アメリカのコミュニティカレッジとは?その特徴と留学にかかる費用 - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 2

アメリカのコミュニティカレッジの魅力

公立4年制大学へ編入できる

アメリカの大学では、学期ごとにコースが終了し、単位を取得していくシステムを採用しています。進級や学位の取得は、在籍年数に関わらず、取得単位数により決まります。ある大学で取得した単位は、基本的にほかの大学でも単位として認められます。よって、アメリカでは、大学間での編入が比較的多く行われています。

コミュニティカレッジの多くは、同じ州内の公立4年制大学と編入学協定を結んでいます。コミュニティカレッジの進学コースへ進む場合は、あらかじめどの4年制大学と協定を結んでいるかを確認してから出願しましょう。協定があっても編入審査はクリアしなくてはなりませんが、編入審査をとおれば単位移行が比較的スムーズに行われます。

学費が安く、留学費用を節約できる

コミュニティカレッジは、4年制大学と比べると学費が大幅に安いのが最大の魅力です。2018~19年の公立4年制大学の平均授業料は26,290ドル、寮費等を含めた平均年間学費は37,430ドルに対し、公立2年制大学はそれぞれ3,660ドル、12,320ドルとなっています。

留学生が支払う授業料は通常地元の学生の2~3倍なので、実際の年間学費はもっと高くなりますが、それでも4年制大学に通うよりは大幅に費用が節約できます。

最終的に4年制大学で学士号を取得することを目的としている場合でも、最初の2年間の単位をコミュニティカレッジで取り、その後4年制に編入することで、留学全体にかかる費用を低く抑えることができます。

参考
Average Published Charges (Enrollment-Weighted) for Full-Time Undergraduates, 2017-18 and 2018-19 | Trends in
College Pricing 2018, P.9 | CollegeBoard

入学基準が低く、入りやすい

コミュニティカレッジは、なるべく多くの人に教育の機会を提供することを目的としているため、入学基準は緩やかに設定されています。高校の卒業証書は提出する必要がありますが、高校時代の成績は考慮の対象とされません。また、英語力が不足している場合でも、英語研修プログラムの受講を条件に、入学が認められる場合があります。

したがって、現在の学力ではアメリカの4年制大学への進学が難しい場合でも、まずコミュニティカレッジに入学し、必要単位を取得して優秀な成績を修めれば、4年制大学へ編入する道が開けます。

アメリカで就業体験できる

学生ビザ(F-1ビザ)で1学年(9ヶ月)以上就学すると、自分の専攻と直接関連した分野で、12ヶ月インターンとして就業できるOptional Practical Training(OPT制度)を利用することができます。この制度を利用するには、学位(準学士号、学士号、修士号)を取得できるプログラムを受講していることが条件となります。

OPT制度を利用しなくても、留学生は学期中なら週20時間まで、休暇中ならフルタイムでキャンパス内でアルバイトすることが認められています。

参考
OPT(Optional Practical Training)について|留学サイトドットコム

アメリカのコミュニティカレッジの落とし穴

ドロップアウト率は4割

アメリカ教育統計局によると、2011年度に2年制大学に入学した生徒のうち、2014年春の時点で学位未取得で学校に在籍もしていない生徒、つまりドロップアウトした生徒は43.1%に上ります。4年制大学の19.8%と比べると、倍以上のドロップアウト率です。

参考
Number and percentage distribution of first-time postsecondary students starting at 2- and 4-year institutions during the 2011-12 academic year, by attainment and enrollment status and selected characteristics: Spring 2014 | National Center for Education Statistics

コミュニティカレッジはオープンアドミッション制で学費も安いため、さまざまな生徒がいます。費用節約のため「2+2」プログラムを活用する人、高校時代の成績が振るわず4年制大学へ行けない人、働きながら、または子育てしながら勉強する人、リタイアして学びなおす人など。年齢も人種も社会的立場も異なる多様な生徒の構成は、コミュニティカレッジの醍醐味でもあります。しかし、同時に生徒のモチベーションも一様ではありません。その中で、周りに流されず自分の目標を貫徹する強い意志が必要となります。

留学生の場合、ドロップアウトするとビザが更新されないので、アメリカにいることさえできなくなります。

公立4年制大学への編入は容易ではない

少し古いデータですが、National Student Clearinghouseによると、2008年度に公立2年制大学へ入学した生徒のうち、6年以内に4年制大学へ編入した生徒の割合は24.4%に過ぎません。

参考
The Role of Community Colleges in Postsecondary Success, P.2 | National Student Clearinghouse

つまり、4年制大学への編入を目指す場合、クラスでトップ2割の成績を保つ努力が必要です。ただでさえ英語のハンデがある日本人が、アメリカ人学生と同等に戦い、トップ2割の成績を保つのは並大抵の努力では敵いません。

すべての単位が4年制大学で認められるわけではない

2年制大学で取得した単位がすべて4年制大学で認められるわけではないので、注意が必要です。4年制大学へ移行できるのは進学コースの教養課程の単位です。職業訓練コースの単位は、移行できません。

編入を希望する場合は、なるべく効率よく単位が取れるよう、早めに各学校のアカデミックアドバイザーに相談しましょう。

寮がない学校がほとんど

コミュニティカレッジは、本来地元の住民を対象としているため、学生寮がない学校がほとんどです。留学生を含む州外の学生は、アパートやホームステイ先を探し、通学する必要があります。せっかく学費を低くおさえても、アパート代や車の購入・維持費などの費用がかさんでは意味がありません。大学によっては、留学生のホームステイ先や賃貸物件を探すのを手伝ってくれるところもあります。また、少数ですが学生寮を完備している大学もあるので、まずは問い合わせてみましょう。