1ヶ月の生活費は平均どのくらい?家族のケース別に大解剖! - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 2

収入の変化と生活費・貯蓄額

【収入の変化】生活費はどう変わる?

子供の成長とともに支出は増えますが、同時に世帯収入も増えることが予想されます。では、収入が増加するとそれに伴い生活費も変化するのでしょうか。同じく2014年の「全国消費実態調査」から、世帯主の年収ゾーン別の生活費を見てみましょう。

長子の年齢別生活費(目安)

項目 未就学児 小学生 中学生 高校生 大学生他
食料 63,552 73,330 82,244 83,134 84,237
住居 23,294 13,777 12,391 12,292 11,762
光熱・水道 17,126 19,007 22,402 23,099 24,298
家具・家事用品 9,639 9,641 9,040 9,116 8,874
被服及び履物 14,152 13,912 14,244 14,855 19,032
交通・通信 38,862 42,954 43,214 52,702 67,518
教育 26,701 19,236 32,387 55,354 114,155
教養娯楽 25,491 37,313 32,717 28,272 28,981
その他 43,492 43,959 44,214 55,006 65,315

(単位:千円)

※未就学児:3~6歳
※大学生他:専門学校生、短大・高専生、大学生、大学院生

(出典:平成26年全国消費実態調査 家計収支に関する結果 フロー編第16表

世帯主年収500~600万円のゾーンと800~1000万円のゾーンとを比較すると、生活費の各項目はおよそ0.8~1.8倍程度の増加を見せています。一方、長子が中学生から高校生になると教育費は約1.7倍、高校生から大学生になると約2倍に。中学生の場合と大学生の場合を比較すれば、約3.5倍もの増加となります。

年収の増加による生活費の増加は、子供の成長による教育費の増加に比べて、それほど大きいものではない、と考えることができるでしょう。

【収入の変化】貯蓄額が大きくなる

論文「家計の世帯分布:『全国消費実態調査』『家計調査』「国民生活基礎調査」の比較」は、全国消費実態調査など3つの政府統計データを比較して、それぞれの特性を考察しつつ家計の所得や消費の傾向を分析した論文です。

家計の経済力を見るためにこれまでは、従来所得の水準を比較して階層化し分析していました。しかし近年は、消費の水準で考察し、ライフサイクルの変化を反映した年齢との関係も考慮すべきとの点が指摘されています。

そのことを踏まえて、この論文では、年齢と所得、年齢と消費、所得と消費の関係を見つつ、世帯がどのような分布を見せているかについて検討。所得と消費の関係については、次のようなことが分かりました。

  1. 所得水準の階層と消費水準の階層が一致している世帯の方が少ない
  2. 消費の格差は所得の格差ほどには大きくない
  3. 所得と消費の差額がプラスになる分は貯蓄などに回り、最高所得層では総所得の57.7%相当が充てられる
  4. 低所得層や高消費層では、消費が借り入れや資産など所得以外の収入に依存している

消費は所得に応じて比例的に増えるわけではありません。傾向としては、収入が増えても生活費はそれほど大きくふくらまず、貯蓄などに回す分が増えるのです。どうしても必要な基本的な生活費は、収入の増減にかかわらずほぼ一定であると推測できるでしょう。

別の視点から見れば、子育て期間、増える収入に応じて生活費をふくらませず、貯蓄や教育費にどれだけ振り向けられるかが、同時に増していく教育支出に対応するカギとも言えるのではないでしょうか。

参考
大野太郎ら(2013年)「家計の世帯分布:『全国消費実態調査』『家計調査』「国民生活基礎調査」の比較」PRI Discussion Paper Series, No.13A-06

まとめ

以上のデータから、家庭の生活費は子供の人数と年齢に大きく影響されると言えそうです。その多くを占めるのが、教育費。高校入学と大学等への入学時に、大きくふくらみます。逆に、人数が増えたり子供が成長したりしても、さほど変わらない支出項目もありました。

それら増える項目と変わらない項目を把握すれば、自分の家庭ではどの支出を抑えてどの支出に備えたらいいのか、見えてくるのではないでしょうか。先の見通しを立てながら、賢く生活費を管理していきましょう。

参考
平成26年全国消費実態調査|総務省統計局
2019年全国消費実態調査の概要|総務省統計局
大野太郎ら(2013年)「家計の世帯分布:『全国消費実態調査』『家計調査』「国民生活基礎調査」の比較」PRI Discussion Paper Series, No.13A-06
美添泰人(2004年)「全国消費実態調査の意義と特長」雑誌『統計』2004年6月号 P.10–15

この記事をかいた人

菊池とおこ

北海道大学文学部行動科学科卒。行政系広告代理店、医薬系広告代理店、地方自治体の結婚支援事業担当などを経て独立、ライターに。女性のライフイベントと生き方、働き方、ジェンダー教育などが主な関心分野。大学院進学を視野に入れて地元大学のゼミ(ジェンダー・スタディ)に参加中。趣味は音楽、中学より本格的に合唱を始め、現在も合唱団に所属。ネコのおかあさん。子供と接する時は、自由人の叔父ポジション。