奨学金は返済しなければならない?
「平成27年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」では、「奨学金申請を決めた時期」についての問いに関して、「高校3年生の時点」と回答した人が40%以上と最多となっています。
奨学金の返済が必要なことを知った時期に関して、延滞していない人のうち88.6%の人が「申込手続きを行う前」と回答しています。逆に言うと、手続きを行うまで奨学金は必ず返済しなければならないことを知らずに申請手続きを行っている学生もいるのです。「延滞督促を受けてから知った」と回答している人もいるほど。
独立行政法人日本学生支援機構の奨学金には「もらえる奨学金(給付型)」と「借りる奨学金(貸与型)」の2種類が存在します。前者は文字どおり、返す必要のない奨学金です。学習意欲があるにも関わらず、修学が困難とされる成績優秀な学生のみが受けられる奨学金制度です。後者の「借りる奨学金(貸与型)」には、無利息の「第一種奨学金」と利息型の「第二種奨学金」の2パターンがあります。
無利息の「第一種奨学金」は、成績優秀な優れた学生に対して、母子家庭、実家の会社が倒産したといった家庭の経済的な理由によって修学が困難な人の学費をサポートするというもの。
「第一種奨学金」へ申請する場合は、学校の種別(大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校)、通学形態によって借りられる上限が決められています 高校での成績が5段階評価で3.5以上というように、厳しい申請基準をクリアする必要があります。なお、住民税非課税世帯など家庭が困窮している学生のみ成績基準が免除され、実質なしとされています。
利息型の「第二種奨学金」は、国内の大学院、大学、短期大学、高等専門学校(4・5年生)、専修学校(専門課程)の学生を対象とした奨学金制度。在学中は利息はつきませんが、借りた奨学金の額に対して、1年あたり3%を上限とする利息が加算されます。「第一種奨学金」のように成績基準がない分、家庭の収入面が奨学金制度を受けられるかどうかの重要な判断材料となります。
ただし、1度でも大学へ入学したことがある人、高等専門学校第4学年に進級した経験のある人は申し込むことができません。詳しい内容については、独立行政法人日本学生支援機構の申込資格で紹介されている下記を参考にしてみてください。
1.在学状況等の要件
(1)大学・短期大学・専修学校の専門課程に進学を予定している高等学校等の最高学年(高等専門学校の第3学年)、または高等学校等を卒業後(高等専門学校の第3学年を修了後)2年以内の人
(2)高等専門学校第4学年に進級を予定している高等専門学校第3学年または、第3学年修了後2年以内の人
(3)高等学校卒業程度認定試験の合格者(合格後2年以内の人)、または出願者
※高等専門学校の第4学年に編入学する人は、支給対象外となります。
2.家計等の要件
ア.住民税非課税世帯(家計支持者の市区町村民税所得割額が0円の人)
イ.生活保護世帯の人
ウ.社会的養護を必要とする人(※)
※18歳時点で児童養護施設、児童自立支援施設、情緒障害児短期治療施設(平成29年4月~「児童心理治療施設」に改称)、自立援助ホームに入所していた人、又は、18歳時点で里親、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)委託者のもとで養育されていた人
(引用元:申込資格|独立行政法人日本学生支援機構)
奨学金は借金と同じ?
奨学金=借金です。しかし、奨学金は借金という意識が認識が低く、卒業しても返済しないというケースも発生しています。もしくは、生活苦が続いて返せないという人も多くいるいます。
返すべき奨学金を返せない理由について、独立行政法人日本学生支援機構の行った「平成27年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」を見てみると、下記のような回答がありました。
(参照元:平成27年度奨学金の返還者に関する属性調査結果|独立行政法人日本学生支援機構)
この結果からも分かるとおり、家計の収入が不安定な状態が続いていることから、なかなか返済できずにいるようです。たしかに、家計の経済状況は一朝一夕で変わるものではありません。学業の合間のアルバイトで稼いだお金を生活費の足しにする、生活を切り詰めるといった苦しい状況の中でなんとかやりくりしていることが分かります。
延滞するとどうなる?
返済義務のある奨学金の支払いが遅れてしまった、あるいは支払いを無視し続けるとどうなってしまうのでしょうか?
督促をうける
奨学金の返済を滞納すると、督促を受けるようになります。督促を受けるまでの具体的な流れは以下。
- 奨学金を借りた機関からの電話による督促
- 保証機関への請求
- 保証機関から本人への請求
- 法的措置(差し押さえなど)
個人信用機関情報のブラックリストに登録される
独立行政法人日本学生支援機構の個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録には以下のように記されています。
個人信用情報機関に延滞者として登録されると、その情報を参照した金融機関等がその人を「経済的信用が低い」と判断することがあります。それによって、クレジットカードが発行されなかったり、利用が止められたりすることがあります。
そのため、各種料金(公共料金や携帯電話等)の引落し、ショッピング(インターネット含む)やキャッシング等ができなくなる場合があります。 また、自動車ローン及び住宅ローン等の各種ローンが組めなくなる場合があります。 一度登録された情報は、延滞中はもちろんのこと、延滞を解消しても一般のクレジットカードと同様に約束どおり返済している人の情報として登録され続け、返還完了の5年後に削除されます。
(引用元:個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録|独立行政法人日本学生支援機構)
延滞金が発生する
奨学金の返済期間を過ぎているのにも関わらず、それを放置していると年3%の利息を支払わなければなりません。