宮大工に求められる能力
忍耐力
宮大工として一人前になるまでには、長い歳月を必要とします。宮大工の世界では、「弟子入り5年お礼奉公2年」という言葉があります。約7年を一人前になるまでに要すという意味ですが、実際には10年以上かかってようやく一人前になれる宮大工が少なくありません。棟梁や先輩たちから工法を懇切丁寧に教えてもらえるわけではありません。雑務の合間に、彼らの技を見て、真似して自分で練習して身につけていくことになります。また、大工の世界は縦社会が厳しく、大声で責されることもあるでしょう。加えて、常に作業のために体を動かすため十分な体力も必要になります。心身ともに忍耐力を求められるのが宮大工の仕事です。
芸術的センス
伝統的建築物では、屋根や柱、梁(はり)といった部分に曲線や装飾を使います。木材一つひとつの持つ装飾を見抜き、それに合った美しさを引き出すために芸術的センスも必要な素養です。装飾は、自分の感性で好き勝手に造っていいというわけではありません。日本古来から伝わる文化財や建築物に対する深い知識をベースに、建築物に合った装飾を施します。歴史的価値を認識して、伝統文化を重んじるために知識を身につけておくことも必要でしょう。
数字に強い
宮大工になるのであれば、数字への抵抗がないに越したことはありません。木組みでは、原寸図を作成してそれを元に切り出しを行います。どの部材をどのサイズにするかを計算していきます。原寸図を作成のために図学を学びますが、数学的思考力がないと難しいでしょう。また、木材にかかる力の向きや強さをそれぞれ計算するために、物理的な知識も求められます。高等学校レベルの数学や物理の知識を持っておくと有利に働くでしょう。
仕事の受け方や年収
あくまで指標の一つですが、宮大工の月収は月に20万円台になるようです。年収では、高くても400万円未満。コストよりも、建造物の作品性を重視してしまうあまり、歴史ある企業でも倒産の危機を迎えることもあるようです。求人情報は、建築事務所や工務店、建築会社の子会社などがネットに掲載しているようです。学歴はあまり問いません。募集のタイミングと応募者の意欲、経験が大切になってくるでしょう。
おわりに
仕事の厳しさも含めて、宮大工についてご紹介していきました。子供が宮大工を志望している場合には、数学や物理の知識を身につけながら、宮大工か一般の大工の工務店への就職を進めてみてはいかがでしょうか。日本の伝統文化に貢献できる立派な担い手になれるかもしれません。自分の手がけた建築物が、歴史的に価値のあるものになる誇りある仕事ですね。
参考
伝統建築学科|SADO
宮大工の給料|給料BANK
宮大工になるには|Career Garden
宮大工の仕事内容|Career Garden
宮大工に向いている人、適性|Career Garden
女性の宮大工|Career Garden