大学院に進学するデメリット
では大学院に進学することで、デメリットとなり得ることはどのようなことなのでしょうか?
学費がかかる
当然ですが、大学院に進学するということは修士なら最低でも2年は在籍することになり、その分の学費を納める必要があります。
国立の大学院であれば、ほぼ一律の学費となります。学部や学校による差はなく、一般に下記のとおりの学費を納めることとなるようです。
・入学金 282,000円
・授業料 535,800円/年(大学院ごとに多少増減あり)
ところが私立の大学院となれば、当然これ以上に学費がかかってきます。文部科学省で公表している「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の博士前期課程2年間の平均学費は下記のとおりとなっています。
・入学金 210,086円
・授業料 743,629円/年
・施設設備費 72,688円/年
また国立大学でも「法科大学院」など分野によっては通常より学費がかかる大学院もあるため、修士課程、もしくは博士課程まで視野に入れて進学するのであれば、学費がどのくらいかかるのかは、よく確認しておきたいところです。
研究や論文執筆が学部より大変
より高度な専門知識や研究能力を習得することが目的の大学院では、修士課程を修了するには修士論文を、博士課程を修了するには博士論文をそれぞれ執筆し、大学院ごとに定められている審査に合格しなければなりません。
大学を卒業する際にも卒業論文を書く必要がありますが、それと比較するとやはり学術的により高度な内容の論文や発表内容が求められます。そのため安易な気持ちで大学院に進学し、研究に対するやる気や熱意が足りずに過ごしていると、そもそも大学院を修了することが難しくなってしまいます。
社会人になるのが遅くなる
修士課程を修了したのちに企業などに就職したとしても、単純に大卒の人と比べて社会人になるのが2年遅れます。自分が新卒で入社したタイミングでは、大卒の人たちはすでに社会人3年目です。責任ある仕事を任されたり、転職をする同級生もいるかもしれません。
また、仕事を覚えたり慣れたりする時間を考えると、昇進や転職だけでなく、結婚や出産などライフイベントが遅くなる可能性もあります。子供が大学院へ進学することを検討している場合、今後のキャリアにどのように影響してくるのか、進学前に一緒によく検討・相談したほうが良いでしょう。
「修士号」自体に価値はない
大学院修了後、民間企業に就職することを考えている人の多くは博士課程まで進学せず、修士課程が終わる段階で就職活動を行います。実は採用要件に「大学院修了見込み」と謳っていない企業や職種で就職活動を行う場合は、あまり「大学院卒」や「修士号持ち」ということ自体には価値がありません。
学歴に頼るのではなく、「自分が専門として取り組んできた分野や、研究への向き合い方などを働く上でどう生かすか?」というキャリアを考えられる人でなければ、安易に大学院に進学するべきではないかもしれません。
終わりに
大学院へ進学するメリットとデメリットをよく知った上で、子供のキャリアを豊かにするために大学院進学が必要かどうか、検討してみてください。
参考
大学院の現状を示す基本的なデータ|文部科学省
第9回全国院生生活実態調査 概要報告|全国大学生活協同組合連合会
私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について|文部科学省
大学院とは?進学を決断する前に考えたいメリット・デメリット|タウンワーク
将来はどう変わる?大学院進学のメリット・デメリット|Campus Magazine
大学院重点化|Wikipedia