子供に読ませたい!直木賞受賞作品5選
それでは実際に子供に直木賞受賞作品を読ませるとしたら、どのような本がいいのでしょうか? 今回は子供に読ませたい直木賞受賞作を5つご紹介します。
まほろ駅前多田便利軒(三浦しをん)
三浦しをん氏の『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫)は2006年上半期の第135回直木賞受賞作品です。文藝春秋BOOKSの公式オンラインショップでは、以下のように内容が紹介されています。
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.——ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。
(引用元:まほろ駅前多田便利軒|文藝春秋BOOKS)
直木賞受賞作であると同時に、映画化された作品でもあります。日常的な場面を痛快に描いており、「難しい用語が多い本は苦手」という子供でも読みやすい作品であると言えるでしょう。
何者(朝井リョウ)
朝井リョウ氏の『何者』(新潮社)は、2012年下半期の第148回直木賞受賞作品です。2016年に映画化されており、有村架純さん、佐藤健さん、二階堂ふみさんら人気の俳優・女優が出演したことで話題となりました。
新潮社の公式オンラインショップでは、以下のような紹介文が記載されています。
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
(引用元:就活のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月らと集まるが――。直木賞受賞作!|新潮社)
「SNS」、「就職活動」など若者にもなじみのある内容を軸として、それらを取り巻く人間関係が描かれています。身近な言葉で書かれており、子供としても読み進めやすいでしょう。また知っている俳優や女優が出演して映画化されていますから、本を手に取るきっかけにもつながるかもしれません。
サラバ!(西加奈子)
西加奈子氏の『サラバ!』(小学館)は2014年下期の第152回直木賞受賞作品です。単行本は上中下の3巻構成となっています。
上巻の内容について、小学館の公式オンラインショップでは以下のように紹介されています。
僕はこの世界に左足から登場した――。
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。(以下略)
(引用元:サラバ!|小学館)
主人公の歩の視点で、成長しながら見えていく形式や感じたことなどが書かれています。特に上巻は学生時代についての内容が多く、子供としても情景を想像しやすいでしょう。
下町ロケット(池井戸潤)
池井戸潤氏の『下町ロケット』(小学館)は、2011年上期の第145回直木賞受賞作品です。2015、2018年にそれぞれドラマ化されており、記憶に新しいという人も多いのではないでしょうか。あまり本には詳しくない子供であっても、タイトルを聞いたことがある! という子供も多いでしょう。
小学館の公式オンラインショップでは、内容について以下のように紹介されています。
「お前には夢があるのか? オレにはある」
研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。(中略)
特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。
(引用元:下町ロケット|小学館)
工場の場面で使用される専門用語や特許の仕組みなどは、子供にとってあまりなじみがない内容かもしれません。しかし登場人物の夢を抱いて動く姿、熱意を持って物事に取り組む姿勢に子供は胸を打たれることでしょう。
銀河鉄道の父(門井慶喜)
門井慶喜氏による『銀河鉄道の父』(講談社)は、2017年下期の第158回直木賞受賞作品です。「銀河鉄道」という言葉から連想されるように、宮沢賢治に関する内容が書かれています。地域によっては宮沢賢治の『やまなし』などを、小学校の国語の授業で習うこともあります。その場合は知っている人に関連する話であるため、手に取りやすい本であると言えるでしょう。
講談社の公式オンラインショップでは、以下のように内容が紹介されています。
明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。(中略)
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。
家庭の様子を知ることで、歴史的人物である宮沢賢治を身近に感じたり、より歴史に興味を持ったりすることにつながるかもしれません。学校で宮沢賢治について習っている場合は、子供に勧めてみるといいでしょう。(引用元:銀河鉄道の父|講談社BOOK倶楽部)
おわりに
直木賞を受賞した作家や作品は、テレビやインターネットでも大きな話題となります。読書習慣があまりついていないという場合であっても、連日報道されているような作家や作品には興味を持つかもしれません。
子供の読書を習慣づけるきっかけとなるように、直木賞受賞作品を子供に勧めてみてはいかがでしょうか。
参考
直木賞受賞者一覧 (2019年1月現在)|公益財団法人 日本文学振興会
よくあるご質問|公益財団法人 日本文学振興会
役員一覧|公益財団法人 日本文学振興会
まほろ駅前多田便利軒|文藝春秋BOOKS
就活のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月らと集まるが――。直木賞受賞作!|新潮社
サラバ!|小学館
下町ロケット|小学館
直木賞−受賞作候補作一覧|直木賞のすべて
銀河鉄道の父|講談社BOOK倶楽部