クラッシャーのタイプ別対処法
オールウェイズ代表取締役の廣瀬泰幸さんによると、企業がグループワークを行う目的は「思考力」と「対人力」を見ることの2つであるとしています。ここからは、思考力と対人力を念頭に置きながらクラッシャーへの対処法をご紹介します。
グループでの合意できる基準をつくる
自己主張が強いタイプは「自分」が基準になっているからこそ自己主張が強くなります。そこで、「自分」対「他人」という二項対立を「グループ全体での合意基準」を作ることで解消します。土俵を変えてしまうことで、自己主張が強いタイプをクラッシャーにすることなく議論を進めることができます。
具体的には、「個人の意見で議論が進まないために、グループ内の7割が合意しない意見は主題に持ってこない」というような基準を先に打ち出します。そうすることで、一人の意見で議論がひっくり返る可能性はなくなりますし、議論が大きく展開する際には、7割以上のグループメンバーが合意していることになります。基準をつくるときのポイントは、グループを構成するメンバーが納得しているかどうかです。
解決策を聞く
他人の意見を否定するタイプの問題点は、生産性がないことです。逆に、生産性があれば、それは「否定」ではなく「意見」になります。このタイプのクラッシャーには、否定する発言があった後に、解決策や代替え策を聞くようにしましょう。
具体的には、「なるほど。それでは〇〇さんは、どうしたらいいと思いますか? 」や「たしかに。では、具体的な案はありますか? 」と切り返します。ポイントは、一度否定する発言を受け止めることです。そうすることで、相手は素直な気持ちになります。正面切って解決策や代替え策を聞いてしまうと、相手も否定されているような気持ちになり攻撃的になる恐れがあります。
解決策や代替え策があるようなら、聞いてみる価値はありますし、ないのであれば否定の発言を流しても納得感を与えることができます。
議論の主導権を握る
仕切りたがるが仕切れないタイプには、表面上は発言させておき、議論の主導権はコントロールするようにします。
具体的には、「結果的にはどういう形にまとめたらいいんだっけ? 」「いまの議論は何について? 」というような、助け舟を出す方法がおすすめです。仕切っている人は、自分が決断している気でいれますし、グループの議論も正しい方向に進んでいきます。
間違っても表立って主導権の取り合いをするのはやめましょう。進行役を買って出るというのは、それなりに自己主張が強いタイプです。そのため、主導権の取り合いをしてもすんなり身を引く可能性は低いでしょう。
答えやすい質問を振る
話しをしないタイプには、「Yes」か「No」で答えられるような質問を振るようにします。話しをしない人の中には、じっくりと頭では考えていても、議論に積極的に参加するのが苦手な人もいます。しかし、答えやすい質問を振ることで、少しずつ打ち解けて意見を引き出せる可能性があります。
「Yes」か「No」で答えられるクローズドな質問にすんなり答えるようであれば、「〇〇さんは、いまの意見についてどう考える? 」というようなオープンな質問をしていきましょう。
答えやすい質問にもなかなか答えないようであれば、「またあとで意見を聞かせてもらいます! 」と明るいトーンで他の人に話しを振ったり、議論を進行したりしましょう。長い時間待つのは、相手にとってプレッシャーになる可能性もあるので、5秒待って反応がなければ切り替えることをおすすめします。
周りに意見を求める
そもそも論を多用するタイプには、周りのメンバーの意見を聞くようにします。企業はグループディスカッションで、素晴らしいアイディアや解決策が出てくることを期待しているわけではありません。グループディスカッションの時間内にある程度のアウトプットができることは大切ですが、それよりも議論の中でどのようなプロセスを踏んでいるかが大切です。
会社で働きだしたときに、素晴らしいアイデアや企画を持っていても、自分ひとりですべてやることはできません。周りの人に納得してもらう必要がありますし、周りの人が動く必要があります。そう考えると、議論の終盤で「そもそも」発言があったとしても、グループのメンバーが議論する余地があると言えるものであれば議論すればよいのです。
「時間がないから」という理由で、切り捨ててしまうよりも、グループを構成しているメンバーの意見に耳を傾けて、協働する姿勢を見せるのがおすすめです。
まとめ
グループディスカッションで、クラッシャーに出会う可能性は十分あります。これは、会社で働くようになってからも同じで、議論する上で人と意見が対立したり、なかなか議論がかみ合わなかったりすることはよくあります。クラッシャーに出会ったから、不運だったのではなくクラッシャーと付き合う経験を積むことができるラッキーだったと捉えてみてはいかがでしょうか? 就職活動は短い期間で行われますが、仕事は長い期間で継続的に行われるものです。これから先のことを考えると、就職活動中出会うクラッシャーは対したことはないのかもしれません。
参考
【グループワークが苦手な人必見!】人事が見ているポイントと乗り切り方を解説|就職ジャーナル
グループディスカッション(GD)のポイント「クラッシャー」とは|mitsuacri
「私がリーダーをやります!?」GDの現場にいる”クラッシャー”の傾向とその対策|unistyle
怖すぎ! 就活生が遭遇した「GDクラッシャー」エピソード4選|マイナビ学生の窓口