イタコになるには?亡き人の言葉を伝える職業とは? - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

亡くなられた方の言葉を伝えるイタコという職業。イタコについて知られていないことも多く、実際に、イタコという職業がどのような仕事なのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか?

今回は、仕事内容や向いている人などイタコという職業について詳しくご紹介します。この記事が、ご家庭でイタコについて知るきっかけになればと思っています。

イタコになるには?

イタコは、東北地方に古くからあるとされる風習や信仰とされ、現在も、職業として確立されている仕事です。師匠の下に仕え、イタコの技を継承する修行が必要といわれており、また、昔のイタコは、目の不自由な女性の仕事であるとされ、幼少のうちから厳しい修行に入ることが一般的でした。そして、現在では、霊感や霊能のある人がその職に就くなど目の不自由な人だけに限らない職業となっています。しかし、近年は、幼少からの修行はもとより、イタコになる人自体がおらず、後継者不足に悩まされているのが現状でもあります。

イタコの仕事内容

仕事内容を知ることで、イタコという職業について理解を深めるきっかけとなるでしょう。ここからは、イタコの仕事内容について詳しく解説します。

亡くなられた方の「口寄せ」

イタコは亡くなられた方の「口寄せ」を行い、これがイタコの主となる仕事です。「口寄せ」とは、亡くなられた方の霊を降ろし、イタコに憑依させることで、親族などの近親者が死者と会話をできるようにするというものです。

現在、最後のイタコと呼ばれる南部イタコ六世代の松田広子さんの「口寄せ」は、1人につき約20分程度の時間を要し、行方不明者や愛犬、愛猫、ご存命の方などの「口寄せ」は受け付けず、基本的には、亡くなられた方のみを受け付けています。「口寄せ」を終えると、多くの疲れが押し寄せるといわれており、多くの体力や精神力を必要とする仕事となっています。

青森県恐山例大祭での「口寄せ」

青森県恐山の例大祭での「口寄せ」もイタコの仕事の1つです。恐山では、夏と秋に例大祭が開催され、そこでイタコによる「口寄せ」も行われています。毎年、全国から多くの人が訪れ、「口寄せ」のため長蛇の列ができるそうです。

近年では、自然災害で多くの死者を出した東日本大震災の後に、突然失った肉親の思いを聞きたいと多くの被災者が例大祭に訪れ、イタコが「口寄せ」によって、亡くなられた方の思いを被災者に届け、被災者の気持ちを楽にしたといわれています。このように、「口寄せ」は、ただ憑依した死者の思いを伝えるだけではなく、相談者に寄り添い、その悩みを解決させるような地域に根付いたカウンセラーの役目も担っている職業でもあります。