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テストがあると、ときには点数以上に一喜一憂のポイントになる「偏差値」。なんとなく「偏差値60くらいだと勉強ができる方」「70以上だとすごい」といった印象はあっても、仕組みについて正確に把握することは難しいものです。この記事では偏差値の基本的な考え方・計算方法についてご紹介します。
偏差値とは何か?
統計について専門的な業務に関わっていない限り、「偏差値」といえばテストの結果に付いてくるものという印象の人は多いのではないでしょうか。そもそも偏差値とは一体なんなのでしょうか。
「平均からどれだけ離れているか」を表す数値
専門用語が多いですが、コトバンクの解説を見てみましょう。
偏差値とは平均を50、標準偏差を10となるよう各データを変換し、集団内における各データの位置を表した値をいう。たとえば偏差値70は平均+標準偏差×2として計算される。正規分布の仮定を置くことによって、偏差値からそのデータが全体の上位(ないし下位)何パーセント以内に含まれるかを知ることができる。
(引用元:偏差値とは(ブランド用語集の解説)| コトバンク)
まず、「偏差値とは平均を50」とあります。平均の値が基準になっているということが分かります。
そして、「標準偏差を10となるよう各データを変換」とあります。偏差値の個別の数字には「標準偏差」というものが関わっていることが分かります。
後ほどまた解説しますが、標準偏差とは「どのくらい数字がばらついているのか、平均から離れているのか」を確認するための指標だと考えておいてください。標準偏差は「SD」もしくは「σ(シグマ)」と表記することもあります。
平均を50として数値の大小を見ることで、計算元となったデータ(テストの場合はテストの点数)が「どのくらい平均から離れているのか」を表すのが偏差値です。テストの場合の偏差値は特別に「学力偏差値」と呼ばれることもあります。
偏差値の平均と標準偏差は目的に合わせて定めることができます。学力偏差値では平均50、標準偏差10が使われていますが、アメリカなどの大学入試で使われる「SAT」では平均500、標準偏差100に設定されています。
参考
どうして点数だけでなく偏差値が使われるの?正規分布とは
平均点が分かっているなら、平均点と自分の点数を見比べるだけでもテストの難易度や上達度が分かるのでは? と疑問に思った人もいるかもしれません。しかし、点数だけでは把握が難しいテストもあります。
例えば、テストの平均点が100点満点中50点だった場合などは分かりやすいですが、平均点が84点の場合はどうでしょうか。この場合は満点を取っても平均点と16点差しかなく、逆に50点は平均点より34点も下ということです。
感覚的につかみづらいこういった結果も、偏差値を使うと分かりやすくなります。その前提には「正規分布」という考え方があります。
正規分布とは、テストの点で説明すると、平均点に近い点数を取っている人が最も多く、最高点・最低点に向かってだんだん人が少なくなっていくという状態です。身近な例では、乳幼児の身長体重の目安になる「成長曲線」が正規分布の前提に基づいて作られています。
ここで、正規分布のグラフの例を見てみましょう。横軸の「標準偏差」に注目してください。このグラフでは、標準偏差を「1」、平均の偏差値を「0」として作成しています。
標準偏差は「どのくらい数字がばらついているのか、平均から離れているのか」を確認するための指標だとご説明しました。上記のグラフのうち、標準偏差が-2から2の間を見てください。グラフのほとんどの部分がこの間に収まっています。正規分布の前提に基づくと、データ(テストなら点数)が「標準偏差±2」の間に全体の95%が入ることが分かっています。
偏差値を使うことにより、平均からどれだけ離れているかに加え、その値が母集団全体から見て「どのくらいレアなのか」が分かるようになっています。この「どのくらいレアなのか」は、テストの点でいえば成績がとてもいい、とても悪いということになります。
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試験で使われるのは「学力偏差値」
学力偏差値50とは
上記の説明を踏まえて、もう一度日本の学力偏差値で使われる数字についておさらいしておきましょう。まずは学力偏差値50です。これは「平均点」です。平均点が50点であろうと、32点であろうと、84点であろうと偏差値は「50」になります。
学力偏差値60・40とは
学力偏差値の場合、標準偏差は「10」です。そのため、偏差値60とは平均から標準偏差1個分大きいということになります。逆に偏差値40は平均から標準偏差1個分小さくなります。
注意が必要なのは、偏差値が10違うということは点数が10点違うということでは「ない」ということです。偏差値はあくまで「平均からどれだけ離れているか」を見るものなので、学力偏差値の場合は50を基準にして考えてください。
先ほどのグラフに見立てて考えると、平均から1目盛分左右にずれたところです。平均を挟んで、偏差値40は偏差値60と線対称の位置にあります。標準偏差が1ずれると該当する人数は少なくなりますが、まだそれなりのボリュームがあることが分かります。
学力偏差値70・30とは
同様に、学力偏差値70・30は標準偏差2個分平均から離れていることになります。正規分布の場合、標準偏差±2に全体の95%が収まると解説しました。これは、学力偏差値の場合「50±20」になります。
そのため、偏差値70以上を取れれば学力上位5%ほどのところにいるということになります。逆に偏差値30以下は下位5%なので、成績としてはかなり悪いということです。
現代では二極化が進み偏差値は当てにならないという指摘も
解説してきたように、偏差値を参考にするためにはテストの点が正規分布していることを前提にしなければなりません。しかし、現代ではテストの結果が正規分布することが減っているのではないかといわれています。
原因は学力の二極化です。二極化すると、データのばらつきが均一でなく、2つの塊に分かれます。ある程度勉強ができる層とまったくできない層です。この場合、平均付近のデータはあまりないということになります。平均を中心として対称に減少していくのが偏差値の前提なので、このような状態で算出した偏差値や標準偏差±2の目安は当てにならないということになります。
参考