分かりやすいレポートを書く7つのルール
レポートは、読む人にとって分かりやすくなければいけません。ここでは、レポートを書くときの7つのルールをご紹介します。仕事をするようになれば報告書や企画書を書く際にも使えるルールですので、ぜひ活用してください。
誤字・脱字がないようにする
書籍やWEBサイトに誤字・脱字があったら、あなたはどう思うでしょうか? おそらく、書籍やWEBサイトに書いてある内容まで疑ってしまうのではないでしょうか。レポートも同じで、誤字・脱字があるとそのレポートのクオリティーまで下げてしまいます。つまり、誤字があると、「字を間違えても気がつかない注意力のない人」と読み手に思わせてしまいます。
また、脱字があると、「レポートを読み返していない」と読み手に思われます。ワードやGoogleドキュメントを使えば、コピーや貼り付け、切り取りなどの操作が簡単にできます。しかし簡単に操作ができる分、読み返さないと、段落が丸々抜けてしまっていたり、文章が重複していたりする可能性もあります。
さらには、誤字・脱字が原因で、内容を取り違えられてしまうことがあります。誤字・脱字を防ぐには、レポートが完成した後に、通しでレポートを読み返す手間をかける必要があります。自分で読み返しても不安なようであれば、友人や家族の力を借りて誤字・脱字のチェックをしてもらいましょう。
「だ・である」に語尾を統一する
語尾を「だ・である」で統一するのは、レポートの基本ルールです。手紙を書くときのように「です・ます」では書かないようにしましょう。
また、「~と思う」は意見ではなく感想になってしまうので、「~と考える」「~と考えられる」と書くように心がけましょう。
論理的に書く
論理的に書くとは、誰しもが納得できる筋道で文章を書くということです。レポートは、感想文や随筆、詩とは異なり、主張を伝えるための文章形態です。主張を読み手に納得してもらえるように、主張する理由や理由を支える科学的な根拠を示す必要があります。
つまり、理由や根拠がない文章は論理的な文章とは言えません。「なんとなく思う」「そう感じる」というだけでは、他人を納得させることはできません。特に根拠には、具体的なデータや学術的に信頼性の高い人物の発言などを示す必要があります。また、複数の根拠を示すことで、主張や理由をより強固に支えることができます。
1センテンス1ミーニングを意識する
読み手に分かりやすい文にするには、1つの文が長すぎず、意味が明確である必要があります。1つの文には、1つの意味を持たせるのが基本です。あれもこれも付け加えてしまうと、主語と述語の関係が分かりにくくなり、文を読んでいる方は疲れてしまいます。下記の2つの文を比較してみましょう。
- 私はこのリンゴが好きだし、リンゴの形をしたものが好きなので、たくさんのリンゴグッズを持っています。
- 私は、このリンゴが好きです。それだけでなく、リンゴの形が好きです。なので、リンゴの形をしたグッズをたくさん持っています。
1つ目の文は、1つの文で「リンゴが好き」「リンゴの形が好き」「リンゴのグッズを持っている」ことを述べています。一方で2つ目の文は、3つの要素を文章ごとに区切っています。そうすることで、1つの文で何を伝えたいのかが明確になります。
これは、報告書や企画書、プレゼンテーション資料を作成するときにも使える考え方です。1つのグラフ、1枚のスライドで伝えたいことを明確にすることで相手に主張が伝わります。
事実と意見を区別する
「事実」と「意見」は別物です。これを混同してしまうと、レポートの信頼性を落とす結果になります。下記が、事実と意見の違いです。
- 事実:本当にあったこと、調査・実験で確認できる
- 意見:自分の考え、調査・実験で確認できないものがある
「東京マラソンの参加費は16,200円である」というのは、「事実」です。それを「安い」(あるいは「適当」「高い」)と感じるかどうかは、その人の「意見」です。
東京マラソンの参加費が安いと書くのであれば、ロンドンやベルリン、北京などほかの都市のマラソンの参加費用、料金に含まれるもの、参加人数、大会規模などと比較して、根拠を示す必要があります。書籍やWEBにも事実と意見が混同した文章がありますので、日ごろから事実と意見の違いを意識して考える癖をつけることをおすすめします。
参考
東京マラソン2020大会要項|TOKYO MARATHON 2020
自分の意見か他人の意見か分かるように書く
レポートを書く際に、先行研究や他人が言及していることを引用する場合があります。自分の意見ではなく他人の意見である場合は、それが明確に分かるようにしましょう。これが守られていないと著作権の侵害になります。他人の意見を引用する場合は、下記の2点を必ず守りましょう。
- 引用元を明記する
- 自分の意見と明確に分ける(字体を変える、色を変える、太字にする、「」を付けるなど)
引用・参照・参考のルールを守る
一般的に、ほかの文献を何も参考にせずにレポートを書くことはないでしょう。そこで重要になってくるのが、「引用」「参照」「参考」のルールを守ることです。
- 引用:他人の文章を自分の文章に紹介すること。文言を変えてはならない。
- 参照:図やグラフ、写真など、目に見える情報に対して使う。
- 参考:文章を書くにあたって、参考にしたものすべて。
レポート作成の際には、これらを使い分ける必要があります。引用や参照であれば出典を示す必要がありますし、参考にした文献やサイトなどはすべてレポート内に記載する必要があります。記載する際には、下記の6つの情報を載せるようにしましょう。
- 著者名
- 訳者名
- 書名
- 出版社名
- 出版年
- 引用したページ
まとめ
レポートは、伝えたいことを分かりやすく短時間で伝えるために書くものです。そのためには、基礎知識と主張を支える理由・根拠となるものが必要です。また、引用や参照のルールを守ること、論理的に書くこと、語尾の統一など、最低限のルールを徹底することで分かりやすいレポートを書くことができます。
「分かりやすく短時間で伝える力」は、私生活でも仕事でも、さまざまな場面で生きてきます。ただレポートを書き上げることに力を注ぐのではなく、レポートを書く目的を意識してみると、得るものがより大きくなるかもしれません。
参考
良いレポートの例 2002年(平成14年)|中園 篤典のホームページ
簡単で効果的なレポートの書き方例│基本ルールと文章構成を覚えよう|学生ニートの波乱万丈記
今さら聞けない!参照・参考・引用・転載の違いと使い分け方法を解説|ferret