パイロットに必要な資質・条件
パイロットになるためには、基本的に性別や学歴、年齢などは関係ありません。大手航空会社の旅客機のパイロットになるためには、大卒や年齢制限などが課せられることもあります。学歴は不問といっても、複雑で膨大な航空に関する知識や操縦技術を習得するためには、それなりの高いスキルが必要です。 コンピュータでほとんどのことが制御されている航空機であっても、不測の事態に臨機応変に判断、対応する能力は不可欠となり、タフな精神力も必要となります。また、身長制限や視機能をはじめとして厳しい身体検査に合格することも必要条件となります。
判断力・精神力
航空機の狭いコックピットには計器類や各種制御装置が所狭しと並んでいます。理論的には離陸から着陸までオートコントロールで行うことができると言われていますが、国内では離陸、着陸は手動で行うのが基本です。 飛行条件に合わせて最適な高度やルートを選んでデータを入力し、刻々と変化するさまざまな状況に合わせて適切に判断しなければなりません。1つのことに集中するのではなく、複数のタスクを同時進行で行わなければならないためタフな精神力も必要となります。
視機能・身長
パイロットは短いスパンで繰り返される綿密な身体検査にパスしないと操縦することを許可されません。特に、視機能についての項目は多く、遠見視力、中距離視力、近見視力、両眼視機能、視野、眼球運動、色覚の7つがあります。コックピットの計器や窓からの目視など、さまざまな視力が問われることになります。 国内ではパイロットになる要件として身長が158cm以上190cm以下という制限が設けられています。最近では女性パイロットの数も増えてきましたが、それでも男性に比べると比率は低いものです。その理由の1つに身長制限の問題があると考えらます。
航空法による身体検査をクリアする
パイロットは航空法によって航空機乗組員とされており、定めにより操縦に係る技能証明だけでなく、国土交通大臣、または指定航空身体検査医から航空身体検査証明を取得する必要があります。視機能が重視されるため、眼科項目の検査は特に入念に行われます。 内科、耳鼻咽喉科、精神神経科の検査のほか、標高差によって異常が出ることが多い、心臓や脳、血液などの検査も実施されます。航空身体検査は、パイロットになる必須要件となるだけでなく、パイロットになった後も定期的に受けてクリアしないと操縦席に座ることはできません。
パイロットになるために必要な費用
子供がパイロットになりたいと言い出したら、親としてまず気になるのかがパイロットになるまでに必要となる費用のことではないでしょうか。同じ国家資格となる医師になるためには、1,000万円~3,000万円かかることもあります。 パイロットには、なるためのルートは1つではないため資格取得のための養成機関によって費用は変わります。防衛大学や自衛隊に入って取得する場合は、給与を受けながら訓練することも可能です。一般的なパイロット養成機関ではどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
航空大学校:2年間で300万円程度
航空大学校は2年間でパイロットになるための必要や知識や技能を身につけることになります。原則として全寮制となっており、2人1部屋で生活を送ります。国土交通省が管轄しているため、学費は130万円程度、そのほかに生活費が150万円程度かかるとされ、2年間で300万円ほどとなります。 宮崎キャンパスで5か月間の学科教育を受け、帯広キャンパスでフライトトレーニングを行うのが一般的な流れとなります。カリキュラムはハードなものであり、勉強や訓練で日々明け暮れるため、原則として学費や生活費を工面するためのアルバイトは禁止されています。
パイロット養成課程の大学:4年で約1,000万円
航空大学校はパイロット養成だけを目的としている学校であるため、卒業しても学位を取得することはできません。その一方で、一般の大学で航空操縦士のライセンスが取得できる学科を専攻すると、ライセンスとともに学位資格も取得することができます。 パイロット養成課程のある大学には公立、私立の別があり、それによって学費には違いがあります。4年生大学の場合は卒業するまでに約1,000万円程度の費用がかかるとされています。
海外のパイロット養成機関:1000万円以上
パイロットのライセンスを取得するために海外の大学などのパイロット養成機関を活用することもできます。アメリカをはじめとして国際民間航空機関に加盟している国同士であればパイロットのライセンスに互換性もあります。 早くから航空産業が発達した航空先進国の恵まれた環境のなかで資格を取得し、その後国内の訓練機関に進学するというのが主なルートとなります。渡航費や生活費などを除いて1,000万円ほどの費用がかかると言われています。
パイロットのやりがい
国家資格を取得することが必須であるパイロットですが、パイロットにはどのようなやりがいがあるのでしょうか。改めて確認してみましょう。
安全に着陸したときの達成感
安全に飛行することがパイロットの使命であり、その責任は重く1回1回が緊張の連続です。しかし責任が重い分、無事に着陸した時には大きな達成感を味わうことができます。大きな責任を持ち飛行機を操縦し、無事に着陸した時の達成感はパイロットの大きなやりがいであるといえるでしょう。
成長し続けることができる
機長になるためには平均して15年かかると言われ、さまざまな訓練を行う必要があり、常に学び続ける必要があります。そのように、学び続けることが好きな人であれば大きなやりがいを感じることできるでしょう。
参考
パイロットのやりがいを聞いてみよう【スタディサプリ 進路】
パイロットのやりがい | パイロットなど550種類の職業や仕事を紹介 Career Garden
パイロットの平均年収・給与
航空会社のパイロットの平均年収は1,198万円となっています。また、パイロット年収は規模の大きい航空会社ほど高く、中堅以下の航空会社では大手企業の半分ほどの年収と言われています。
同じパイロットという職業でも、雇用先の会社によって収入は大きく異なるようです。
参考
パイロットの年収【国内線・国際線・自衛隊】や年齢別・役職別【機長・副操縦士・教官】年収推移|平均年収.jp
まとめ:憧れの職業を目指そう
憧れの職業として昔からダントツの人気を誇っているパイロット。パイロットになるには、一般的に航空大学校や一般の大学、自衛隊、などのパイロット養成機関に進むことが必要となります。航空や操縦に係る膨大な知識や技術に加えて臨機応変に的確に判断する力や強い精神力、視機能をはじめとする健康な体が必要となります。 今、航空業界では、団塊世代の大量退職、LCCの台頭による深刻なパイロット不足が懸念されています。パイロットになりたい子供にとっては、またとないチャンスのある時代とも言えるでしょう。子供が自分に合った道を見つけるのは親の願いでもあります。親も子供たちの夢を追うサポートができるよう、早くから情報収集に勤めておきましょう。