声優に必要とされる資質
声優になるためにはどのような資質を備えていればいいのでしょうか。単純に考えると声が大きい、感情表現が豊かである、滑舌がよくはっきりと言葉を発音することができる、などがあげられますが、それだけではありません。
声優はその名の通り声で演じる俳優です。どんな役でもこなせる高度な演技力や同じセリフを言っても他の人とは違う何かが光る個性などが必要です。また、声優としての実力に加えて自分をアピールして売り込む力も必要となります。改めて声優に必要とされる資質について考えてみましょう。
役者として演じるのが好き
声優は表情や身振り、手振りを演技に取り入れることができず、すべてを声だけで表現しなくてはなりません。身体表現がメインとなる俳優よりもある意味で高い表現力を求められることになります。
声優を目指すうえで演技力は欠かせません。役になりきることで初めて映像に描かれたキャラクターに命が吹き込まれます。人前で演技することに恥ずかしさを感じることがない、人をよく観察して特徴をつかみまねをすることができる、など演じることが大好きであるということも声優に必要なことです。
他の人と違った個性を持っている
声優は原稿や台本に書かれたことを正確かつ忠実に読み上げればいいというものではありません。ナレーションやセリフのなかに個性やその人にしか出せない味を出すことが求められます。
声優の仕事のほとんどはオーディション制で自分の力で仕事をもぎとらなければなりません。同じセリフを何十人もしゃべるなかでその役をつかむ人は、やはり他の人にはない個性があるということになります。きらりと光る個性があるかないかは声優にとって大切な資質のひとつです。
対人能力・営業能力
声優はさまざまなキャラクターで存在感や個性が評価され、引っ張りだこになるまではそれほど定期的に仕事が舞い込むものではなりません。特に新人時代は自分の力で役を取ってくることが当たり前となり、待っているだけでは声優としての仕事はできません。
声優としての実力はもちろんですが、自分で仕事の交渉をしたり、自分の個性や実力をプロデューサーなどに売り込んだりする能力が必要となります。相手に不快な思いをさせずに自分の要望や要求を伝える高度なコミュニケーション能力や相手の人となりを分析してうまく営業する力も必須となります。
高校生でもできるトレーニング
最近では、声優になることを夢見ている小中学生もたくさんいます。なんとなく憧れているだけであれば特に努力する必要もないでしょうが、将来本気で声優になりたいと考えているのであれば、遅くとも高校生の頃には声優の基礎となるトレーニングを始めた方がいいでしょう。
高校時代はまだ声優養成のための学校に通うことはできません。しかし、少しでも声優としての資質や能力を身に付けておいて損はないので、できることはやっておきましょう。すぐに声優になれるわけではないため、声優の基本となる呼吸法や話し方、国語力などを鍛えることが必要です。
腹式呼吸
声優は声の演技者であり、発声や滑舌とともに響き渡る声量は舞台俳優と同レベルのものが求められます。メリハリを利かせてさまざまな感情をセリフで表現するためには、口だけでなくお腹の支えが欠かせません。
セリフ、歌唱、ともに基本となるのが腹式呼吸です。赤ちゃんの頃は無意識に誰もが腹式呼吸をしていましたが、成長するにつれて胸式呼吸に変化します。横隔膜を動かして肺を降ろしてたっぷりと息を吸って吐くもので誰でもトレーニングすればできるようになります。
滑舌や歯切れ良く話す
俳優であれば体の動きや表情で感情を表現することができ、セリフのない演技で視聴者を魅了することもできます。しかし、声の演技者である声優は声でしか演技をすることができません。視聴者は声優のしゃべるセリフでストーリーや感情を理解し、作品にのめりこみます。
滑舌の悪い喋り方や歯切れの悪いセリフでは、ストーリーが頭に入ってきません。滑舌や歯切れよく話すことは声優の基本中の基本となります。また、アクセントや抑揚などについてもアナウンサーなみの技術が求められるので、早口言葉や原稿朗読などで練習を積む必要があります。
肺活量を鍛える
声優はマイクで声を吹き込みますが、腹式呼吸によってお腹から出す声でなければ視聴者には届きません。また、短いセリフばかりではないので無呼吸で一気に長セリフをしゃべらなくてはならないこともあります。特にアニメやゲームなどでは、自分の秒数が決まっているなかで息継ぎをせずにセリフを言うこともあります。
肺活量を鍛えれば息が長く続くようになり、結果として一息でしゃべることができる時間もながくなります。また、短いセリフをしっかりとお腹から声を出してしゃべることができるようにもなるので、メリットは大きいと言えるでしょう。
国語の力を養う
声優はいうまでもなく日本語を駆使する仕事です。声に出す仕事なので滑舌や抑揚、音量や表現力などを意識しがちですが、その前に台本に書かれている日本語をきちんと理解する必要があります。台本は常に完成版が手渡されるとは限らず、本番前に修正が入ったり、できたての台本を見てすぐにしゃべらなくてはならないこともあります。
台本に書かれている日本語の文章を理解する読解力、そして、登場人物の気持ちの変化を読み取る力など、基本となる国語力を身に付けておくことが大切です。
まとめ:スター声優を目指そう
世界的なアニメ、ゲームブームを背景として、早くから声優を目指そうとする人の数は増加傾向にあります。声優であることを証明する資格はないことから声優になるための決まったルートはありませんが、ほとんどの人は声優としての技術や知識を身につけるために専門の養成学校に通うことが多いようです。
声優にはアニメやゲームのキャラクター役や外国映画やドラマの吹き替えのほか、さまざまな番組のナレーションなど仕事の内容は多岐にわたります。オーディションを受けて役を勝ち取っていかなければ仕事がないのが当たり前で、年収1000万円を超える売れっ子声優になるにはいばらの道が待っています。それでも、声優の夢が捨てきれないという方は早くからトレーニングや勉強を始めて少しでも夢に近づけるよう努力しましょう。親も子供たちの夢を追うサポートができるよう、早くから情報収集に勤めておきましょう。