人権作文で環境問題を書くには?取り上げたい環境問題トピック - cocoiro(ココイロ) - Page 2

人権作文に取り上げたい環境問題

それでは、具体的にどのようなトピックを取り上げたらいいかを見ていきましょう。

ごみの不法投棄

ごみの不法投棄で、家族や身近な人が困ったことはありませんか? 粗大ごみの回収は有料のため、費用負担や手間を避けたい人が、他人の土地や公道などに不法投棄することがあります。ごみの不法投棄は、見るだけでも十分不快な気分にさせられます。しかも、ごみに有害物質が含まれている場合は、土壌汚染や水質汚染の原因となる可能性もあります。

また、ごみの放置された場所が自宅敷地内だった場合、その処理はたいてい土地の所有者がすることになります。基本的に責任はごみを所有していた人にありますが、不法投棄した人が特定できない場合は、不法投棄された側で処理することが多いようです。ごみが不法投棄されて不快な思いをさせられた上、処理費用も負担させられるのは、なんとも理不尽な話です。

環境汚染

死んだクジラの胃から40㎏ものプラスチックが見つかり話題となったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。プラスチックは安くて丈夫で衛生的なため、商品パッケージなどには欠かせない存在です。

しかし、ごみとなり適切に処理されなかったプラスチックが大量に海に流れ込み、深刻な海洋汚染を引き起こしています。海の中のプラスチックごみがこのまま増え続けると、2050年までに海の中の魚全部と同じ重さになると言われています。海洋プラスチックの人体への影響はまだ解明されていませんが、海の生態系に深く入り込み、それが食を通じて人体へ取り込まれているのではと懸念されています。

地球温暖化

私たちが地球温暖化の影響を最も実感するのは、台風などの自然災害でしょう。2019年は、千葉県を中心とした関東地方を、2つの大型台風が立て続けに襲いました。台風の頻発化・大型化で被災する人の数は増え、地球温暖化の脅威をより一層身近に感じるようになりました。

森林破壊

世界では、毎年、日本の国土の約14%分の面積に相当する520万ヘクタールもの森林が消失しています。森林破壊が進む理由は、森林から農地への土地利用の転換、焼き畑農業、森林火災、違法な森林伐採などです。森林は水源を豊かにし、土砂災害を防ぎ、二酸化炭素を吸収して地球温暖化をやわらげる効果があります。急速な森林破壊の結果、2000年以降はオーストラリアなどで深刻な森林火災や干ばつが繰り返されています。日本では、2018年7月に西日本の広い地域で記録的な豪雨となり、237名もの方が亡くなりました。

参考

世界の森林と保全方法|フォレスト パートナーシップ・プラットフォーム

平成30年7月豪雨による被害状況等について|内閣府 防災情報のページ

エネルギー問題

2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所の事故では、大量の放射性物質が放出され、周辺地区の住民はいまだに自宅へ帰ることができません。かつてはエネルギー問題の究極の解決策と言われた原子力発電は、いったん事故を起こすと、次世代にまでわたる甚大な被害をもたらすことが明らかになりました。

一方で、化石燃料は温室効果ガスを排出し、地球温暖化による影響は、私たちの日々の生活でも実感できるほど身近になりました。持続可能な再生エネルギーへの転換は待ったなしの状態です。

観光公害

訪日観光客は2018年に3000万人を突破し、10年間で4倍近く増えました。それによる莫大な経済効果もあり、文化交流が促進されたことは間違いありません。しかし、訪日観光客の増加に伴い、「観光公害(オーバーツーリズム)」が新たな課題として持ち上がっています。交通渋滞やマナー違反で周辺住民の生活に影響を及ぼし、市民の観光産業に対する反発が強まりつつあります。

観光業は、日本国内でも有数の成長産業です。また、来日客に日本を理解し、日本を好きになってもらうことは、世界とのつながりを考える上でも大切です。いかに地元住民の生活を守りながら、訪日観光客を受け入れるかが問われています。

参考

国籍/月別 訪日外客数(2003年~2019年)|日本政府観光局(JNTO)

人権作文の書き方

自らの体験や実感を書こう

全国中学生人権作文コンテストの応募規定には、作文の内容について以下のように書かれています。

 日常の家庭生活,学校生活,グループ活動あるいは地域社会との関わりなどの中で得た体験等を通じて,基本的人権の重要性,必要性について考えたことなどを題材としたものとする。

(引用元:第39回全国中学生人権作文コンテストを実施します|法務省

つまり、自分が実際に体験したことと、その体験により自分が感じたことを書くことが求められています。

社会への提言を書こう

自分が体験したことと感じたことに加え、もう一つ忘れてならないのは、「こうしたらもっと良い社会になる」という社会への提言です。そのためには、中学生の自分が今何をできるかを書くと良いでしょう。

まとめ

人権作文のテーマとして差別についてはすでにもう書いてしまった人も、トピックを環境問題まで広げれば、まだまだ書く内容はたくさん見つかるでしょう。普段から社会問題に関心を持ってニュースに接していれば、題材に困ることはありません。自分の身近なところにも目を向け、どのような人権問題が潜んでいるかを探してみましょう。

参考

第39回全国中学生人権作文コンテストを実施します|法務省

人権作文を応募いただく生徒の皆さんへ~人権作文の書き方~|法務省

新しい人権等」に関する資料|衆議院

環境作文の書き方|環境作文.com

自宅の敷地に不法投棄!ごみの処分は自分の責任? | 粗大ゴミ回収ガイド

第4回 海洋プラスチックごみの問題と、解決に向けて私たちができること|NTTグループ

「自然エネルギー100%」による持続可能なエネルギー社会実現に向けた施策を求める決議|東北弁護士会連合会

この記事をかいた人

Sachiko

海外在住20余年、子育て・教育ライター。明治大学政治経済学部卒業。中国へ2年間留学。中国北京の日系広告会社で営業マネージャー。 結婚・出産後、北京で専業主婦。夫の転勤に同伴したフィジーで、アジアの女性のためのソーシャルグループ代表を務め、文化交流イベントを企画運営。2018年より、インド・デリー在住。ライターとして活動を始める。中国語HSK6級。TOEIC945点。中国生まれ、フィジー育ち、デリーで思春期を迎えた1人息子の母。 中国時代から共に過ごす老犬の介護中。