専門職大学院はMBAなど特に専門性が高い分野限定。入学方法は? - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

専門職大学院という大学院をご存じでしょうか。研究者を養成することが主目的の一般的な大学院と異なり、行政や企業などで専門性を生かして働く人を育成することが目的の大学院です。その数や専門分野も徐々に増えてきている専門職大学院について解説します。

専門職大学院とは?

専門職大学院とは、学校教育法によって特別に規定された大学院です。まずは法的な枠組みから、どのような大学院なのかを見ていきましょう。

MBAやロースクールなど、高度な専門性を有する分野の大学院

大学院のうち特に高度な専門性が求められる分野には、専門職大学院を設置することができます。専門職大学院という名称には馴染みがなくても、「MBA」や「ロースクール」などは聞いたことがあるのではないでしょうか。これらのように、専門性が求められる職業について特化した大学院が専門職大学院です。

第九十九条 大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする。

○2 大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とする。

○3 専門職大学院は、文部科学大臣の定めるところにより、その高度の専門性が求められる職業に就いている者、当該職業に関連する事業を行う者その他の関係者の協力を得て、教育課程を編成し、及び実施し、並びに教員の資質の向上を図るものとする。

(引用元:学校教育法 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

専門職大学院は「学校教育法」の中で上記のように定義されています。専門分野は法律で指定されているわけではなく、設置基準を満たしたものなら設置できるとしています。

参考

専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号) | 文部科学省

一般的な大学院との違い

単位数

修士課程 専門職学位課程
専門職大学院 法科大学院 教職大学院
目的 研究者の養成 高度専門職業人の養成 高度専門職業人の養成
修業年限 2 2 3 2
修了要件 30単位以上

修士論文作成

30単位以上 93単位以上 45単位以上

(うち10単位以上は学校等での実習)

実務家教員 3割以上 2割以上 4割以上
学位 修士(○○) ○○修士

(専門職)

法務博士

(専門職)

教職修士

(専門職)

専門職大学院 専門職大学院制度の概要(2019年5月) | 文部科学省より筆者作成)

一般的な大学院と専門職大学院の違いは多くありますが、その中で特徴的なものを抜粋しました。専門職大学院は大学を卒業していれば受験できるため、基本的には大学院修士課程と比較しやすい教育課程です。

一般的な修士課程では、2年間で30単位+修士論文の作成が課されます。一方、専門職大学院では論文作成は必須ではありません。ほかに、法科大学院(ロースクール)では単位数が非常に多かったり、教職大学院では学校などでの実習が課されたりとそれぞれ独自性があります。

教員数

表にはありませんが、一般的な修士課程の1.5倍の教員を確保することが求められています。また、少人数制教育が基本となっており、実務家教員による実践的な勉強ができることが特徴です。

学位

現在の日本では、修士課程の学位は「修士(○○)」と表記されます。括弧の中にはそれぞれの専門が入ります。一方、専門職大学院の学位は「○○修士(専門職)」となり、専門分野が前に示されます。

先ほどのMBAの例で考えてみましょう。MBAはMaster of Business Administration の略で、「修士(経営学)」「経営学修士(専門職)」のどちらにも訳すことができます。MBAを冠した有名大学院の多くは専門職大学院ですが、一部の大学院では「修士(経営学)」のことをMBAと呼んでいます。