保育士になるには資格が必要?2つの方法と試験内容を紹介
ここからは、保育士になるための過程を分かりやすく解説していきます。これまで紹介してきたように、保育士は国家資格を必要とする専門性の高い仕事です。
この専門性を担保するために、保育士になるためには「保育士の養成施設を卒業する」「受験資格を満たした上で保育士国家試験に合格する」という2つのしっかりとしたルートが定められています。
この2つのルートには、一定期間の学習時間が必要になるという共通点があるものの、ルートごとに保育士として活躍できるまでの期間が異なるため、状況に合ったものを選択することをおすすめします。
【方法1】保育士の養成施設を卒業する
保育士の資格を取得するために用意されたルートの1つ目が、「保育士の養成施設を卒業する」というものです。数ある大学や短大、専門学校の中でも、「子供の保育」と「保護者に対して保育に関する指導」を行うために必要な知識を身につけられる機関が厚生労働省によって定められており、その養成施設を卒業することで無試験で保育士資格を取得することができます。
また、4年制の大学や3年制の短大では関連分野についても幅広く学ぶことができ、2年制の短大か専門学校ではいち早く保育士として働き始めることができるという、それぞれ違った利点があるため子供のキャリアにはどちらが良さそうかという視点で検討してみるのがおすすめです。
【方法2】受験資格を満たした上で保育士国家試験に合格する
厚生労働省によって定められた機関を卒業していなくても、受験資格を満たしていれば、保育士国家試験を受験することができます。また、保育士の受験資格は、最終学歴によって次のような違いがあります。
- 大卒・短大卒:保育士とは直接関係のない学部学科であっても、卒業してさえいれば受験資格が与えられる
- 専門学校卒:学校教育法に基づいた専修学校を卒業していること、卒業した課程が修業年限2年以上専修課程であれば受験資格を与えられる
- 1991年4月1日以降に高校を卒業:児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験を満たすことで受験資格が与えられる(2019年3月時点)
- 中卒:児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験を満たすことで受験資格が与えられる
このように厚生労働省によって定められた機関を卒業していなくても、受験資格を得ることができます。ただし、高卒の場合には2年以上、中卒の場合には5年以上の実務経験が必要となり、同時に受験対策をしなければならないという難しさがあることも把握しておきましょう。
合格率は20%弱!保育士試験の内容
国家資格として認定されている保育士は、毎年の合格率が20%を下回る難易度の高い試験です。内容はマークシートで全9科目の学力を問われます。また、合格ラインは各科目100点満点のうち6割以上とされています。さらに、筆記試験とは別に言語・音楽・造形から2科目を選択する実技試験も設けられており、それぞれ50点満点のうち6割以上が合格ラインとなります。
20%以下という合格率を見ると「難しすぎる」という印象を抱いてしまいますが、毎年一度で合格している人はほとんどいないのが実情です。合格した科目は3年間有効になるという制度をうまく活用することで、十分に合格を目指すことができる試験です。
保育士になるための適性とは?
最後に保育士という仕事の実情や、保育士になるまでの過程を踏まえ、必要とされている適性を確認していきましょう。国家資格の取得が必要とされる保育士には高い専門性はもちろん、コミュニケーション能力などの人間的な素養も求められます。子供の将来を考える親目線で、子供に適性があるかどうかを見極めてあげることも非常に重要なことです。
他人の子供の教育に関心が持てる
どんな保育士にも求められる1つ目の適性が、「他人の子供の教育に関心が持てる」ということです。保育士は、子供が快適に過ごすことができる子供の保育だけでなく、保護者への保育に関する指導を行う重要な役割を担っているため、他人の子供であっても「どんな成長を遂げるか」に関心を持つ必要があります。
また、保育施設に通う子供は、本当にさまざまな個性を持っています。どんな子供に対しても寄り添う気持ちで接するようなコミュニケーション力も大切な適性の1つです。
基本的な体力がある
また、非常に基本的なことですが、「体力があること」も保育士に求められる重要な素養です。先述のとおり、保育士はシフト勤務によって時間が不規則だったりするため、ワークライフバランスが保ちにくい仕事です。
仮に少し体調が優れなくても、子供の相手はそつなくこなさなければならないという大変さのある仕事でもあります。さらに、保育士が体調不良を起こしたことを不安に感じる保護者もいるため、基本的な体力があり、少しのことでは体調を崩さないようなタフさが求められます。
保育士になるには仕事内容や年収などの実態を知ることも大切
子供の教育に関心がある、将来性のある仕事に就きたいといった人から人気を集める保育士ですが、まずは仕事内容や年収などの実態を知ることから情報収集を始めることをおすすめします。
近年は待機児童問題や共働き世帯の増加などによって、保育士の需要は確かに高まっています。ただし、「子供の保育」と「保護者に対して保育に関する指導」を主な業務とする保育士にはワークライフバランスを保ちにくい、平均年収が高くないという特徴があることも理解しておくべきでしょう。保育士だけに限ったことではありませんが、仕事の大変さを理解した上で、保育士になるルートやキャリアを検討することが大切です。
参考
保育士試験を受ける方へ|一般社団法人全国保育士養成協議会
保育士になるには・仕事内容・資格と試験|スタンバイ
保育士になるためには自分に合った方法を選択|たのまな
保育士の仕事|CareerGarden