【2018年版】日本人のノーベル賞受賞者一覧!今後も受賞できる? - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

研究費の削減と研究力の低下

科学技術予算の停滞と一般運営費交付金の削減

日本人のノーベル賞受賞者が多い「自然科学」分野ですが、研究費が削減されていることから、研究力の低下が問題視されています。ノーベル賞は、20~30年の研究成果が評価されて受賞に結びつくため、将来的には受賞が難しくなると考えられています。

研究費の削減については、科学技術予算の停滞と一般運営費交付金の削減が挙げられます。
文部科学省が発行した「科学技術指標2018」によれば、日本の科学技術予算は、2000年以降ほぼ横ばいで推移していました。中国も、2000年までは日本と並んでいましたが、その後猛烈な勢いで科学技術予算を増やし、2012 年からは世界トップ規模だった米国をも追い抜いています。中国では研究者の数も、論文数も大幅に増えています。

ノーベル賞の受賞には、論文数と世界での論文のシェア率が重要であり、世界での論文数が増え続けている中で、日本の論文数は世界での順位を落としている状況にあります。

一方、国立大学法人一般運営費交付金は、2004年度の国立大学の法人化から毎年減額が行われてきました。その結果、多くの若手教員のポストは任期なしから任期付きに変わり、教員の研究費も大幅にカットされています。国立大教員は、近年教育研究以外の仕事も増え、落ち着いてじっくり研究に取り組むことが出来なくなっていると言えます。

大学と企業の連携が大切

ノーベル賞の受賞を目指すには、研究力と高等教育力を高めることが重要です。
そのための方法の1つに、大学と企業の連携があります。
東京大学IOTメディアラボラトリーディレクターである西和彦氏は、研究開発を活性化させる方法として、企業と大学との行き来を増やすことが大切だと指摘しています。

働きながら大学院にいくことができるという制度を活用するのがいいのではないだろうか。企業の研究開発を企業の人が大学院でする。成果は企業のものにして、個人には修士号、博士号を与えるというものである。これまで大学は主に研究、企業は開発、商品化といわれてきたが、その垣根を取り去るのがいいのではないか。

(引用元:日本の未来のためにいかにして研究開発を活性化するか|情報処理学会学会誌「情報処理」

また、総合研究大学院大学名誉教授の岡田泰伸氏も大学と企業の連携の重要性について指摘しています。研究段階から企業が参加することは、すぐには製品につながらなくても将来的な利益につながるでしょう。

産業界・企業も、将来の産業の振興や企業の生き残りには、学術研究と高等教育の振興が不可欠であり、そのために自らも身を切る支援をして、大学と任務分担しつつも堅く連携する必要がある。すぐに製品化につながる成果ばかりを大学との共同研究に求めるのではなく、そのような成果を生み出していく“畑”作業にも加わり、むしろその中から新芽を見つける役割を果たすことが求められる。

(引用元:ノーベル賞フィーバーの裏で転げ落ちる研究力|「学術の動向」2017.5

日本のノーベル賞受賞者の出身大学は国立大学

日本のノーベル賞受賞者の出身大学が、すべて国立大学であるということは特徴的です。
複数受賞者を輩出しているのは、東京大学・京都大学・名古屋大学ですが、近年は地方の国立大出身者も受賞しています。
特に、自然科学系の分野に関しては、研究設備などの面で国立大の環境が整っているかもしれません。企業との共同研究を積極的に取り組んでいる大学も、今後目覚ましい研究成果につながる可能性があります。
子供が将来、ノーベル賞を受賞できるような研究や活動をしていきたいと夢に描くこともあるでしょう。研究環境はもちろんですが、企業との共同研究に取り組んでおり、1人1人の個性を伸ばしてくれる大学を選ぶことが功績を残す道なのかもしれません。

参考
科学技術指標|文部科学省
日本人のノーベル賞受賞者一覧|京都大学
日本の未来のためにいかにして研究開発を活性化するか|情報処理学会学会誌「情報処理」
ノーベル賞フィーバーの裏で転げ落ちる研究力|「学術の動向」2017.5
日本のノーベル賞受賞者は10年後には激減する! データが示す「暗い未来」|現代ビジネス
日本人はもうノーベル賞を獲れない?深刻な科学技術立国の危機|ダイヤモンドオンライン
日本のノーベル賞受賞者 写真特集|時事ドットコムニュース
ノーベル賞の種類一覧|ノーベル賞と日本人
10年後には日本人のノーベル賞受賞は激減!?「日本の研究力」復活を目指して|ザ・リバティWeb
ノーベル賞受賞者が多い日本の大学ってどこ?|Benesse TOEFL®Test対策基礎知識
財政的危機状態にある大学と今後の課題|化学と工業2017年2月号

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cocoiro編集部

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