奨学金破産・返済できなくなる理由
奨学金の返済は、学校在学中は利息のみの非常に微々たる金額で、本格的な返済は卒業後から始まります。就職すれば返済は可能だと考えていても、さまざまな理由から延滞をしてしまうことがあります。ここでは主に延滞を続けてしまう理由をピックアップしてみます。
延滞が始まった理由(きっかけ)
(参照元:平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果|日本学生支援機構)
奨学金=借金という意識がない
奨学金は大きく分けて
- 返済不要の給付型
- 返済が必要になる貸与型
の2種類があります。給付型の場合は返済義務はないため、問題はありませんが、貸与型の場合は「月々いくらで何年間」という通常の借金と同じ返済義務が生じるのです。多くの学生は、高校在学中に奨学金制度の申し込みを行います。そのため、奨学金=借金であるという意識が薄いことが考えられます。また自分自身が債務者であるという自覚がなく、保護者名義で借りている借金と勘違いをしているケースもあるのです。下記の表からもわかるように、延滞をしてしまう人は、無延滞者に比べて申し込み時に返済義務をわかっていないという結果が出ています。
返還義務を知った時期(択一)
(参照元:平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果|日本学生支援機構
非正規雇用の増加
大学を卒業したからといって、高給な大企業に就職できるという保証はありません。就職難が問題視されている昨今、正社員になれず、非正規雇用でなんとか食いつないでいるという人も少なくないのです。また正社員で就職ができても、仕事が合わずに退職に追い込まれたり、ブラック企業に就職してしまい、心身を病んで就業することすら難しくなってしまうというケースも見られ、雇用の不安定化が、奨学金返済ができなくなる大きな理由の1つとなっているようです。
ライフステージの変化
大学卒業後、奨学金の返済が完了するのは、おおよそ40歳。22歳から40歳までの間には、結婚や転職など、ライフステージの大きな変化が考えられます。17年もの間、毎月決まった額を返済できるだけの収入や余裕がある保証はありません。昇給やボーナスのない企業などの場合は、長期間の返済は非常に重荷となります。また奨学金以外にも、住宅や車のローンなど、他の借金と併行して返済をしなければいけない状況になることも考えられます。塵も積もれば山となる……返せるはずの奨学金が大きな負担となることも十分にあり得ます。
保護者世代の収入の低下
進学にあたり奨学金を利用する理由は、保護者が進学費用を捻出できないことにあります。そのため、仮に子供が奨学金を返せなくなくなっても、将来的に保護者が返済をすることは難しいのが現実でしょう。文部科学省の調査では、子供が大学に進学する際に、各家庭の平均貯蓄率が著しく低下することがわかっています。保護者の収入や貯蓄額が低下し、進学費用を賄いきれない、子供の肩代わりをできないという状況が、理由の1つと考えられます。
子どもの成長段階と家計の貯蓄率
(参照元:家計負担の現状と教育投資の水準|文部科学省)