小論文も起承転結で書いていいの?
それでは、結局小論文は起承転結を使って書いてもよいのでしょうか。ここからは、起承転結を使用して低評価になってしまう例と、小論文に適した起承転結の使い方についてご紹介していきます。
起承転結を使った小論文を書きたい、と思っている方はぜひチェックして、低評価になる小論文を書かないように気をつけましょう。
起承転結で書いて低評価になる場合
起承転結で書いて低評価になる例は、文字通り「起→承→転→結」の流れにしなければ、と展開の順番にこだわってしまった時に起こります。
起承転結は文章を書き慣れていない人に対して、わかりやすく説明するために存在する「型」のようなものであり、必ずしもそれに「当てはめる」のが正しいわけではないことを理解しましょう。
以下では、起承転結の構造では問題が解きにくい場合の例を挙げて解説します。
①問題が複雑で単純に起承転結のパターンの回答では答えられないとき
例えば、2つの物事を比較し、それぞれのメリットデメリットを踏まえた上で今後の方向性を問うような問題の場合は、単純な起承転結のパターンでは論述を展開させることが難しくなります。
この場合は、前半で双方のメリットデメリットをそれぞれ比較し、後半ではそれを踏まえたうえでの今後の展開を論じることになりますので、起承転結の構造はあてはまりません。このような場合には、無理やり起承転結を使って書こうとすると、意味が分からなくなり逆効果です。
②起承転結のパターンにこだわり問題の指示に正しく答えられないとき
起承転結の基本構造にばかりこだわっていると、問題の指示に正しく答えられなくなる場合があります。
具体的には「転」の展開が必要ない問題が該当するでしょう。社会的な問題とそれに対する取り組みなどを論じる場合には、本来必要のない「転」の展開を無理に挿入することで、何が言いたいのかよく分からなくなってしまう事があります。
大切なのは、起承転結の構造を全てに当てはめることではなく「問われていることに対して正確に答えること」です。答えるべきポイントと導くべき結論は何なのかということを意識するようにしましょう。
小論文に適した起承転結の使い方
ここまでは起承転結を使用すると低評価になる例をご紹介しましたが、起承転結を使用することが適しているのはどのような場合なのでしょうか。
起承転結はストーリーをまとめる際に、まとめ方の手法の一つとして役に立つものです。また、「転」の部分が不要、などと指摘されてもいますが、与えられたテーマを別の角度から検証することは大切なことでもあります。
以上のことを参考に、小論文に適した起承転結の使い方とはどのような使い方なのかをみていきましょう。
①起承転結の「転」がうまく展開できる場合
ここまで、論理的な文章で「転」を使用するのは文章の破綻を招く、と言われてきましたが、その「転」を使用したとしても破綻せずに、論理的で説得力のある論旨が展開できる場合には、起承転結は有効な手段となります。
例えば、ある物事について賛成か反対かあなたの意見を述べなさい、という問題の場合には、問題を提起し、予測される事態を論じた上で、別の側面からの意見や考え方を提示し、以上の理由から結論を述べる、という手法が成り立ちます。
全ての場合にあてはまるパターンではありませんが、「転」の部分をうまく展開できそうな場合には、起承転結を使うのもいいのではないでしょうか。
②「転」の部分を「逆説」ではなく「承」に対して掘り下げるパートに
起承転結を使って小論文を構成するのが全て良くないなわけではありません。「転」の部分を逆説と捉えるのではなく、一つ前の「承」の部分に対して掘り下げるパートにしたときに論旨がうまく展開できそうな場合も、起承転結の構造が有効になるパターンと言えるでしょう。
こうして見ていくと、起承転結はあくまでも論旨を方向付けるための「道しるべ」的な型であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。