ノーベル生理学・医学賞とは?選考方法・日本人や歴代の受賞者は? - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

歴代のノーベル生理学・医学賞にはどんな研究が?

日本人の受賞者だけ見ても、非常に画期的な発見が多いノーベル生理学・医学賞。歴代の受賞を遡ってみると、私たち現代人が日常的に恩恵を受けている研究がたくさんあることが分かります。

1900〜1940年代

最初のノーベル生理学・医学賞受賞者は1901年のエミール・アドルフ・フォン・ベーリング(ドイツ)でした。ジフテリアなどの血清の研究が認められました。翌年にはマラリアの研究をしていたロナルド・ロス(イギリス)が、1905年には結核の研究者ロベルト・コッホ(ドイツ)が受賞しています。様々な感染症を引き起こす病原菌が次々と発見されていった時代と言えるでしょう。

第一次世界大戦の影響で受賞者が少ない1910年代ですが、核酸の研究者アルブレヒト・コッセル(ドイツ)や「アレルギーの父」とも呼ばれるシャルル・ロベール・リシェ(フランス)が受賞しています。

1920年代は、インスリンを発見したフレデリック・バンティング(カナダ)・ジョン・ジェームズ・リチャード・マクラウド(イギリス)などが受賞しています。

1930年代では、人間の血液型を発見したカール・ラントシュタイナー(ドイツ)や、神経系の機能に関する研究を進めたチャールズ・シェリントンとエドガー・エイドリアン(ともにイギリス)が受賞しています。

1940年代には、世界初の抗生物質であるペニシリン発見に関わったアレクサンダー・フレミング(イギリス)、エルンスト・ボリス・チェーン(ドイツ出身・イギリス)、ハワード・フローリー(オーストラリア)が受賞しています。

1950〜2010年代

現代に近くなると研究内容が細分化し、一般人にとっては馴染みの薄いものも出てきます。有名なものをいくつかご紹介しましょう。

1950年代には、結核に効き目のある初の抗生物質「ストレプトマイシン」を発見したセルマン・ワクスマン(ウクライナ出身・アメリカ)などが受賞しています。1960年代には、がんウイルスとも呼ばれる腫瘍ウイルスを発見したペイトン・ラウス(アメリカ)、1970年代にはコンピュータ断層撮影(CT)を開発したゴッドフリー・ハウンズフィールド(イギリス)とアラン・コーマック(南アフリカ共和国出身・アメリカ)などが受賞しています。

1990年代には狂牛病(BSE)やクロイツフェルト=ヤコブ病の原因となるプリオンを発見したスタンリー・B・プルシナー(アメリカ)などが受賞しています。2000年代以降では、胃潰瘍や胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリを発見したバリー・マーシャル、ロビン・ウォレン(ともにオーストリア)などが受賞しています。

まとめ

ノーベル生理学・医学賞は、大きくもてはやされるような画期的な治療法や、有名な研究だけでなく、一般には馴染みの少ない基礎研究にも贈られている賞です。ノーベル生理学・医学賞の歩みを見ることによって、地道な研究によって医学が大きく発展してきたのがお分かりになったのではないでしょうか。地道な研究を、これからも長い目で応援していきましょう。

All Nobel Prizes in Physiology or Medicine|The Nobel Prize
ノーベル生理学・医学賞 | Wikipedia
【詳報】2018年ノーベル生理学・医学賞発表! 免疫を抑える仕組みの発見およびその仕組みを応用したがん治療法の開発 | 日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ
2018年ノーベル生理学・医学賞:がんを攻撃をする免疫のブレーキを外す新たな治療法を発見した本庶佑氏らに | 日経サイエンス
医療の挑戦者たち(19)北里が発見し、利根川が解明した「抗体」一○○年の謎。(北里柴三郎) | TERUMO
祝!ノーベル生理学・医学賞受賞!~「山中伸弥教授&iPS細胞」特集~ | 首相官邸ホームページ
ノーベル賞受賞 ゼロから学ぶ、大村智教授が開発した「薬」のすごさ(佐藤 健太郎) | 現代新書 | 講談社(1/6)
オートファジー(自食作用)とは? 大隅良典さんがノーベル賞に輝いた、生命を維持する重要な働き | ハフポスト

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。