奨学金制度で自己破産?子供を返済地獄から守るための基礎知識 - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

奨学金破産・自己破産した後に待ち受けること

奨学金の返済ができなくなった場合、最終的な手段としては自己破産が考えられます。免責が認められた場合、債務が免除されるというメリットはありますが、デメリットも多いので、安易に考えるべきではありません。今回は、奨学金を返済できなかった場合にどのようなことが待ち受けているのか、主な5つをご紹介致します。

職業の制限がかかる

自己破産を申請してから免責手続きが終わるまでの間は、ある一定の職業には就けなくなります。

  • 弁護士や会計士などの士業
  • 保険外交員
  • 警備員
  • 旅行業者

また金融関係なども就職することはできません。非常に稀ではありますが、身辺調査を行う企業の場合などは、その時点で自己破産の事実がわかってしまい、就職ができなくなるというケースもあることを覚えておきましょう。

連帯保証人に支払い義務が生じる

債務者本人が自己破産の手続きを行うと、その返済義務は連帯保証人に移ることになります。機関保証の場合は別ですが、連帯保証人には、奨学金を借りた人と同じ責任が生じるのです。保護者や親族も、連帯保証人になったからには、債務者本人が返せない状況になった場合、支払いを拒否することはできません。万が一、連帯保証人にも支払い能力がない場合は、連帯保証人も債務整理を行わなくてはいけないことになります。連帯保証人の支払い義務は、一括返済であることがほとんどです。保護者が連帯保証人になっている場合、一括返済ができなければ、生活の基盤を揺るがすことになってしまいます。最悪のケースでは、自己破産の連鎖ということも考えられるのです。

ブラックリストに載る

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。事故情報というのは、いわゆるブラックリストのことです。そのため、5~10年はローンを組んだり、キャッシングをしたり、クレジットカードを作ることができなくなります。奨学金は長期間返済する必要があります。卒業後、ライフステージの変化の中で生じる、車や住宅の購入の際に、大きな支障となる可能性があります。また、携帯電話の機種代の割賦などもできなくなるので、日常生活に弊害が生まれてしまいます。

財産を没収される

自己破産の手続きをする場合は、20万円以上の不動産や車など、財産価値のあるものは売却しなくてはいけません。また仮に口座に99万円以上の現金がある場合は、没収をされてしまいます。住宅を購入しているケースでは、売却することになるので、引越しを余儀なくされます。所有している車も20万円以上の価値があると見なされれば、没収されてしまいますし、ローン中であれば当然所有者が引き上げを行います。また相続などで、土地を所有している場合は、売却をしなくてはいけません。生活の基盤が大きく崩れることになるので、自分名義の財産がある場合は注意が必要です。

周囲にばれる可能性がある

自己破産の手続きをした場合、「官報」という国が刊行する機関誌に、住所と名前が掲載されます。ただし、この官報は一般の人が目にする可能性はほとんどないので、自己破産をしたことが周囲に知れ渡ってしまうことはありません。ただし、職場に借金がある場合は別です。職場から借金をしている場合には、職場も「破産債権者」となるため、自己破産の手続きを行った時点で職場に裁判所からの通知が届きます。個人情報保護の観点から、社内で公になることは少ないですが、ごく一部の担当者には、自己破産をしたことがわかってしまいます。自己破産が原因で解雇されるということは考えにくいですが、働きづらくなることは十分あり得ます。また、官報は闇金業者などが利用するケースもあります。自己破産の手続きをしたがために、見覚えのない闇金業者から借金の勧誘が起きてしまうという可能性があります。

【まとめ】奨学金破産をさせないために

【まとめ】奨学金破産をさせないために
進学に伴い、奨学金を利用することは決して悪いことではありません。ただし、奨学金は借金であること、返済ができなくなる可能性があること、返済が滞った場合は法的措置がとられることを覚えておきましょう。自己破産以外にも奨学金の減額返済制度や返還期限猶予制度、返還免除制度を利用できるケースや、任意整理や個人再生といった別の債務整理の方法があります。大学進学を見越して、学資保険などで事前に準備できるものは準備をする努力をし、実際に奨学金を利用する際は、債務者となる子供とよく話し合いましょう。子供に「自分が返さなくてはいけない借金である」という意識をきちんと持たせなくてはいけません。奨学金といっても、返済義務のあるものだけではありません。返済が不要な給付型奨学金の利用や、働くことで返済不要の奨学金が受けられる新聞奨学生などの制度もあります。情報収集をしっかりと行い、各家庭の状況に応じて、どんな奨学金制度が適しているのかを見極めてください。親と子供、双方が努力することで、最悪の事態を免れることができるはずです。

参考
学びたい気持ちを応援しますJASSOの奨学金|日本学生支援機構
平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果|日本学生支援機構
新規学卒者の離職状況|厚生労働省
家計負担の現状と教育投資の水準|文部科学省
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる|朝日新聞DIGITAL
奨学金を破産した時に生じるリスク・返済できない時に使える手助け制度|債務整理ナビ
奨学金破産のリスクとは|返済できない時に使える制度を解説|債務整理ナビ
「奨学金地獄」に困窮する若者たち 返済額を意識していない学生も|しらべぇ

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Rie Kato

【職業】 フリーライター 【経歴】 東京生まれ横浜育ち。現在は群馬県在住。 トラック運転手・介護職員・保険外交員を経て、コールセンターの教育係として7年勤務。 専門学校生と小学生、2人の男の子のママ。 【取得した資格】 ・普通自動車第一種運転免許 ・中学校教諭二種免許状(国語) ・訪問介護員1級 【得意な分野】 ・生命保険 ・転職 ・ビジネスマナー ・ひとり親家庭 ・金融 【休日の過ごし方】 ・朝から掃除と洗濯!(家の中がスッキリするとテンションが上がる性質) ・バスケットボール(息子と勝負!)