農業大学校のカリキュラム
農業大学校に進学する際のざっくりとしたイメージがつかめたでしょうか。続いて、実際に在学中にどのようなことを学べるのか見ていきましょう。
修業年限は1〜2年
前述したように、農業大学校のカリキュラムは「養成課程」「研究課程」「研修課程」の3つに分かれます。高校卒業後の進学先として選ばれる養成課程の修業年限は2年間80単位以上、養成課程を卒業して進学する研究課程は1年間もしくは2年間となっています。
研修課程は日帰りで受講できるものから数週間におよぶものまで、学校によってさまざまです。こちらはすでに農業を仕事にしている人向けに、短期の研修を提供するコースとなっています。
農学・畜産・園芸などに学科が分かれる
学科・専攻は大学校ごとにさまざまです。北海道のように酪農が盛んな地域では畜産が学べますし、一方、都市部に近い神奈川県では畑作や果樹・花きに力を入れています。稲作が盛んな地域では稲作の専攻が設けられています。学びたいことに合わせて進学先を検討しましょう。
農業は生き物相手の仕事です。畑や田んぼであれば朝早くから働きますし、畜産であれば動物の体調によって夜中でも対応しなければならないこともあります。農業大学校の敷地内では実際に農業が行われていますので、実際の農家と同じような作業がたくさんあります。
体力に自信があること、ある程度不規則な働き方に対応できることなどが農家になるためには欠かせない資質といえます。農業大学校の2年間は、こういった本人の向き・不向きを確認する良い機会にもなるでしょう。
参考
卒業すると「専門士」に
農業大学校の養成課程は、法律的には「専修学校専門課程」となっているところがほとんどです。一般的な「専門学校」と同じものです。卒業すると「専門士」の称号を取得でき、4年制大学に編入することもできます。
ただし、すべての学校が専修学校専門課程となっているわけではありません。専門士の称号が欲しい、卒業後に大学への編入を考えているという人は、事前に大学校に問い合わせるようにしてください。
研究科に進学できる大学校も
養成課程修了後、研究課程に進学することもできます。すべての大学校に研究課程があるわけではありませんが、卒業した大学校以外の研究課程に出願することも可能です。
研究課程ではより深く技術について学んだり、独立・開業のためのより実践的な知識を身につけたりすることができます。
全国の農業大学校一覧
以下、全国の農業大学校を一覧にしました。上が都道府県立、下が民間の同様教育施設となっています。
都道府県立農業大学校
- 北海道立農業大学校
- 青森県営農大学校
- 岩手県立農業大学校
- 宮城県農業大学校
- 山形県立農林大学校
- 福島県農業総合センター農業短期大学校
- 茨城県立農業大学校
- 栃木県農業大学校
- 群馬県立農林大学校
- 埼玉県農業大学校
- 千葉県立農業大学校
- 神奈川県立かながわ農業アカデミー
- 専門学校山梨県立農業大学校
- 長野県農業大学校
- 静岡県立農林大学校
- 新潟県農業大学校
- 岐阜県農業大学校
- 愛知県立農業大学校
- 三重県農業大学校
- 滋賀県立農業大学校
- 京都府立農業大学校
- (地独)大阪府立環境農林水産総合研究所農業大学校
- 兵庫県立農業大学校
- なら食と農の魅力創造国際大学校
- 和歌山県農林大学校
- 鳥取県立農業大学校
- 島根県立農林大学校
- 岡山県農林水産総合センター農業大学校
- 広島県立農業技術大学校
- 山口県立農業大学校
- 徳島県立農林水産総合技術支援センター農業大学校
- 香川県立農業大学校
- 愛媛県立農業大学校
- 高知県立農業大学校
- 福岡県農業大学校
- 佐賀県農業大学校
- 長崎県立農業大学校
- 熊本県立農業大学校
- 大分県立農業大学校
- 宮崎県立農業大学校
- 鹿児島県立農業大学校
- 沖縄県立農業大学校
全国農業大学校協議会加盟の民間教育機関
農業大学校に入るにはどうすればいいの?
続いて、農業大学校に入学するための手続きなどを紹介します。学校によって異なりますが、ここでは例として、茨城県立農業大学校の養成課程を取り上げます。
入学試験
推薦入試と一般入試があります。推薦入試は小論文と口述試験、一般入試は筆記試験と口述試験があります。筆記試験の科目は以下の通りです。
必須 | 国語総合 |
選択(1科目) | 数学I / 生物基礎 / 農業と環境 |
受験科目は学校によって異なりますので、必ず募集要項を確認してください。
受験資格
出願できるのは高等学校卒業もしくは卒業見込み者となります。推薦入試の場合は新卒者のみの学校が多いようです。
学費
2019年度の茨城県立農業大学校の授業料は、半期で118,800円となっています。2年間での教材費が30万円ほどかかるほか、月3万円の食費が必要です。
大学校によっては全寮制のところもあります。かかる費用は専攻によっても異なりますので、オープンキャンパスなどで確認しておきましょう。
参考
農業大学校を卒業した後の進路は?
農業大学校を卒業した後、学生の進路はどうなっているのでしょうか。基本的に、農業以外の進路を選ぶ学生は少ないそうです。
就職
もっとも一般的なのは就職です。ある程度の規模で農業を行っている農業法人のほか、農協や農機具メーカーなどの関連業種に就職する人もいます。家業を継ぐという子供も少なくありません。
独立して新規就農
独立新規就農を目当てに農業大学校に進学してくる人もいます。この場合は、普通に農業大学校で学ぶ以上の綿密な計画が必要です。研究課程などでしっかり準備を行ってから実行に移す人が多いようです。
まとめ
農業を専門的に学べる農業大学校について紹介しました。高校卒業後すぐに入学することもできれば、大学などを経由しても良いという比較的柔軟な学校です。基本的には農業の即戦力を養成することが目的の学校ですので、農業に対して強い意志のある子供にはおすすめの学校と言えるでしょう。
参考
農業大学校とは? 気になる学び方と過ごし方、学費・生活・就職先など | マイナビ農業
独立して新規就農するために必要な4つのもの – 独立準備~その現状まで | ジブン農業
農家がネット販売するのに「開業届」って必要? メリットと手続き方法は?【農家さんからのご質問】 | 知識ゼロから始める農家さんの野菜ネット販売