助産師の仕事のやりがい
仕事内容も幅広く、命を預かる職である助産師。大変な仕事ではありますが、同時にとてもやりがいのある仕事です。助産師たちは、実際にどんなやりがいを感じているのでしょうか。
実際の体験談
公益社団法人日本助産師会では、助産師を目指す人たちに向けて、既に助産師として活躍している方のメッセージを掲載しています。助産師の方がどんなときにやりがいや喜びを感じているか、一部抜粋してみました。
新たな発見や気づきから、本来の笑顔が取り戻せた時、安堵感とともに、助産師として私を成長させてくれていると感じます。町中では、寄り添った方々から声をかけて頂くことも、私の元気の大きな源です。
(引用元:先輩助産師からのメッセージ|公益社団法人 日本助産師会)
夜明けに新しい命の誕生を迎え、帰宅する際には、至福の光景・美しい朝焼けが眠気と疲労感を癒してくれます。お産は、お母さんと赤ちゃん、二つの命を同時に預かる責任の重い仕事ですが、大きな感謝と共に自己をも成長させてくれるかけがえのない経験です
(引用元:先輩助産師からのメッセージ|公益社団法人 日本助産師会)
子どもは社会の力であり、人類の希望です。その子どもを産み育てる女性とその家族に寄り添い、命がつながっていくことに助産師としての喜びとやりがいを感じることができるはずです。
(引用元:先輩助産師からのメッセージ|公益社団法人 日本助産師会)
やはり新しい命の誕生に立ち会えるというのは、助産師のやりがいの一つのようです。同じ女性だからこそ打ち明けられる悩みもあるでしょう。悩める女性に寄り添ってあげられる助産師という仕事は、女性を支えたいと思う方にとっては天職かもしれません。
助産師が出てくる作品紹介
助産師が出てくる小説やドラマ、漫画には助産師の仕事について詳しく描かれているものがあります。作品によっては悩みや葛藤についても触れています。
今回は助産師が出てくる作品の中から、親子で楽しめるものをご紹介します。
コウノドリ
コウノドリは2015年にドラマで放送されて話題になりました。原作は漫画で、命と向き合う産科医療についてリアルに描かれています。改めて命が生まれることの奇跡を実感する作品でもあります。
ドラマは2015年と2017年に放送されており、2017年のコウノドリでは、育児と仕事の両立に悩む助産師の姿も取り上げられています。美しい部分だけでなく、悩みの部分も知ることができる作品です。
むかえびと
小さな新しい命を迎える助産師を描いた小説です。フィクションですが、作者が看護師のためか、内容がリアルだと評判です。
出生前診断など、難しい問題も取り扱っています。表紙は和やかな雰囲気。中学生以上におすすめの作品です。
助産師になるために必要な学歴
助産師になるためには、原則として文部科学省の指定した学校で、1年以上助産に関する学科を学ぶか、都道府県知事指定の助産師養成所を卒業しなければなりません。この過程を終えれば助産師の国家試験を受けることができます。
文部科学省が公開している医療関係技術者養成施設数・入学定員数一覧(1ページ)によると、助産師になるための指定校は166校、助産師養成所は42校です。助産師養成の指定校には大学院、大学、短大専攻科、専修学校があります。今回は助産師を目指すことができる大学と、助産師養成所について詳しく解説していきます。
助産師養成課程のある大学
大学の4年間で助産師になるための勉強を学びたいという方には、助産師養成課程のある大学への進学をおすすめします。助産師になりたいという意思が固まっているのであれば、効率的な道でしょう。
文部科学省公開の医療関係技術者養成学校一覧 助産師学校によると、助産師養成課程のある文部科学省指定の大学は全国で122校、大学専攻科と別科を除けば83校です。うち、旭川医科大学など国立大学は23校、公立大学は18校、私立大学が42校です。
指定校は北海道から沖縄まであり、47都道府県中40都道府県で指定大学が確認できました。助産師を目指す学生にとっても、大学を選びやすい環境です。
助産師になるための大学と一括りにしても、国公立と私立では学費が大きく異なるのが、JS日本の学校のデータで分かります。例えば2019年度の場合、千葉大学の看護学部看護学科では初年度納入金が81万7,800円、授業料が53万5,800円ですので、4年間合計で242万5,200円です。
同じく千葉県にある私立大学、順天堂大学医療看護学部看護学科では19年度の場合、初年度納入金が185万円です。助産師になるための実習を受けると4年間で685万円、さらに諸経費が別にかかってきます。
学費や施設費に関しては、各大学で成績優秀な学生への減免制度や特待生制度もあります。
助産師養成所
都道府県知事指定の、助産師になるための指定養成所は国公立・私立合わせて42ヶ所あります。助産師養成所では、既に看護師の国家試験を合格した方が1年間かけて助産師についての勉強や実習を行います。中には2年制のコースもありますが、1年制が一般的です。
東京都文京区にある母子保健研究センター助産師学校では、1年制と2年制のコースがあります。1年コースでは学費は174万円、2年コースでは合計270万円です。
助産師養成所に入る時点で、既に看護師になるための学校を卒業しています。看護師を目指す大学や短大、専門学校の学費が約150万円から約650万円ほどかかるでしょう。
助産師養成所の良いところは、看護師として働いてから助産師を目指したいと思ったときに、より専門的な勉強ができるところです。看護師経験を数年積んでから、入学する方もいるようです。
助産師になるための資格
助産師になるためには助産師免許が必要です。助産師免許を取得するには、看護師国家試験と助産師国家試験の両方に合格しなければなりません。
看護師免許が前提条件
助産師になるためには、まず看護師の国家試験に合格していることが必須条件です。昔は助産師の国家試験の合格のみで、助産師の免許を申請することができました。しかし2007年4月1日から免許制度が改正され、助産師や保健師は看護師の国家試験にも合格していないと、免許の申請ができなくなったのです。
看護師の国家試験に合格していなくても、助産師の国家試験は受けられます。4年制大学などでは看護師と助産師の国家試験を同年度に受験することも珍しくありません。そのため、助産師の国家試験受験の条件に、看護師の国家試験合格や看護師免許は必要ではないのです。
では、看護師と助産師の国家試験を受けて、看護師の国家試験だけ不合格となった場合はどうなるのでしょう。助産師の国家試験に合格して、看護師の国家試験に不合格となった場合、助産師免許を申請することができません。翌年以降に看護師の国家試験に合格した段階で、晴れて助産師免許の申請ができるのです。助産師の国家試験に合格したからといって、免許の申請前に業務を行うことはできません。
看護師と助産師の国家試験を同じ年度に受験して、看護師の国家試験だけ合格した場合は、看護師の免許を申請できます。助産師の国家試験だけ合格しても、何の免許も申請できないので、看護師の国家試験に合格することを重要視しておきましょう。
助産師国家試験
助産師になるためには、看護師と助産師の国家試験に合格してから、厚生労働省に免許を申請します。助産師の国家試験は助産についての基本的なことや、診断・技術について、助産管理に関することが出題されます。
厚生労働省が公開している、 第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験及び第108回看護師国家試験の合格発表のページで、2018年度の助産師国家試験合格率を見てみると、全体の99.6%が合格しています。看護師や保健師に比べても高確率です。また、新卒者だと99.9%が合格していますので、助産師を目指す方たちがしっかり勉強して試験に臨んでいることがうかがえます。
看護師と助産師の国家試験に合格し、免許の申請を行って受理されれば、晴れて助産師となります。