学力偏差値を求めたい!やり方を解説
偏差値について概要を解説したところで、実際に学力偏差値を求めてみましょう。簡単なサンプルから計算していきます。
学力偏差値は「(得点-平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50」
学力偏差値を求めるための式は「(得点-平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50」です。この式に基づき計算するために、以下のようなテスト結果を用意しました。
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんが100点満点のテストを受けました。得点はそれぞれ表の通りです。この結果からそれぞれの偏差値を求めてみましょう。
参考
平均点を求める
まずは平均点を求めてみましょう。すべての点数を足して人数で割れば平均点が出ます。
平均点=(すべての得点の和)÷ 人数
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
平均点 | 52 |
平均点は52点になりました。5人の中ではCさんが平均点に最も近い点数です。Cさんの偏差値が大体どのくらいになるか予測できるでしょうか。
偏差値では平均点が「50」なので、Cさんの偏差値は「50に近い、50より小さい数字」になるのではないかと予想されます。それでは実際にどうなるか計算してみましょう。
標準偏差を求める
平均点との差を計算
学力偏差値は「(得点-平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50」なので、続いては標準偏差を求める必要があります。標準偏差を知るためには、まず得点と平均点との差を算出します。以下の式で計算してみましょう。
平均点との差=得点-平均点
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
平均点 | 52 | ||||
標準偏差 | |||||
平均点との差 | -42 | -12 | -2 | 18 | 38 |
平均点との差の平方数 | |||||
分散 |
平均点との差の平方数を計算
平均点より低い点数の場合、上で求めた差は負の数になってしまいます。2乗すると、すべての数字が正の数になります。
平均点との差の平方数=(平均点との差)^2
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
平均点 | 52 | ||||
標準偏差 | |||||
平均点との差 | -42 | -12 | -2 | 18 | 38 |
平均点との差の平方数 | 1764 | 144 | 4 | 324 | 1444 |
分散 |
「^2」は2乗のことです。平方数とは2乗した数のことです。これですべての数が正の数になりました。偏差値は「平均からどれだけ離れているか」を知るための指標なので、すべてが正の数になっていなくてはいけません。
今計算した平方数を見ると、平均点に近いほど数字が小さく、離れるほど大きくなっているということが分かります。
参考
統計学における分散と不偏分散 例題でわかりやすく解説|全人類がわかる統計学
分散を計算
続いて「分散」を計算します。分散とは文字どおり数値のちらばり具合を知るための指標です。分散が偏差値の直接の計算元になります。「平均点との差の平方数」の平均をとった数が分散です。
分散=(平均点との差の平方数の和)÷ 人数
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
平均点 | 52 | ||||
標準偏差 | |||||
平均点との差 | -42 | -12 | -2 | 18 | 38 |
平均点との差の平方数 | 1764 | 144 | 4 | 324 | 1444 |
分散 | 736 |
分散は736になりました。
標準偏差を計算
分散から標準偏差を求めることができます。分散の平方根を求めます。平方根とはルート(√)の中の数字のことです。つまり、逆に考えると、標準偏差を2乗すると分散になるということになります。
標準偏差=√736
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
平均点 | 52 | ||||
標準偏差 | 27.12931993 | ||||
平均点との差 | -42 | -12 | -2 | 18 | 38 |
平均点との差の平方数 | 1764 | 144 | 4 | 324 | 1444 |
分散 | 736 |
計算すると標準偏差は27.12931993です。しかし、上段で「学力偏差値の標準偏差は10」とご説明したことを覚えている人は、この結果に「あれ?」と思ったのではないでしょうか。
学力偏差値としてこの結果を使うためには、標準偏差を10になるように規格化する必要があります。それが冒頭の「(得点-平均点) ÷ 標準偏差 × 10 + 50」の式です
参考
偏差値の意味、求め方、性質などのまとめ|全人類がわかる統計学
式に当てはめて完成
これでようやく「(得点-平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50」の式が使えるようになりました。偏差値を算出してみましょう。
A | B | C | D | E | |
得点(100点満点) | 10 | 40 | 50 | 70 | 90 |
平均点 | 52 | ||||
標準偏差 | 27.12931993 | ||||
平均点との差 | -42 | -12 | -2 | 18 | 38 |
平均点との差の平方数 | 1764 | 144 | 4 | 324 | 1444 |
分散 | 736 | ||||
偏差値 | 34.5185946 | 45.57674132 | 49.26279022 | 56.63488803 | 64.00698583 |
偏差値が出ました。平均点に1番近かったCさんを見てみましょう。偏差値は「49.26279022」で、予想どおり50に近く、50より小さい数になっています。
ちなみにこの5人の中ではEさんの90点が最高点数でした。偏差値はおよそ64です。平均との開きがあまりないと、最高得点でも偏差値はそこまで高くならないということが分かります。
まとめ
知っているようで難しい「偏差値」について、背景となっている考え方から実際の計算方法までを解説しました。繰り返しになりますが、偏差値が有用なのはデータが正規分布していることが前提となっているときです。学力が二極化していたり、非常に学力が高い塾の中だけでテストが行われたりしたときに出る偏差値は、あまり参考にならないことがあります。基となったデータについて配慮しながら、子供の成績を測るツールとして活用してください。
参考
Excelによる正規分布曲線のグラフの作り方|ブログ|統計WEB
偏差値とは/アメリカの大学入試は偏差値|学習塾 開業 シミュレーション 儲かる学習塾の作り方