音楽に興味がなくて、音大やめました!得意じゃなくても好きなことをしたい - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

再入学して変わったこと


退学は後戻りのできない選択でしたが、後悔することはないだろう、と自分を信じて決断しました。そして実際に一度も後悔することなく充実した大学生活を送ることができています。二度目の大学生活のなかで、知識を得ただけでなく、内面にもたくさんの変化がありました。

学ぶ楽しさを知った

大学に入りなおして気付いたことは、「私は勉強が好きだ」ということでした。人よりも時間がかかるとか、レベルが低いとか、そんなことはさておいて、とにかくどの講義も楽しかった。ただ今の課題をやり過ごすだけの音大生活とは違い、とにかく学べることすべてを学ぼうと貪欲に取り組みました。のちにゼミに所属することになる東洋哲学の授業を初めて受けたとき、ああ、音大の人たちはこんなふうにワクワクしながら過ごしていたのかもしれないな、と感動したのを覚えています。

視野が広がった

それまでの18年間は、常にバイオリンとともに生きてきました。毎日練習をして、毎週レッスンがあり、試験や本番に追われ、私にとっては「修行」に近い生活だったように思います。けれど再入学をしてからは、音大の友人が演奏を深めるために歴史や理論や他の芸術を研究したように、私も自分の興味のあることを深めるためにさまざまなことに触れる機会と熱意を持つことができるようになりました。

経験の価値に気付いた

ここまで散々バイオリンには興味がなかった、と言ってきましたが、その少し憎らしくもあるバイオリンのおかげで、音楽高校に行くことができ、だからこそ出会えた人たちがいることも事実です。音楽を極めるだけあって、ひとりひとり強すぎる個性を持った人たちが集まる本当に面白い空間でした。そこに自分がいられたことの価値に気付けたのも、他の環境に飛び込んだからこそだと感じています。

まとめ

「興味がないことを学べるか」
私が自分自身の経験から出した答えは、「興味がなければ学べない」です。技能を身につけたり、知識を暗記したり、単位を取ったりするだけならば可能ですが、自分自身の血肉になるような「学び」は、「興味」と切り離せないものだと感じています。
逆に言えば、「興味」さえあればいい、とすら思います。それ自体が、どんな身体的素質にも勝つ大切なエネルギーだからです。進路について、なんとなく周りに向いていると言われるから、という決め方をする前に、それで自分はわくわくできるのか、考えてみて欲しいと思います。私もこれからは、「全然興味がないけれど人よりできること」と「あまり得意とは言えないけれど、とにかく好きなこと」があったとき、後者を大切にして生きていきたいと思っています。

この記事をかいた人

おかか

立教大学現代心理学部 3年。東京都出身。2歳でバイオリンを始め、学校の勉強を完全に放棄し音楽高校、音楽大学へ。一度きりの人生を後悔したくないと思い20歳で中退、一般大学を再受験。現在は東洋哲学ゼミで勉強中。