【勉強を始める前に】簿記2級独学合格への準備
ご自身の根気と集中力が持続できる短期間で合格を目指すのがおすすめです。簿記2級合格を目指して効率的かつ効果的な勉強をするために必要な、2つの準備を順番に見ていきましょう。
学習スケジュールを立てる
学習スケジュールは、目標とする試験日から逆算して立てます。簿記2級の試験は毎年年3回(2月・6月・11月の日曜日)に実施されますので、ご自身が受験しやすい時期を選択しましょう。
そして、自分がどのくらい集中した勉強時間が取れるかを考えて、勉強する期間を決めます。簿記3級保持者が独学で簿記2級を合格するのに必要な勉強時間を300時間と仮定した場合の、日々の勉強時間を算定してみましょう。
試験までの期間
(注1) |
1日の勉強時間
(注2) |
1週間の勉強時間
(注3) |
1ヶ月 | 10時間 | 70時間 |
2ヶ月 | 5時間 | 35時間 |
3ヶ月 | 3.3時間 | 23.1時間 |
4ヶ月 | 2.5時間 | 17.5時間 |
5ヶ月 | 2時間 | 14時間 |
6ヶ月 | 1.7時間 | 11.9時間 |
(注1)1ヶ月30日として計算。
(注2)試験までの日数で割り、小数第2位を四捨五入して表示。
(注3)1日の勉強時間を7倍して計算。
「毎日〇時間」と決めるのが難しい方は、1週間をスパンに算定するのがおすすめです。そして、休日に集中して勉強する時間を確保するなどの工夫をしましょう。
テキストと問題集を買う~過去問題集は受験直前期に購入
テキストや問題集を購入する時にチェックするポイントや注意点をまとめたのが次の表です。
チェックポイント | 期待できる効果や注意点 |
イラスト | 絵や写真が使われていると、文章で覚えるよりも記憶しやすい。ただし、人によっては好みの分かれる絵柄もあるため注意。 |
カラー | 視覚的に飽きにくく、記憶もしやすいため多色刷りがおすすめ。ただし、配色は好みが分かれるため注意。 |
サイズ |
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事業イメージの
分かりやすさ |
商取引を図解している方が、お金の動きが分かりやすい。また会計の専門用語にフリガナがふってあり、解説がついているテキストがおすすめ。 |
解法解説 | 簿記は会計処理の記帳技術を学ぶことが課題。そのため、効率的な解き方と、ていねいな解説があると、試験や実務で役立つ。 |
問題のレベル | 基本例題だけではなく、本番の試験レベルの問題で練習するのがおすすめ。 |
問題集 | テキストとは別売りの問題集。練習した問題数が多いほど、試験への合格率は高まる。平成28年6月以降の過去問を多く収録しており、試験に頻出する問題に印がついている問題集がおすすめ。 |
関連書籍等 |
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過去問題集 |
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デジタル書籍 | 持ち運びに便利。紙版のテキストと同じものを、デジタル版で購入すると移動中の隙間時間の学習がはかどる。しかし、メモ書きはできず、お金も2倍かかるのが問題。 |
無料動画解説 | プロの解法手順を見ることができるので、簿記2級の問題を解くのに時間がかかる方にはおすすめ。テキストと関連する動画の方が、テキストの解法と同じ手順で講義がなされるので分かりやすい。 |
テキストと問題集は、実際に自分に合っているかどうかを書店に見に行って確かめましょう。例えば、次のようなテキストが人気です。
【いざ勉強開始】簿記2級に独学で合格する!6つの必勝法
学習スケジュールを立て、テキストと問題集をお手元に準備したら、勉強の開始です。短期集中で効率的かつ効果的な独学を行い、簿記2級に合格するための6つの方法をご紹介します。
まず「工業簿記」、次に「商業簿記」の順番で勉強する
簿記3級は個人商店の会計処理を学びますが。簿記2級は学習範囲が急に広く深くなります。
商業簿記・会計学 | 工業簿記・原価計算 | |
内容 | 株式会社等の企業会計 | 製造業や工場の会計 |
配点
(合格は70点以上) |
60点 | 40点 |
本試験レベル | 難問 | 易問 |
簿記3級保持者は商業簿記を学んでいるため会計処理になじみがあり、試験の配点が6割であるため、商業簿記から勉強を始める方が多いでしょう。
しかし、簿記2級で出題される企業会計は個人商店よりも数理的処理が複雑である上に、連結会計や本支店会計などの2つの財務諸表を連結する問題が出されるため、簿記3級の試験より難化しており得点しにくいのが現状です。
対して、工業簿記は問題が簡単で、解法パターンを覚えれば得点しやすい分野です。そのため、工業簿記を得点源にすることが簿記2級合格の近道と言えます。
したがって、簿記2級の勉強は「工業簿記」から始めましょう。工業簿記は解き方が解法が特殊なので、動画解説を見て学ぶのがおすすめです。繰り返し解くうちにパターンが身につきますので、下書きを実際に書いて勉強しましょう。
商業簿記は、難しい会計専門用語がためらいなく読めるようになることが肝要です。知識を蓄えてから、問題を解く練習をしましょう。
1つの教材に絞って何度も繰り返し解く
簿記2級に限らず、さまざまな受験勉強に共通することですが、複数の教材に手を出さないようにしましょう。学ぶ範囲はどのテキストであっても同じです。
「これ」と最初に決めた1冊を、暗唱できるほど繰り返し学習する方が、達成感を得られるため自信を持って試験に臨むことができます。
頻出する問題で点数を取る
簿記2級は合格基準が70点以上と定められた絶対評価の試験なので、問題の難易度はある程度考慮して作問されています。また、出題範囲も決まっているため、過去の試験で頻出する問題傾向を読むこともできます。
そのため簿記2級に合格するためには、超難問を解ける必要はないのです。よって、直前予想問題集などの難問が掲載されている問題集で満点を目指す勉強をしなくても構いません。
ただし、財務諸表の数値は複雑に絡み合っており、一つの数値を間違えると差額や合計で求める数値は必ず間違えてしまうため、大量減点があり得ます。そのため苦手な会計取引を、あいまいにしたままにしないことが大切です。
隙間時間を上手に使って勉強時間を稼ぐ
机に向かって集中して勉強する時間を取れない忙しい方は、移動時間やちょっとした待ち時間に勉強する習慣をつけましょう。
簿記2級は難しい会計専門用語が当然のように使われます。そのため、専門用語に触れても抵抗がないようにする必要があります。このような知識を蓄える勉強は視覚的のみでも行うことができます。
また、無料動画などをスマートフォンで見ることができる場合は、予習復習にも役立てることができるでしょう。
勉強時間が取れた分だけ、合格へと近づきますので、できるだけ簿記に触れる時間を増やす努力をしてみましょう。
試験の時間配分を意識しながら勉強する習慣をつける
試験直前の1ヶ月は、過去問題集を繰り返し解く勉強をしましょう。この時、本試験と同様に時間を図って取り組むように行います。
本試験では会場にて計算用紙(A4サイズ1枚)が配布されますので、下書きの練習も併せて行いましょう。
電卓の早打ち・ブラインドタッチの練習は必須
簿記2級の問題は数理的処理が多いので、効率的に問題を解くためにも電卓の早打ちは必ずできるようにしておきましょう。
電卓を早打ちするポイントは「利き手と反対の手で、ブラインドタッチ」をすることです。つまり、右利きの方は「電卓は左打ち、右手で書く作業」、左利きの方は「電卓は右打ち、左手で書く作業」をするということです。
普段の勉強から電卓は利き手と反対側に置くくせをつけ、使い慣れておくようにしましょう。
まとめ
資格受験のために専門学校に通う場合は、プロ講師の授業を聞き、分からないことは質問できるのが魅力です。しかし、決まった時間に通学するのが難しい方は、日商簿記2級(以下、簿記2級)を独学で取得したい方も多いでしょう。
独学で受験勉強をする場合は、費用対効果が見合っているのかを考え、短期間合格を強く意識することが大切です。
参考