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なんらかの事情で子供が「大学院をやめたい」と言ってきた場合、親は心配になるでしょう。「大学院を中退してしまうと就職に響くのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
当記事では、大学院を中退することが就職活動に及ぼす影響や、大学院を中退して行う就職活動で気をつけた方が良いことを解説していきます。
もくじ
大学院を中退する理由
そもそも大学院を中退したいと言い出す人は、どのような理由から中退を考えてしまうのでしょうか?
学業不振
大学から大学院へ進学したものの、思ったように学業や研究が進まずに中退してしまうようです。大学4年間はとにかく単位を取得するために講義形式の授業を履修し、テストを受けることが多かったと思います。しかし、大学院へ進学すると「授業を受けること」よりも、大学で学んだ知識や技能を応用して「自ら課題を見つけ、研究する」ことが求められます。
大学院はより高度な専門性を高める機関として存在しているため、「内容が専門的すぎてついていけない」と中退してしまう人もいます。
経済的な理由
経済的な理由からやむなく中退を選択する人もいるようです。当然ですが、修士課程であれば最低でも2年間の学費がかかることになります。国公立大学でも微々たる差はありますが、授業料は主に下記のとおりとなっています。
- 入学金 282,000円
- 授業料 535,800円/年(大学院ごとに多少増減あり)
これが私立の大学院である場合、これ以上に学費がかかります。文部科学省で公表している「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立の博士前期課程の平均学費は下記のとおりとなっています。
- 入学金 210,086円
- 授業料 743,629円/年
- 施設設備費 72,688円/年
場合によっては大学の学部を余計に2年在籍するのと同程度の学費がかかるため、学費を賄うことが難しくなり中退してしまう人もいるようです。
研究や大学院が合わない
「もっと研究がしたい」あるいは「研究職を目指したい」と大学院に進学したものの、研究室内の人間関係や研究環境が悪かったり、そもそも研究を本格的に始めてみたらイメージしていたものと違ったなどの理由から、大学院を中退してしまう人もいます。
この場合、中退をまず決断するよりも同じ大学院内の別の研究室への移動や、ほかの大学院への移動を検討することで、研究を続けられる可能性もあります。すぐに中退せずに、研究を続けることができる環境がないか探すのも1つの手です。
「大学院中退」が就職活動に及ぼす影響
大学院を中退してしまうと、子供の就職活動にはどのような影響が出てくるのでしょうか?
「中退した理由」は聞かれる可能性が高い
大学院を中退、あるいはその予定で就職活動を行う際に、選考のどこかで「なぜ大学院を中退したのか」という理由を聞かれる可能性は非常に高いです。
企業が中退の理由を聞く意図としては、なぜ中退という結論に至ったのかという、その人の考え方や取り組み方を知りたいからです。中退の理由の伝え方次第では「この人ならうちで勤めてもらっても大丈夫そう」と思ってもらえることもあり、反対に「大学院と同じように、うちもすぐ辞めそう……」と思われてしまう可能性もあります。
同分野の業種や、研究職に就くには不利な可能性
大学院で専攻していた専門分野と同じ業種や、研究職として就職するのは不利となる可能性があります。企業の研究職としての採用は、そもそも採用要件に「大学院(修士)修了見込みの方」が入っている場合もあります。中退する場合はこの要件に満たすことができず、応募ができないことが多いです。
また、理系の研究室に多いのが企業と共同研究を行っているケースです。所属していた研究室によっては大学院と共同研究をしている企業もあるため、同分野で就職活動を行う場合は注意が必要です。
「大学院中退=就活に不利」ではない
大学院を中退してしまうこと自体が「直接的に就職活動に不利に働く」というわけではありません。前述したように、「なぜ、中退する決断に至ったのか」に対する考え方や取り組み方についてを企業は見ています。
大学院進学理由から、中退の理由、今後どのようにキャリアを積んでいこうと考えており、そのために何をしているのかなどを、きちんと整理して伝え、相手に納得感を持ってもらうことができれば就職活動を良いものにすることができるでしょう。