社会福祉士のキャリア形成について
福祉関連の仕事はハードですが、人の役に立つ大切で有意義な仕事です。そんな社会福祉士の将来性とキャリア形成についていくつかのヒントをお伝えします。
超高齢化社会で期待される職種
厚生労働省によると、2025年には日本国民の約5人に1人が75歳以上になる見とおしとなっています。超高齢化社会はどの国も経験したことがありません。働き方や社会参加、地域コミュニティの在り方、生活環境など、さまざまな課題が溢れています。
内閣府の調査によると、超高齢化社会の課題の1つに社会的孤立と生活環境が挙げられています。認知症になっても安心して暮らせる仕組み作り、単身高齢世帯へのサポートなど、超高齢化社会になるに従い医療、介護、福祉サービスといった分野で幅広く活躍できる社会福祉士に期待が寄せられています。
福祉事業は今も人材不足であり、優秀な人材を確保することが課題となっています。そのため、正当に評価してくれる病院ならびに施設では、給与や環境の待遇改善も見込まれることでしょう。
参考
第一章 第3節 1 超高齢社会における課題|内閣府
専門性を高めるのは現場実習ありき
社会福祉士の仕事は極めて実践性が高い職種です。学校の勉強だけでなく、社会生活に目を向けてさまざまな人とコミュニケーションを図ることが前提です。ユーザーのニーズがどこにあるのか、どのように対応すれば良いかは現場で経験を積むよりほかに方法はありません。
例えば、児童養護施設で働く社会福祉士の場合、家庭での養育が難しくなった子供を施設に預けるのが良いのか、在宅で支援できるサービスを提供するのが良いのかを本人・家族、児童相談所、警察、裁判所で協議していきます。ときには子供に寂しい思いや不安を抱かせることもあるかもしれませんが、その中でベターな選択ができるように調整していきます。
このように、1つの事例でも多くの関連施設、他職種と連携して業務が進められます。そのため社会福祉士の専門性は狭く深くではなく、多様な悩みや問題をどう解決していくかが求められます。
上位資格「認定社会福祉士」の取得
社会福祉士の上位資格「認定社会福祉士」の取得を目指すのもキャリア形成の目的になります。認定社会福祉士は、所属組織における相談援助部門で、複雑な課題に対して的確な相談援助ができると認められた者のことを指します。職場内でのリーダーシップや他職種との連携などの役割が期待されます。
なお、さらに上位資格「認定上級社会福祉士」という資格もあり、組織の仕組み作りや新しいサービスを開発するなど、マネジメントも求められるようになります。福祉の問題に仕組みから変えられる可能性がある仕事です。チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
開業も視野に入れる
キャリア形成の1つの手段として、独立開業も視野に入れておくのも1つです。社会福祉士が独立開業する場合、大きく分類すると2種類が挙げられます。1つ目は「介護施設の開業」、そしてもう1つは「独立型社会福祉士として開業」です。
組織に所属しているとやりたい活動が制限されるケースが少なくありません。組織の一員であるため、上司への了解を取ったり、周りの同僚に合わせて行動したりと、スピーディーな行動はしにくい現状があります。独立開業すると相談範囲が広がり、やりたい活動が思う存分にできるようになります。
なお、独立型社会福祉士の開業には、社会福祉士の資格に加え、日本社会福祉会に所属し、日本社会福祉会が実施する独立型社会福祉士養成研修を受けていることが最低限の条件となります。
終わりに
少子高齢化が進む現在において活躍が期待されている社会福祉士ですが、その仕事は実に多岐にわたります。そのため、学校の勉強だけでなく現場で実践的な経験を積み、より専門的な知識が技術を習得することが非常に重要になります。これからの時代、上位資格である「認定社会福祉士」の取得や開業も視野に入れつつ、増えゆくニーズに対応していくことが求められる仕事と言えるでしょう。
参考
社会福祉士国家試験|公益財団法人社会福祉振興・試験センター
成年後見人の仕事って? 認知症などの人の財産管理|日経電子版
「認定社会福祉士」「認定上級社会福祉士」とは|認定社会福祉士制度
社会福祉士になるには|学校法人敬心学院日本福祉教育専門学校
待ったなし!2025年問題に向けて社会福祉士の需要拡大!ケアラビNEWS
社会福祉士の仕事内容|Benesse マナビジョン