警察官の階級と役職の関係
警察官は階級によって、組織上の役職が決まっています。公務員を志す方向けの情報ポータルサイト「公務員総研」を参考に、警察官の階級と役職の関係を図にまとめました。
【警察官階級と役職】
階級 | 組織上の役職 | 警察官全体からの割合
(定員) |
巡査
(巡査長) |
担当課の係員
(担当課の指導係員) |
約30% |
巡査部長 |
|
約30% |
警部補 |
|
約30% |
警部 |
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約6% |
警視 |
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約2.5% |
警視正 |
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約0.5% |
警視長 |
|
約0.5% |
警視監 |
|
約0.3%
(最大41名) |
警視総監 | 警視庁のトップ | (1名) |
(警察庁長官) | 全警察組織のトップ | (1名) |
(警察官の階級の説明と階級ごとの役割・仕事内容について|公務員総研より筆者作成)
巡査長の階級は「巡査」ですが、組織上の役職として都道府県警察署に置くことが巡査長に関する規則に定められています。警察庁長官は階級がない唯一の存在です。警視総監は、仕事内容は他道府県警察の本部長(トップ)と同じですが、日本の首都を守る警察組織として重要視されています。
階級の昇任は実績と努力を下に公平に行われています。しかし、都道府県警察官と警察庁警察官の最初の階級と、次の昇任試験を受けられるまでの期間は異なります。
都道府県警察官と警察庁警察官のキャリアアップの違い
そもそも超難関の国家公務員試験ですが、警察庁に採用されるのは試験で優秀な成績をおさめ、さらに国の治安意識の高い人物に限られます。そのため、日本国民を国内だけでなく外国からの脅威からも守るための警察組織の上層部は、警察庁の警察官たちに任されることになります。
以上のことを踏まえて、都道府県警察官と警察庁警察官の昇任制度の違いを見ていきましょう。
【警視庁警察官と警察庁警察官の昇任制度の違い】
階級 | 都道府県警察官の昇任 | 警察庁警察官の昇任 |
巡査
(巡査長) |
巡査として、Ⅰ類採用者は2年、Ⅱ類採用者は3年、Ⅲ類採用者は4年以上の勤務実績で巡査部長昇任試験を受けることができる。 | なし |
巡査部長 | 巡査部長として、Ⅰ類採用者は1年、Ⅱ類採用者は2年、Ⅲ類採用者は3年以上の勤務実績で警部補昇任試験を受けることができる。 | なし |
警部補 | 警部補として、4年以上の勤務実績で警部昇任試験を受けることができる。 | 研修と見習い勤務の経験を経て1年2ヶ月後に警部へ昇任 |
警部 | 警部として6年以上の勤務実績で警視昇任試験を受けることができる。 | 約2年間の警察庁勤務を経て、採用から7年目には警視に一斉昇進 |
警視 | 以降昇任試験なし | 採用から15年目以降、警視正に順次昇任 |
警視正 | なし | 採用から22年目以降、警視長に順次昇任 |
警視長 | なし | 50代以降、ほぼ全員が警視監に昇任 |
警視監 | なし | 道府県警察本部長は、国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て、任免 |
警視総監 | なし | 国家公安委員会が東京都公安委員会の同意を得て、内閣総理大臣の承認により任免 |
(警察庁長官) | なし | 国家公安委員会が、内閣総理大臣の承認により任免 |
(警察官の昇任第十五条~第二十五条|警視庁職員任用規定、【20代で警視に昇進できる?】警察官僚の出世スピードはどれくらいか|MONEY MAGAGINEより筆者作成)
都道府県警察官は採用後、巡査の階級から始まり、警視が最高階級になります。これに対して、警察庁警察官は採用後、警部補の階級から始まり、ほぼ全員が警視監まで務めます。その中でもひと握りの警察官が、全警察組織トップの役職に昇任します。
警察官の年収・平均給与について
国民の安全を守るために、昼夜問わず働くこともある警察官。時には命の危険にさらされることもある職務に対して、どのくらいの報酬があるのでしょうか。
都道府県警の警察官(地方公務員)の平均給与
総務省の発表した資料をもとに、都道府県警察官の全国平均給与をまとめた図が以下になります。
【2018(平成30)年地方公務員給与の全国平均】
給料 | 賞与計算のための給料(注2) | ||
基本給料 | 320,732 | ||
諸手当 | 扶養手当 | 12,126 | |
地域手当 | 27,302 | ||
時間外勤務手当等 | 87,501 | ― | |
その他手当(注1) | 8,567 | ― | |
諸手当合計 | 135,496 | ― | |
月額合計 | 実際給与 | 456,228 | 360,160 |
国比較ベース(注6) | 368,727 | ||
年間合計(注5) | 実際給与 | 5,474,736(注3) | 1,602,712(注4) |
国比較ベース(注6) | 4,424,724(注3) | ||
年収 | 実際給与 | 7,077,448(注5) | |
国比較ベース(注6) | 6,027,436(注5) |
(注1)その他手当とは、住居手当、特殊勤務手当の諸手当の合計額
(注2)賞与計算のための給料とは、基本給料に、扶養手当と地域手当を加えた額
(注3)月額給料の12ヶ月分
(注4)2018年の賞与年間支給月数は4.45ヶ月
(注5)給料年間合計額と賞与年間支給額の総額
(注6)時間外勤務手当等は含まれない。
参考
平成30年地方公務員給与実態調査結果等の概要(平成31年3月26日)|総務省、P7
【2019】公務員の夏と冬のボーナス支給日はいつ?支給額も予測しました。(2019.6.5更新)|次席合格の元県庁職員が語る『公務員試験対策』と『公務員のリアル』
総務省から公表されているデータは一部の手当てが含まれていませんので、実際の金額はさらに上乗せされていると考えられます。都道府県警察官の給与はそれぞれ異なります。具体例として、神奈川県・大阪府・東京都・北海道の警察官給与を参考に載せましたのでご覧ください。
警察庁の警察官(国家公務員)の平均給与
総務省と人事院の発表した資料をもとに、警察庁警察官の全国平均給与をまとめた図が以下になります。
【2018(平成30)年国家公務員給与の全国平均】
俸給 | 賞与計算のための給料(注2) | ||
基本俸給 | 315,864 | ||
諸手当合計(注7) | 55,865 | ― | |
月額給与合計(注8) | 371,729 | 371,729 | |
年間合計(注6) | 4,460,748(注3) | 1,654,194(注4) | |
年収(注6) | 6,114,942(注5) |
(注2)賞与計算のための給料とは、基本給料に、扶養手当と地域手当を加えた額
(注3)月額給料の12ヶ月分
(注4)2018年の賞与年間支給月数は4.45ヶ月
(注5)給料年間合計額と賞与年間支給額の総額
(注6)時間外勤務手当等は含まれない。
(注7)諸手当の詳細は下記参考の国家公務員の諸手当の概要を参照
(注8)賞与にかかる手当ては詳細平均金額が明示されていないので、ここでは賞与計算のための給料を月額給与とする。
参考
平成30年地方公務員給与実態調査結果等の概要(平成31年3月26日)|総務省、P7
都道府県警察官のデータ同様、一部の手当てが含まれていませんので、実際の金額はさらに上乗せされていると考えられます。さらに、警察庁警察官は福利厚生が充実しており、緊急時にすぐに任務につけるように住居も手配される場合があります。
さまざまな職業の給与について掲載しているサイト「MONEY MAGAZINE」によると、警察庁警察官の年収は、
- 警視長で約1,200万円前後
- 警視監で約1,500万円前後
- 警察庁長官、警視総監で約2,000万円前後
と言われています。
参考
【20代で警視に昇進できる?】警察官僚の出世スピードはどれくらいか|MONEY MAGAGINE
まとめ
警察官は知力・体力・精神力を要する大変な職業です。自ら命の危険に関わる事件にも対峙しなければならない場合もあるため、その勇姿に強靭さと尊敬を覚える方も多いのではないでしょうか。
困った人を助け、人々の安全を日々守る警察官。そんな警察官はやりがいと名誉を得られる職業の1つです。
参考
5分で解説!警察官採用試験の具体的な内容|ポリスNAVIチャンネル
公務員の月給・賞与6年連続引き上げ 人事院勧告(2019.8.7)|産経新聞
第30回「大人になったらなりたいもの」調査結果を発表 |第一生命株式会社