【レポートの文体】「です・ます」調はNG!学術的表現を解説 - cocoiro career (ココイロ・キャリア)


Warning: Undefined variable $beforeIndex in /home/sekaisha/cocoiro.me/public_html/wp-content/themes/cocoirocareer/functions.php on line 1003

レポートを書くときに悩むのが文体、つまり文章表現です。これまで書いてきた作文や普段よく使うメールと、レポートではなにが違うのでしょうか。当記事では、レポートを書く趣旨を踏まえて、レポートにふさわしい文体について正しく知りましょう。また、レポートで使うことのできる具体的表現とその理由についてご説明します。さらに、レポートにすぐに使える表現やルールを提示し、書き悩む方をサポートします。

レポートを書く趣旨と基本表現

レポートを提出する機会は、大学在学中やビジネスシーンでよくあります。ではなぜ「レポート」という文書形式を使う必要があるのでしょうか。

レポートを書く趣旨

研究や調査を専門的分野にまで発展させるための基礎知識は、高校までに習得します。そのため高校までの成績は、学力試験という答えがある基礎知識を問うことで評価されます。

しかし、大学や企業の研究・調査は、自らが主体となって問題を発見・考察し、客観的根拠に基づいて解決策や主張を述べる必要があります。つまり、「答えがない問題」に向き合っていかなければならないのです。

そのためレポートを書く趣旨とは、自らの研究・調査の成果を結論付けて報告し、今後の社会に貢献できる形として後世に残すことにあります。

レポートは学術的表現で統一して書くのが基本

レポートの趣旨が、自らの研究・調査の成果を報告し後世に残すことにあるため、次のような内容は評価されません。

  • 独自性がない、他者の研究・調査の引用文書。
  • 考察のない単なる事実の報告書。
  • 主観や情緒過多な感想文。

つまり、自らが導き出した意見を読み手に誤解なく伝える文書にしなければならないのです。そのために、レポートは学術的表現で統一して書き、意見をより正確かつ簡潔にまとめる必要があります。では、具体的に学術的表現とはどのような文体をいうのでしょうか。続いて見ていきましょう。

【文章の文末表現】レポートでは「だ・である」調が原則

まず、学術的表現の代表例として挙げられるのが文末表現です。文末表現には大きく「だ・である」調と「です・ます」調の2つがありますが、レポートでは「だ・である」調が原則として使われます。

「だ・である」調と「です・ます」調の違いと、レポートの文末として「だ・である」調がふさわしい理由は何なのでしょうか。

文末1:「だ・である」調は書き言葉

レポートの読み手は、大学の指導教員や企業の依頼主、またはコンクールの審査員です。研究・調査課題やビジネス上で報告する内容は、曖昧で情緒的な事柄を書くと事実や真理を伝えることができないため、明確な表現で書かなければなりません。そこでレポートの内容に説得力をもたせるために、単なる断定を意味する書き言葉としての「だ・である」調を使うのが原則とされています。また、レポートを視覚的にすっきりと見せるために、余計な文字数を減らすという意味でも「だ・である」調は文末表現としてふさわしいと考えられています。

ただし、「だ・である」調は文章が簡潔で断定的であるがために、読者に固く高圧的な印象を残す表現でもあります。そのため、想定される読者によっては使われない場合があります。

文末2:「です・ます」調は話し言葉

「です・ます」調は単なる断定を意味する点では「だ・である」調と同じです。しかし、話し言葉なので、読み手に柔らかく親しみやすい印象を残すことができます。そのため、ビジネスシーンでは、次の場合に「です・ます」調を使うことができます。

  • 特定の相手に手紙やメールを送る場合
  • 挨拶文・お知らせなどで不特定多数の読者を想定した場合
  • スピーチや講義の原稿などで聴衆を想定した場合、等

しかし文字数が多く、読み手が冗長な文に感じてしまうため、指導教員や依頼主、審査員に研究・調査結果を報告する目的で作成するレポートでは使いません。

文末3:「のだ・のである」調は乱用注意

「だ・である」調と似ている文末表現の「のだ・のである」調を文章に乱用するのは避けましょう。

「のだ・のである」調は、次のような時に使われる文末表現です。

  • 特に念をおして断定、または否定する。
  • 相手に言い聞かせたり、言い渡す。
  • これまでの主張をまとめて結論的に言う。

つまり、「のだ・のである」調は相手に押しつけがましい印象を与える可能性がある表現といえます。そのため、特に強調したい事柄以外はできるだけ避けた方が無難です。

【事実を述べる表現】レポートでは能動態で書く

レポートの本文は、「問題や目的」「方法」「結果」「考察」の4構成で書かれます。4構成の中で説得力のある事実を述べるために、レポートは能動態で書きましょう。

能動態とは、「Aは~する」というように、主語(A)が動作を行う主体となっている表現のことをいいます。

反対の表現に受動態がありますが、受動態とは、「Aは~される」というように、主語(A)が動作を受ける対象となっている表現をいいます。

能動態と受動態の具体例を見てみましょう。

  • 能動態:「文献は、~と提案している。」
  • 受動態:「文献には、~と記されている。」

両者とも同じ意味ですが、能動態の方が主語と述語(動作)の関係がはっきりしているため、簡潔な表現が望まれるレポートにふさわしいといえます。