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国内最大級の英語資格試験である「実用英語技能検定(英検)」は、2017年度から英検準2級の試験にライティングのテストを導入しました。これまでになかったライティングとはどのような問題で、受験者はどう解答すれば合格点を満たすことができるのでしょうか。当記事では、英検準2級の基礎知識をしっかりと踏まえた上で、ライティング試験対策や解答パターンを解説します。また、英文が書けないとお悩みの方に向けて、解決策をご紹介します。
英検準2級の基礎知識
英検は級によって、問題文の長さや内容・質問レベルの難易度が異なります。英検準2級の試験は、3級までの基礎英語から2級以降の応用英語への中間となる重要な段階で、高校中級程度の英語力が必要とされています。2017年度第1回の英検準2級から次の4点の変更がありました。
- ライティングテストの導入
- 語句整序問題の削除
- 筆記試験(リーディングとライティング)の時間が10分延長
- CSEスコアの基準点の変更
英検準2級の試験内容の変更で、合格のための対策もこれまでとは変わってきました。まずは、英検準2級の試験についての基礎知識を正しく知りましょう。
問題数と解答形式
英検を主催する日本英語検定協会は、英検3級の試験問題数を発表しています。これをまとめたのが次の表です。
【英検3級の問題数】
問題(4技能) | 問題数 | 解答形式 | |
1次試験 | リーディング(R) | 37問 | 選択肢式 |
ライティング(W) | 1問 | 記述式 | |
リスニング(L) | 30問 | 選択肢式 | |
2次試験 | スピーキング(S) | 6問 | 面接 |
(準2級の試験内容|公益財団法人日本英語検定協会 より筆者作成)
ライティングの出題はたったの1問です。しかし、英作文を記述しなければならないため、他の選択肢式の問題とは異なり、自分の勉強した英単語や英文法を引き出して解答する必要がある点が難しい問題と言えます。
配点とCSEスコア
CSEは、「Common Scale for English(英語のための共通尺度)」の略語です。以前の英検は国内の指標で級の合否のみが重要視されていましたが、英語力を国際的な尺度で表す必要性が高まったために、新たなスコア評価として導入されました。
英語力の国際的指標であるCEFR(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)は、言語資格を承認する根拠となっています。そのCEFRに対応するスコア表示がCSEスコアです。
英検準2級のCSEスコアと合格点をまとめたのが次の表です。
【英検準2級CSEスコア】
問題(4技能) | 英検CSEスコア | 合格点 | |
1次試験 | リーディング(R) | 600点 | 1,322点 |
ライティング(W) | 600点 | ||
リスニング(L) | 600点 | ||
2次試験 | スピーキング(S) | 600点 | 406点 |
合計 | 2,400点 | 1,728点 |
(英検CSEスコアでの合否判定方法について|公益財団法人日本英語検定協会 より筆者作成)
2016年度から、4技能が均等にスコア配分するよう改訂されたため、合格するためには各技能を等しく勉強する必要があります。ここで、ライティングの配点に注目してみましょう。
【ライティングの評価方法】
観点 | 詳細 | 評価 |
内容 | 課題で求められている内容(自分の考えとそれに沿った理由2つ)が含まれているかどうか | 0~4点 |
構成 | 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか | 0~4点 |
語彙 | 課題に相応しい語彙を正しく使えているか | 0~4点 |
文法 | 文法的に正しい英文が書けているかどうか | 0~4点 |
合計 | 0~16点 |
(ライティングテストの採点に関する観点および注意点(準2級)|公益財団法人 日本英語検定協会 より筆者作成)
ライティングは、まず各観点を0~4点で評価し、満点を16点としています。それをCSEスコアに換算し、合否が決定されることになります。そのため、「たったの1問」のライティングは、他の試験項目に比べてスコア換算率が高く、合否を左右する問題であることが分かります。
理想的な時間配分
英検準2級の筆記試験時間は75分で、リスニングテストは25分です。英検準2級の1次試験にかけるべき、理想の時間配分をまとめてみました。
【英検準2級1次試験の時間配分】
問題 | 理想的な時間配分 | |
リーディング(R) | 短文・会話文の適語補充 | 20~25分 |
長文読解 | 30~40分 | |
ライティング(W) | 英作文 | 15~20分 |
合計 | 75分 |
(英検®︎準2級ライティングで減点されない英作文の書き方とは?(2017.4.25)|4skills,【英検一次試験】合格点と時間配分を公開!2019年度最新版!(準1級・2級・準2級・3級・4級・5級)(2019.4.11)|ESLclub より筆者作成)
リスニングテストは筆記試験の後に行われますので、筆記試験はできるだけ早めに終わらせ、リスニング問題の選択肢を確認する時間を作りましょう。
英検準2級のライティング問題概要と解き方
英検3級で英作文を書く練習をした方であっても、英検準2級では聞かれる内容や分野が広がるため、再びライティングに「壁」を感じる方が多いようです。そこで、ライティングの問題傾向と解答条件を把握して、試験対策で何をすべきか考えましょう。
ライティング問題で聞かれること
まずは、ライティングの問題傾向と解答条件を正しく知りましょう。
問題傾向
ライティングで聞かれる内容は、英検3級と同様で次の3パターンです。
- 家庭や学校などの場面
- 電話やアナウンスなどの状況
- 学校や家族などの身近な話題
ただし、問題で聞かれる内容や分野は英検3級よりも広範囲になります。また、QUESTION(質問)は受験者の主張を求めており、また具体例を使って理由を補足することから、難易度が上がります。
解答条件
ライティングの解答条件は次の4つです。
- QUESTION(質問)が出題されるので、問いに対する「答え」を書く。
- 問いに対する「答え」の理由を2つ書く。
- 語数は50~60語と指定されている。
- 解答欄に書く。
これらの解答条件を満たしていないと評価されないため、点数を得られません。指示通りの解答を書いているか、最後に確認しましょう。
日本英語検定協会のホームページに、過去に出題された問題が掲載されていますので、ご覧ください。
参考
解答を書くときの4つの注意点
ライティングで減点されないための注意点を見ていきましょう。ライティングの4つの評価方法に沿って説明します。
内容力:課題で求められていることに答えられているか
QUESTION(質問)で聞かれていることに正面から答えましょう。減点対象もしくは、0点と採点される解答例は英検3級と同様、以下のような内容です。
- 聞かれていることとは関係のない内容が含まれている。
- 自分の考えと矛盾する理由や説明を述べている。
- 理由や説明、補足は書かれているが、はっきりと自分の考えが書かれていない。
英検3級と異なるのは、1つの意見に対して、多様な観点から理由を述べる必要がある点です。理由に説得力を加えるために、具体例を出して説明、補足をするのがおすすめです。
構成力:英文の構成や流れが分かりやすいか
英文構成や話題の流れは、分かりやすく書きましょう。1文に理由や説明、補足を詰め込まずに、適度な長さで切りましょう。2文を適切なつなぎ言葉を使ってつなげた方が、自然な流れの英作文になります。
解答が極端に短く、もしくは自分の考えに対する理由が1つしか書かれていない場合は減点対象、もしくは0点になる場合があります。
語彙力:英単語を正しく使えているか
英単語を正しく使いましょう。日本英語検定協会によると、英検準2級の英語力の達成目標は高校卒業程度と言われています。文部科学省の資料によると、高校卒業までに習う英単語総数は4,000~5,000語ですので、英検3級と比べると格段に語彙数が増えることが分かります。
参考
学習指導要領の改訂等について(2017.9.13)|文部科学省、P4
英単語を正しく使いこなすために、次の点を注意しましょう。
- スペルミスがないように、正確な表記を確認する。
- 英文の文頭の単語や固有名詞、月・曜日名、一人称などを表す単語は、最初の文字を大文字にする。
- 英語以外の言葉(日本の地名など)を使う場合は、その言語を理解できない人にも分かるように説明や補足を書き足す。