高専の数学はどれくらい難しい?高校とのレベルの違いや教科書の紹介 - cocoiro(ココイロ)

高専で学ぶ数学は高校の数学に比べて難しいと思っている方も多いでしょう。高専に進学して数学の授業についていけるのか不安を感じているかもしれません。この記事では、高専と高校の数学の範囲の違いや、高専で実際に使われている教科書をご紹介します。記事の後半にある高専の進学・就職率も参考になさってください。

高専の数学は難しい?

一般の高校は3年間であるのに対し、高専は5年間通うことになります。高専は高校よりも2年長く通い、より専門的な知識を得るカリキュラムが組まれています。したがって、高専の数学は高校の数学よりも難しく、つまずいてしまう生徒もいます。

この章では、高校の数学と高専の数学の範囲の違い、学年が上がるにつれて難しくなるのか、必須・選択科目の例について解説します。

高専と高校の数学の違いは?

高専の数学は高校の数学に比べどれくらい難しいのでしょうか。高校と高専の数学の授業範囲を比べてみましょう。

高校の数学の範囲

高校で習う数学の範囲はどのようになっているのでしょうか。2019年4月に数研出版が作成した「高等学校 新教育課程カリキュラム案」を見ていきましょう。学校によってカリキュラムが異なるので参考程度としてご覧ください。

文系の場合、1年次に【数学I】【数学A】【数学II】、2年次に【数学II】【数学B】、3年次に【数学B】【数学C】というカリキュラムです。

理系の場合、1年次に【数学I】【数学A】【数学II】、2年次に【数学II】【数学III】【数学B】【数学C】、3年次に【数学III】【数学B】【数学C】というカリキュラムです。

参考

高等学校新教育課程 カリキュラム案|数研出版

文系では数学IIIの履修はありませんが、基本的に1年生では数学I・A、2年生では数学II・B、3年生では数学III・Cを勉強していくという流れになっています。

高専の数学の範囲

高専の数学は、高校とは違い数学I~III・A~Cという名前ではありません。また、高専の学科によって数学の履修範囲が異なります。

東京工業高等専門学校の数学を見てみましょう。

第1学年 基礎数学I
基礎数学II
第2学年 微分積分I
線形代数I
微分積分II
線形代数II
第3学年 解析学I
解析学II
確率統計
線形代数III
線形代数IV
第4学年 微分方程式
線形代数V
数学総合演習I
数学総合演習II

一般教育科(数学)|東京工業高等専門学校より筆者作成)

東京工業高等専門学校の第5学年は研究や卒業論文に重点を置くため、数学の授業はありません。

特に線形代数は全学年を通じて学んでいきます。高専の数学は高校の数学に比べ、授業の進むスピードが早いです。高専の2学年が終わるころには、高校3年生で習う数学の範囲は網羅していることになるでしょう。

高専3学年からは大学で勉強する確率統計やフーリエ解析の授業に入っていきます。

高専の数学は学年が上がるごとに難しくなる

高校の数学の授業は大学入学共通テストや大学の2次試験を目標に進めていきます。一方で、高専の数学は大学に入学するために勉強するのではなく、専門知識を身につけるために勉強します。学年が上がるごとにより専門的になり、数学が難しく感じるかもしれません。

数学の必須/選択科目の例

高専によって数学の必須科目と選択科目が異なります。ここでは近畿大学工業高等専門学校の数学を見てみましょう。

必須科目 選択科目
1年生 基礎数学 基礎数学演習
2年生 微分積分学I

線形代数学

線形代数学演習
3年生 微分積分学II 微分積分学演習
4年生 応用数学 解析学I
5年生 解析学II

数学科|近畿大学工業高等専門学校より筆者作成)

近畿大学工業高等専門学校では、3年生までの間に大学1年生が勉強する範囲を習い始めます。また、高専から大学に編入を希望する学生もおり、その場合は解析学I・IIの選択をすすめているそうです。

大学編入を希望するか、就職を希望するかで数学の教科を選択できるので自分に合った授業を選ぶことができます。