子供が非行に走る原因は?親や周囲にできる心がけについても紹介 ( 2 )

非行に走る原因は?

子供が非行に走る原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、非行に悩む保護者の支援や本人の立ち直りをサポートする「非行克服支援センター」による「非行に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究」を参照しつつ、非行の背景について見ていきます。

家庭環境

子供が非行に走る要因の一つ家庭環境が挙げられます。非行克服支援センターの調査における元非行当事者へのインタビューでは、家庭環境・親・家族が非行に与えた影響について、本人たちの口から以下のような事柄が語られました。

①親の多忙による孤独、②親の病気・死、③親の浮気・離婚、④親の厳しいしつけ・支配、⑤家族からの虐待・ネグレクト、⑥親への反抗、⑦親からの期待に対する負担感、⑧きょうだいに対する劣等感。また、各項目を横断してその背景に貧困といった問題もあるものもあった。

(引用元:非行に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究|特定非営利活動法人非行克服支援センター ,P12

これらの問題が直接的に非行の原因になったと断定できるものではありませんが、他のさまざまな事柄と複雑に絡み合うことで非行につながったと推察されます。また、上記の複数の項目を横断して貧困の問題が見られたことから、家庭の経済的な困窮が非行に影響を及ぼしている可能性もあります。

学校生活

学校で居場所を見つけられず、非行の世界に進んでしまうこともあるようです。非行克服支援センターのインタビュー調査では、授業が理解できないことや部活での挫折をきっかけとして学校に居場所をなくしてしまい、学校外の似た境遇の仲間とともに非行に進んでいった例が挙げられています。

また、いじめや子供の間のトラブルへの教師の不適切な対応、教師による否定的な言動や体罰が非行に向かわせる引き金になった例もあります。

周囲の無理解と不適切な対応

周囲の無理解や不適切な対応も非行につながる要因の一つです。

先の調査では、問題行動を起こした子供に対して、周囲が力で押さえ込んだり排除したりしたことが非行の原因となった可能性が示唆されています。このような対応の背景には、非行に走る子供の気持ちへの無理解があると言えるでしょう。体罰・暴力を用いて問題行動を改めさせようとすることには効果がありませんし、なにより倫理的に許されることではありません。力による対処は、問題行動をエスカレートさせる危険性すらあります。

また、問題行動を起こした生徒の登校を学校側が拒否・制限したことで、当事者が屈辱や被差別感情を抱き、行動を悪化させたケースも報告されています。

子供の非行への対処法と注意点

続いて、子供が非行に走ったときの対処法・注意点について見ていきましょう。

話をよく聞く

前述の通り、子供の気持ちや問題行動の背景を理解しようとせず、体罰や罰を与えることで行動を改めさせようとすることは非行の改善につながりません。

まずは、子供の話をよく聞くことが大切です。子供が自分の気持ちをうまく表現できなくても、言葉の端々に本音が隠れていることもあります。子供に寄り添い、話を聞くことで解決の糸口が見えてくるかもしれません。こちらから一方的に話して聞かせるのではなく、子供の話にじっくりと耳を傾けましょう。

自己肯定感を感じさせる

非行に走る子供は、他の子供に比べて自己肯定感が低いケースが少なくありません。幼い頃に受けた否定的な言葉や学校などでの挫折の経験が、自分という存在を否定的に捉えてしまう要因になっている可能性が考えられます。

非行克服支援センターの調査では、社会や他の人の役に立つ経験が非行から立ち直るきっかけになると示唆されています。

多くの事例で、自分自身が、社会や他の人(自分の子どもなど家族を含む)との関係で役に立つ機会を得るということが、立ち直りのプロセスの中で重要になっていた。

(引用元:非行に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究|特定非営利活動法人非行克服支援センター ,P24

自分が誰かの役に立つ存在であると思える感覚は、自己有用感とも呼ばれます。成長の過程で自己肯定感・自己有用感を育むことができなかった場合でも、これらは家庭内における身近な手伝いやボランティアへの参加、就労の経験などによって獲得できるものです。保護者としては、子供が自分自身を肯定的に捉えることができるような機会を提供し、サポートすることが重要と言えるでしょう。もちろん、他者や社会の役に立つかは関係なく、子供自身が自分の存在そのものに対して、無条件に肯定的な気持ちを抱けるような言葉がけや関わり方も大切です。

専門家のサポートを受ける

非行の問題は、家庭内の問題に還元されがちです。非行に走る子供を持つ保護者が、「親のせいだ」「しつけがなっていない」「子育てに失敗した」などと糾弾されることも少なくありません。しかし、ここまで見てきたように子供の非行の背景には、家庭以外の大人や社会、学校での友人関係などに起因する事柄も多くあります。家庭環境が非行のきっかけになる場合であっても、貧困や公的サポートの不足といった社会的問題が背後に隠れていることがほとんどです。

大切なのは、子供の責任を全部、保護者自身が背追い込んで孤立してしまわないことです。非行からの立ち直りのためには、専門家や公的機関から適切なサポートを受けることも必要となります。また、非行に走る子を持つ親の会などの自助グループに参加し、悩みを打ち明けたりアドバイスを受けたりすることも保護者の心理的負担の軽減や子供の立ち直りの助けとなるでしょう。

おわりに

子供の非行の原因は一つとは限りません。これが原因だと簡単に判断できるものでもありません。立ち直りの糸口を見つけるためには、なにより子供の話に耳を傾けることが大切です。また、親・保護者自身が責任のすべてを背追い込まず、身近な人や公的な相談機関、自助グループに助けを求めることも必要となってきます。当記事が子供の非行を理解する上で少しでもお役に立てれば幸いです。

参考

非行・逸脱における格差(貧困)問題|教育社会学研究第80集

第4回 非行原因に関する総合的研究調査の概要|内閣府

抱え込まないですぐ相談!子どもが非行に走る主な原因と対処法|ひだかあさんの犯罪心理学

令和元年版 子供・若者白書(全体版)|内閣府

少年法|e-Gov法令検索

少年警察活動規則|e-Gov法令検索

「自尊感情」?それとも、「自己有用感」 ?|国立教育政策研究所

この記事をかいた人

藤井ケンジ

ライター・翻訳者・ブロガー。国際基督教大学卒業後、教育系出版社にて自社サイトのデザインからコーディング、SEO施策にまで携わる。7年の企業勤務を経たのち、妻の出産を機にフリーランスに。翻訳(英語→日本語)の仕事のかたわら育児、家事情報をメインとしたブログを運営。ライターとしては育児、教育関連の記事を執筆。目下の関心はジェンダーと性差別。趣味は読書、映画、海外ドラマ、NBA(バスケットボール)。1児の父。