就職率が高いのは高卒、初任給が高いのは大卒って本当?気になる生涯賃金は? - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

高卒と大卒では「初任給が違う」「高卒は出世できない」「高卒は大卒に比べて生涯賃金が安い」など、いろいろな話を聞きます。しかし、実際はどうなのでしょうか? 今回の記事では、厚生労働省や文部科学省などのデータをもとに、高卒と大卒の就職率、初任給、生涯賃金をご紹介します。また、高卒と大卒それぞれのメリットとデメリットにも触れていますので、ぜひお子さんの進路選択の参考になさってください。

高卒と大卒では何が違う?

高卒と大卒との違いを「就職率」「初任給」「生涯賃金」の3つの観点から比べていきます。

就職率は高卒の方が高い

平成30年度の文部科学省の統計データによると、学歴別の就職率は下記の通りです。一番就職率が高いのは短期大学ですが、その次に高校が高く、大学は高校よりも就職率が低いことが分かります。

大学 97.6%
短期大学 98.6%
高校 98.2%

また、前年度の平成29年度の高校生就職率は98.1%です。就職希望者が187,715人なのに対して、就職者は184,094人です。また、未就職者は3,621人です。男女別の内訳は、男性が98.5%、女性が97.4%となっています。

さらに、高校の学科別に比較してみましょう。学科別では、専門的な知識や技術を学ぶ工業科や商業科、福祉科、農業科、水産科、看護科、家庭科が平均よりも高い就職率になっています。一方で、情報化や総合学科、普通科は平均よりも就職率が低い傾向があります。

【学科別】

工業科 99.5%
商業科 99.2%
福祉科 99.1%
農業科 99.0%
水産科 98.8%
看護科 98.4%
家庭科 98.4%
情報科 97.7%
総合学科 97.6%
普通科 96.3%

都道府県別では、日本海側の富山県、福井県、石川県、鳥取県の就職率が高く、沖縄県や大阪府、関東3県の就職率が低いことが分かります。

【就職率が高い都道府県】

富山県 99.9%
福井県 99.8%
石川県 99.7%
鳥取県 99.6%
大分県 99.6%

【就職率が低い都道府県】

沖縄県 93.7%
大阪府 94.9%
神奈川県 95.5%
東京都 95.9%
千葉県 96.2%

参考

平成30年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)|文部科学省

平成30年3月高等学校卒業者の就職状況(平成30年3月末現在)に関する調査について|文部科学省

初任給は大卒の方が高い

平成30年に厚生労働省が発表している学歴別初任給は下記の通りです。学歴が高いほど初任給も高いことが分かります。

大学院修士課程修了 238,700円
大学卒 206,700円
高専・短大卒 181,400円
高校卒 165,100円

また、男女別では下記の通りです。どの学齢においても女性よりも男性の方が初任給が高いことが分かります。

大学院修士課程修了 男性 239,900円
女性 234,200円
大学卒 男性 210,100円
女性 202,600円
高専・短大卒 男性 182,900円
女性 180,400円
高校卒 男性 166,600円
女性 162,300円

初任給で一番差があるのは大学院修士課程修了の男性と高校卒の女性で、77,600円の開きがあります。

参考

平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給|厚生労働省

本当に生涯賃金は大卒の方が高い?

労働政策研究・研修機構の調べによると、学歴別の生涯賃金は下記のように結論付けられています。

学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の 60 歳までの生涯 賃金(退職金を含めない)は(図 21-1)、男性は中学卒 2 億万円、 高校卒 2 億 1 千万円、高専・短大卒 2 億 1 千万円、大学・大学院卒 2 億 7 千万円、女性は中学卒 1 億 4 千万円、高校卒 1 億 5 千万円、 高専・短大卒 1 億 8 千万円、大学・大学院卒 2 億 2 千万円となる。

(引用元:生涯賃金など生涯に関する指標|独立行政法人労働政策研究・研修機構,P313

高卒と大卒の生涯賃金の差は、男性で約6千万円、女性で約7千万円になり、一般的には大卒の方が生涯賃金が高いと言えます。