勉強しながら語彙力を身につける!
続いては学校の勉強を生かして語彙を身につける方法を紹介します。主に国語の学習が役に立つでしょう。
漢字は語彙量を増やす
日本語には漢字の語彙がたくさんあります。「たくさん」「多い」という言い方だけを取っても、「豊富」「潤沢」「豊満」など、たくさんの類語があります。漢字を学ぶときに熟語も知っていけば、まず語彙の総量を増やすことができます。
鳥取大学附属中学校の研究では、生徒がノートを取れないこと、文字を書かせると表現が幼かったり、ひらがなが多かったりすることに着目しました。会話では違和感がないのに、文章を書かせると年齢よりも幼いという印象がぬぐえない生徒が少なくなかったそうです。
研究では、漢字が使えないことが原因なのではないかと仮説を立てました。つまり、漢字が書けないことが語彙を増やす障害になっており、それが読み書きの語彙に影響しているのではということです。この仮説の基に漢字の成り立ちや部首・つくりの意味を考え直す授業を展開しました。
この結果、漢字に興味が出た、書けるようになった、言葉の意味が分かるようになった、という生徒が増加しました。やみくもに漢字を覚えるだけではやる気になれないかもしれませんが、歴史的背景や使い方まで含めて学ぶと身につきやすいようです。
参考
文章を短く簡潔に書く練習をする
前項でも紹介した鳥取大学附属中学校の研究からは、すらすら話せるのにノートを取れない、文字を書くのが苦手という生徒の例が報告されています。
現代の教育では話し合い、口頭で発表する能力が重視されています。これらも大切なことですが、読み書きの能力をつけるには実際に読んで書く必要があります。
そこで、子供が課題として書く機会の多い作文も活用したいものです。子供の作文は一文が長くなりがちです。「○○して、〜〜で、××でした」というような文章です。こういった長い文章を短く書き分ける練習をしてみましょう。
「○○しました。なぜなら〜〜だからです。そして僕は××と思いました」というような書き分け方ができます。この時点で「なぜなら」という接続詞や「思いました」という感情表現が追加されて文章が豊かになっていることが分かります。簡潔に短い文章で書こうとすると、作文の中の語彙を再び検討する必要が出てくることもしばしばです。「これを言い換える言葉があるかな?」と辞書を引く練習にもなるかもしれません。
茨城大学では、作文を題材にして生徒の語彙を調査しました。まず「わたしたちの平和」というテーマで中学生に作文を書かせます。その後国語の時間に接続詞に関する授業を行いました。続いて書いた作文を生徒自身に推敲させた結果、以下のような改善点が見られました。
- 一文の長さが短くなった
- 漢語が増えた
- 接続詞が増えた
参考
作文語彙と学習成績との関連性からわかる語彙力の諸相 | 茨城大学機関リポジトリ
語彙の使い方は文章で覚えよう
語彙は使いこなして初めて語彙力となることを解説してきました。適切な使い方ができるようになるためにも、文章の表現として覚えることがおすすめです。
読書が苦手なら漫画もおすすめ
例えば本記事のテーマである「語彙力」は「語彙力が高い」「語彙力を上げる」などというように述語と組み合わせて使います。一方「力」とはありますが「語彙力が強い」という言い方はしません。
このような使い方はひとつのまとまりの文章として覚えるのが最も効果的です。そのためには読書が理想的なのですが、本を読むのが苦手だという子供も少なくないでしょう。そのような場合には漫画も活用できます。
漫画は子供が好きなものに加えて、歴史物などの専門用語があるものも用意しておきましょう。作者や対象年齢層によっても語彙が異なるので、さまざまなものを読んでみれば語彙力アップにつながります。
政治・経済用語はニュースを活用しよう
政治や経済の用語は日常生活や学校ではなかなか登場しません。そのため無理のない範囲でニュースに目を通すことをおすすめします。子供向け新聞等を購読すると難しい用語に、解説があるので読みやすいでしょう。
まとめ
語彙力とは何かという定義から、どうして語彙力がつかないのか、向上させるにはどうしたらいいのかを紹介しました。日本語は話し言葉と書き言葉の語彙が異なることも多く、日常会話だけでは限界を覚えることも少なくないでしょう。学校の勉強も上手に活用して子供の語彙力アップを目指したいものです。
参考
語彙(ごい)とは ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 | コトバンク
語彙力(ごいりょく)の意味 デジタル大辞泉(小学館)| goo国語辞書
単語を覚えるだけじゃダメ。語彙力を鍛える方法を言語学者に聞いてきた|新R25 – シゴトも人生も、もっと楽しもう。