく結論を述べる表現です。そのため、主観や感情に左右されない、客観的結論を必要とするレポートにふさわしい表現といえます。

「と思う」「と考える」は【主観】を述べる表現

「と思う」「と考える」は、自分の感情や思考を述べる表現です。そのため、客観的結論を必要とするレポートにはふさわしくない表現といえます。

ただし、レポートの内容や、大学の指導教員や企業の依頼主が求める課題によっては、主観的結論が必要な場合もありますので、ニーズに合わせて使い分けるようにします。

「推察する」は【論理的・抽象的な推理】を伝える表現

「推察する」は、表面的な事実から法則や真理を分析して、推し量った結論を述べる表現です。事実に基づいた結論を述べる表現なので、レポートに使うことができます。

「推測する」は【有形・量的な情報】を伝える表現

「推測する」は、形がある物事や数量的な事柄について分析して、推し量った結論を述べる表現です。事実に基づいた結論を述べる表現なので、レポートに使うことができます。

【その他】レポートで使う学術的表現を身につけよう

レポートで使う学術的表現は、文末以外にもあります。レポートですぐ使える表現の一覧表と、レポートを書く上で守るべきルールをいくつかご紹介しましょう。

レポートにすぐ使える!話し言葉と書き言葉の一覧表

レポートでよく使う表現のうち、話し言葉と書き言葉の対応表をまとめました。ただし、ここで挙げた表現以外にも学術的表現はありますので、教科書や学術書を読んで気が付いた時にご自分でチェックしておくと良いでしょう。

【副詞】

話し言葉 書き言葉
やっぱり やはり
全然 全く
全部 全て
一番 最も
絶対に 必ず・決して~ない
多分 おそらく
とても・とっても・すごく 非常に・大変
ちょっと 少し
いっぱい・たくさん 多くの~・~が多い
もっと さらに・より・更に
だんだん 次第に・徐々に
どんどん 急速に・急激に
やっと ようやく
いつも 常に
ちゃんと きちんと・正しく
だいたい 約・およそ
ほとんど ほぼ
はっきり 明確に・明瞭に
しっかり 十分に
まだまだ いまだ・まだ

【疑問詞】

話し言葉 書き言葉
どうして・なんで なぜ
どんな どのような
どっち どちら・いずれか

【指示詞】

話し言葉 書き言葉
あっち・こっち・そっち あちら・こちら・そちら
あんな・こんな・そんな あのような・このような・そのような
あんなに・こんなに・そんなに あのように・このように・そのように

【接続詞・助詞】

話し言葉 書き言葉
~けど ~が
~から・~ので ~ため
~したら ~すれば
でも・~けど・~だけど しかし・~だが・~であるが
だから・~なので・~から したがって・そのため・~であるため
あと・それから・それと また・さらに・そのうえ

  • 一つ目に、二つ目に、
  • 第一に、第二に、
  • まず、次に
~のに ~にもかかわらず
~ていて ~ており
(結論・まとめ) このように・つまり・以上のように
ついでに・ちなみに ただし・なお
だけど・~と同じで 一方・それに対し・または・~と同様に
どうしてかと言うと なぜなら・理由としては・その理由は

【その他】

話し言葉 書き言葉
~とか
なんか など
いろんな・いろいろな 様々な
~みたい ~のよう
(引用時)~って (引用時)~と
面白い 興味深い
素晴らしい 優れている
いい 良い
~でしょう(か) ~ではない(か)
~じゃない(か) ~ではない(か)
~と言っている・~と書いている ~と述べている

参考

レポート作成の手引き 2018 年度版 |創価大学, P24

話し言葉と書き言葉 |マサチューセッツ工科大学

レポートにふさわしい学術的表現かチェックしよう

話し言葉を使わずに書き言葉を使う以外にも、レポートにふさわしい学術的表現をする注意点はたくさんあります。以下のルールは全てではありませんが、基本的なルールとして守るようにしましょう。

  1. 読み手が理解しやすい表現を使う。
  2. 曖昧で自信がない表現は避け、断定的に言い切る。
  3. 省略語を使わずに、明確な単語や正しい漢字を用いて完全な文章で書く。
  4. 否定文は情報量が少ない表現であるため、肯定文で書く。
  5. 1つの文は短文で書く。
  6. 修飾語と被修飾語は近づけて書く。
  7. 主語と述語の関係が分かりやすい表現を使う。
  8. 文内で単語の重複は避ける。
  9. !や?などの記号は使わない。
  10. 文章内で同じ接続詞を連続して使わない。

まとめ

学術的表現を使いこなすには、慣れが必要です。そのため、日頃から学術書や専門書などの学術的表現で書かれた文書を読む機会を意識的に作ることが大切です。経験が増えるごとに、自然に学術的表現を使ってレポートを書くことができるようになります。

参考

レポート作成の手引き 2018 年度版 |創価大学, P2~3

論文・レポートの書き方|立命館大学, P2

文体についての注意点|大学レポートの書き方

8.レポートの文章表現|立教大学 大学教育開発・支援センター

語尾を統一する|日経×TECH

文章の目的別「ですます調」と「だである調」の書き分け方|VoXTマガジン

アカデミックライティング|公立大学法人名桜大学

学術的文章作成時に留意すべき「書き言葉的」「話し言葉的」な語の文献調査|言語処理学会

この記事をかいた人

Ginamy

慶應義塾大学経済学部卒業。日商簿記検定2級・医科2級医療事務の資格保有。経理・一般事務を経験し、結婚を機に家庭に入る。3人の男の子のママライター。自身が中学・高校・大学・資格試験の受験を経験。育児・教育・書籍に関心。趣味は整理整頓・おしゃべり・K-POP・読書。地元少年野球部に参加する息子達を夫婦でサポート。子供の夢を叶えるべく、進学塾の通信講座受講での中学受験を目指し、家庭学習を支える。息子達がいてくれるからこその青春と感動と苦悩に感謝!